アフガニスタンからの邦人退避③:訓練で見える自衛官の苦悩と総理の覚悟
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引き続き、アフガニスタンからの邦人等退避の課題です。
一昨日に書いたような法律の制約が無ければ、自衛隊は邦人保護ができるのでしょうか? この点も、考えてみました。
陸上自衛隊は、陸上輸送を想定して特殊車両を購入し、国内外で邦人輸送訓練を繰り返しています。
2016年2月には、タイで開かれた東南アジア最大級の訓練「コブラ・ゴールド」で、陸上自衛隊は、「窓に防弾ガラスを張った高機動車」を持ち込み、「大地震が発生、政情不安に陥った国に取り残された日本人らを避難させる」との想定で、訓練を実施しました。
前年の2015年12月にも、豪州から購入したばかりの「輸送防護車」に、民間人役の自衛官15人を乗せ、空港へ向かう途中、群衆に取り囲まれたり、爆弾による攻撃を受けたりという想定で、訓練を行いました。
その際には、「群衆に威嚇射撃をするのか」「相手に向けて撃つべきなのか」、自衛官の皆様は、瞬時に難しい判断を迫られたと伺っています。
自衛隊が武器を使えば、相手との間で銃撃戦になり、任務の危険度は格段に増します。
現実の危機の状況は千差万別ですから、いかに訓練しても、人的被害などのリスクは避けられません。
政府は、「いかなる危機に際しても、国民の皆様の命を守り抜ける」ように、法制度整備と実力を整えておくことが重要です。そして、総理には、責任とリスクを取る覚悟が求められます。