『週刊文春』の記事は悔し過ぎる!「行政の公正性」に特に注意を払ってきた者として
更新日:
今日、明日には書店に並ぶ『週刊文春』の記事が永田町で出回っており、一読しましたが、怒り心頭です。
タイトルは、「NTT接待文書入手 総務大臣、副大臣もズブズブの宴」として、私や野田聖子元大臣の顔写真を掲載。
記事中には、「NTTの総務大臣、副大臣への接待」という表が出ていて、野田聖子大臣2回、高市早苗大臣2回、各大臣とともに働いて下さった副大臣2名が各1回の接待を受けたとされています。
私は、「接待」は受けていない旨、取材者に対して、明確に文書で回答しました。当方の支払の領収証や当該店舗の料理代金が分かる資料も添付して送付しました。
しかも、記事中に「(NTTグループの)通信事業の許認可に直接関わる総務大臣、副大臣、政務官の政務三役、およびその経験者をターゲットに接待を繰り返していたのです」とまで、書かれています。
大臣も副大臣も「通信事業の許認可に直接関わる」ことなど、ありません。そもそも、私達は「決裁」をしていないのですから。
『NTT法』や『電気通信事業法』に基づく認可の中で、事業に係るものの「最終決裁」をするのは大臣や副大臣ではなく、局長です。
上記の所管法令に基づく定常的な認可以外の「個別案件に係る軽微な認可」についても、全て局長以下の職員が最終決裁者であり、大臣や副大臣は決裁者ではなく、案件の説明すら受けていません。
私の在任中に、唯一、大臣に認可権があるものとして決裁したのは、NTT持株会社の株主総会で決定した「取締役・監査役の選解任決議」(人事案件)のみです。
NTTも、関連法制度はよくご存じですから、野田元大臣や私に対して事業認可など業務に係る頼み事をなさるはずもありません。
澤田社長や島田副社長とお会いした時にも、私の個人的な関心事項であるサイバーセキュリティ(主に自動車や医療機関のサイバーセキュリティ強化が私の関心事)について、ペネトレーションテストなど技術面での専門知識を教えていただいていました。
先方から、総務省の認可権に係る頼み事の話題が出たことは皆無です。
以下、『週刊文春』からの問い合わせに対して、3月9日に文書で回答したものを掲載します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
2021年3月9日
『週刊文春』編集部 神田知子様 (計3枚)
衆議院議員 高市早苗
≪ご質問1について≫
- 質問1は、総務大臣在任中の2019年12月20日と2020年9月1日にNTTの澤田純社長から接待を受けという情報は事実か、という内容
-
総務大臣在任期間に、総務省関連団体及び事業者(地方公共団体、通信、放送、郵政、行政相談等)から、いわゆる「接待」を受けたことは皆無です。
「会食を伴う意見交換の機会」につきましては、「行政の公正性」に疑念を持たれることのないよう、全て「完全割り勘」又は「全額当方負担」で対応することを徹底していました。
-
夕刻まで委員会答弁や省内や官邸の会議などの公務をこなすと、関係団体や事業者のご意見や苦情を伺う機会は夜間になることが多く、退庁時間後に大臣室を使用することは職員の残業に繋がることから、省外で夕食を伴う意見交換を行うことは度々ありました。
現場の実情を理解した上で政策を考案したり施策の使い勝手を良くしたりすることは、政務3役として役所に入る政治家の業務であると考えます。
-
会食を伴う場合は、事前に使用店舗の公式サイトで金額を把握するとともに、先方と話し合い、消費税も含む飲食代金が折半になるように会費を決定していただき、支払後は領収証を受け取っています。
更に、飲料代金で会費を超えるリスクや先方がお土産を用意するリスクを勘案し、相手方1名あたり5,500円のお土産(私費)を持参していました。
-
ご指摘の2019年12月20日と2020年9月1日は、いずれもNTTの澤田社長、島田副社長、秘書室長の3名と会食をしております。
「完全割り勘」以外での会食が出来ない旨は先方に伝えた上で、秘書室長に会費を決めていただき、【添付書類①】の通り、指定された10,000円をお支払いするとともに、私費で16,500円(3名分)のお土産を持参致しました。
2回とも、当方の負担額は26,500円です。
- 【添付書類①】は、2枚の当方支払い分の領収証のコピー
- 指定された会合場所の店舗につきましては、公式サイトが見付からなかった為、【添付書類②】の料金情報を参照し、適切な金額の会費を支払ったと考えております。
- 【添付書類②】は、ネット上で確認できた当該店舗の料金情報(NTTグループ電友会本部のサイト:フランス料理8,000円⇒会員割引で6,400円)
- 尚、総務省所管の特殊法人であるNTT持株・NTT東西の「業務に係る許認可事項」の最終決裁権は、大臣にはありません(局長決裁で大臣への説明は無し)ので、会食の席でNTTから許認可等に関する依頼を受けたことは皆無です。
≪ご質問2について≫
- 質問2は、飲食代を全額負担したのはNTT だったという情報がある。2019年の収支報告書には当該の記載が無いが、NTT側が負担したのは事実か、という内容
-
2020年分の収支報告書は今年5月が提出日ですが、2019年の収支報告書には、2019年12月20日の会費を計上しております。
法律に則り、10,000円超の支出については支出先(店名)を記載しますが、10,000円の場合は「その他支出」の費目に入っています。
-
尚、大臣在職中は、支払の証拠を確実に残すために、「会費」については「自民党奈良県第二選挙区支部」から支出することにしておりました。
念の為に付記しますと、税金による「政党助成金」を飲食費に使うことは、自民党で禁止されています。
「政党助成金」の使途については、党支部の収支報告書とは別に、「使途等報告書」で1月末までに党本部のチェックを受けた上で2月末までに党本部と選管に提出しておりますので、飲食費の支出が無いことについては、「使途等報告書」を閲覧して頂けると幸いです。
・・・・・・・・・・・・・
以上が、本会議や議員連盟の会合を控えて超多用だった昨日、早朝の時間を使って作成した回答文です。領収証を探す為に、奈良事務所の会計責任者にも苦労をかけました。
大臣在任中には、総務省関係団体や関係事業者と、会食を伴う意見交換(全て「割り勘」か「全額当方負担」)は度々ありました。
連日のように衆参で委員会答弁が続いて夜間は体を休めたい時期でも、無理をして対応していました。それも、政務3役の仕事だと考えたからです。
通算4年間の大臣在任中は、『大臣規範』を厳格に守る為に「特定パーティー」(大規模な政治資金パーティー)の開催もしませんでしたから政党支部や政治資金団体の残高も乏しく、東日本大震災被災地への支援として給与の国庫返済をすると他の国会議員よりも毎月の手取り額は5万円程少なくなりますからお土産を用意する負担も大きく、「割り勘」や「全額当方負担」を徹底し続けたことは、相当に苦しいものでした。
関連事業者の労働組合との意見交換会にも応じていましたが、割り勘金額が相当に高額で、話題は総務省への不満ばかりで激しく責め立てられ、泣き出したいほどに辛い席でした。それでも、苦情を伺うのも政務3役の仕事だと思って耐えてきました。
NTTに対しては、先方と取り決めた「割り勘」の会費を超えるような食事や飲み物が出されていたとしたら約束違反ですので、早急に明細単価を調べていただき、仮に『週刊文春』の記事にあるように差額が生じるのであれば、今日中にお支払いする旨をお伝えしてあります。
今回の記事を読んで、「行政の公正性」に特に注意を払ってきた者として、悔しくてなりません。