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米国の『国際緊急経済権限法』や「クリーン・ネットワークス」などによる対応

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 昨日は、米国の『国防生産法』について書きました。

 同法に基づき、昨年8月14日に、当時のトランプ大統領が、TikTokを運営する中国バイトダンス社に対して、国家安全保障上の懸念を理由に、90日以内にTikTokの米国事業に関する全ての資産及び権利の売却を命じる『大統領令』に署名した事例を紹介しました。

 

 この対応に先立ち、昨年8月6日には、トランプ大統領は、「中国バイトダンス社との取引を45日後以降に禁止する『大統領令』に署名しています。

 禁止される具体的な取引内容は、45日以内に商務長官が定めることとされていました。

 

 また、同日、ウィーチャットを運営する中国テンセント社に対する同様の『大統領令』にも署名しました。

 

 8月6日の『大統領令』は、8月14日の『国防生産法』に基づくものとは異なる命令で、『国家緊急事態法』第201条と、『国際緊急経済権限法』第1702条に基づき発出されたものでした。

 

 『国家緊急事態法』(NEA:National Emergencies Act)は、大統領による国家非常事態の宣言及び具体的な制限事項について規定した法律です。

 

 『国際緊急経済権限法』(IEEPA:International Emergency Economic Powers Act)は、国家安全保障や経済への重大な脅威に対する金融制裁について規定した法律です。

 

 昨年の6月24日に米国の国務省が「Clean Networks」政策(政策指針)を発表しました。有志国と連携して、中国政府等から過度な干渉を受けていない「信頼性の高いベンダー」の製品のみを使用する通信網を活用する方針が伝えられました。

 

 更に8月5日には、以下の取組を新たに追加し、「Clean Networks」政策の拡張を発表しました。

 

●Clean Carriers:米国通信網に、中国通信網を直接接続しないこと

●Clean Store:中国のアプリ(TikTok等)を、スマホのアプリストアから排除

●Clean App:米国等の「信頼できるアプリ」が、Huawei製のスマホやアプリストアに搭載されることを防止

●Clean Cloud:Alibaba(アリババ)、Baidu(バイドゥ)、Tencent(テンセント)等がアクセス可能なクラウドに、情報を保存しないこと

●Clean Cable:海底ケーブルにおける、中国による情報剽窃の防止の徹底

 

 以降、米国政府は、同盟国に対して「Clean Networks」への参加を呼び掛け始めました。

 私も、昨夏に部屋を訪ねて下さったジョセフ・M・ヤング駐日米国臨時大使から、詳しい説明を伺いました。

 

 日本政府は、従前より「特定の国名や企業名を挙げて市場から排除すること」には慎重な立場ですが、私は、昨今の経済安全保障上のリスクの顕在化に照らして、「Clean Networks」のような取組が必要な時期に来ていると考えます。

 

 新規の根拠法が必要であれば、制定すればよいのです。

 先端技術情報・機密情報・個人情報の窃取や国民の皆様の生命と財産を危険に晒すサイバー犯罪から日本を守り抜く為に、やれることは全てやるべきタイミングです。

 菅内閣の毅然たる取組に期待し、必要な法制度整備については与党の一員として応援をしたいと存じます。

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