郵便転送サービスの悪用を防止する必要性
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8月12日の東京新聞朝刊で報じられていた事案は、特にストーカー被害者やDV被害者の方々が恐怖心を覚えておられるであろうと感じましたので、早急に改善していただくことが必要です。
報じられていたのは、日本郵便株式会社の「転居手続きサイト」を悪用して、知人女性の郵便物を、自分の実家宛に無断転送していた男性の行為でした。
日本郵便株式会社が実施している「転居・転送サービス」は、『郵便法』第35条に基づき、転居届を出すことにより、1年間以内に限り、旧住所宛の郵便物を新住所に転送してもらえるサービスです。
日本郵便株式会社では、このサービスを、無料で提供して下さっています(無料提供は、『郵便法』上の義務ではありませんが)。
この届出は、郵便局の「窓口」で行えるほか、「郵送」又は「ウェブ」(「e転居」)でも行うことができます。
転居届は、毎年約800万件出されており、「窓口」、「郵送」、「ウェブ」で、それぞれ約3分の1程度だそうです。
「窓口」での届出の場合には、運転免許証をはじめとする「本人確認書類」による厳重な確認を行っています。
他方、「郵送」や「ウェブ」の場合には、利用者利便に配慮し、「本人確認書類」の添付などは求めていません。
転居届の受け付け後、旧住所に日本郵便株式会社の担当者が訪問し、事実確認を行っているということでした。
ただし、担当者が訪問した際、不在で転居者に面会できない場合には、確認書を投函し、投函後3日間に疑義申出がなければ、転送が開始されます。
「ウェブ」での届出についても、届出を行った方との間で、入力したメールアドレスや携帯電話番号を通じ、メールや電話でのやりとりを行い、入力情報の真実性の確認は行っているそうです。
それでも、報道された事案のように、悪意の第三者によるなりすましを防ぐのは、難しいでしょう。
少なくとも、「本人確認書類」の画像添付など、改善の余地はあると感じました。
現在、日本郵便株式会社では、「転居・転送サービス」の「利便性の確保」と「本人確認の強化」とのバランスを考慮しながら、「ウェブによる認証の強化」に関する検討が進められているそうです。
今般の事案のような手法は、ストーカー被害者やDV被害者の方々に恐怖心を与えるだけではなく、事業者への営業妨害や、消費者が注文した商品の窃取などに使われる可能性もあります。
郵便サービスを悪用した犯罪は、許しがたいと考えています。
総務省では、情報流通行政局郵政行政部郵便課の職員達が、こうした事案を効果的に防止する為に何ができるのかといった観点から、日本郵便株式会社による検討を注視しているところです。