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命を守る為に、『特定都市河川浸水被害対策法改正案』の早期成立を切望

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 一昨年12月、当時の総務大臣を務めていた私は、地方自治体の長が集まっておられる場で、次のようなお願いを申し上げました。

 

 「郊外開発については、今年も、台風19号などにより全国各地で大きな被害が出ており、郊外に立地した高齢者施設などにおいて、浸水被害や孤立が多数発生しました。市町村長の先生方のリーダーシップの下、高齢者施設、障害者施設、医療施設、幼稚園、保育園など、迅速な避難が困難な方々が多数利用する施設が『ハザードエリア』に新たに立地することがないよう、特段のご配慮をお願い申し上げます」

 

 「なお、開発許可制度上、土砂災害特別警戒区域などのハザードエリアを含んだものは許可できませんので、特にご留意下さい」

 

 当時は、人口減少や高齢化が進む中、地域の活力を維持し、医療・福祉等の生活機能が確保された安心で快適な暮らしを実現する為、街のコンパクト化を進めることが喫緊の課題でした。

 その取組の中心となる『立地適正化計画』の積極的な策定(未設定の市町村が多かった)をお願いするとともに、「これ以上の郊外開発の抑制」と「災害リスクを見据えた施設の立地」を要請したいと考えたのです。

 

 日本の法制度では、「財産権」や「居住の自由」が強く保護されていますから、水害や土砂災害のリスクが高い場所に、災害時に避難が困難な方々が利用する施設が立地しているケースが多く見受けられます。

 

 過去に私が視察した被災地では、国が管理しない小規模河川沿いの危険な場所に立地して被害に遭った高齢者施設、河川水の逆流によって安全だと思われていた上流の避難場所が危険な場所となっていた例などを、目にしました。

 

 総務省単独では対応できないものの、市町村長の皆様や、『河川法』『都市計画法』『土砂災害防止法』などを所管する国土交通省の御協力があれば、かけがえのない命を守る為の街づくりができると思いました。

 

 今週の火曜日(令和3年3月23日)の衆議院本会議で、国土交通省が作成した『特定都市河川浸水被害対策法の一部を改正する法律案』が審議入りしました。

 

 この法律案の中には、「被害対象を減少させる為の対策」「被害軽減の為の対策」として、次の点も含まれています。

 

●「浸水被害防止区域」を創設し、住宅や要配慮者施設等の安全性を事前確認(許可制)
●「防災集団移転促進事業」のエリア要件の拡充等により、危険エリアからの移転を促進
●洪水等に対応したハザードマップの作成を中小河川等まで拡大し、リスク情報空白域を解消

 

 本法律案には、この他にも多数の施策が盛り込まれていますが、1日も早く国会で可決・成立し、法の施行によって、多くの方々の命を守る為の取組が全国各地で迅速に展開されるよう、切望しています。

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