長距離の海底ケーブルは日本の強み
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去る7月27日に、チリ政府の運輸通信省が、チリとアジアを結ぶ海底ケーブルについて、総務省が提案していたルートの採択を決定したことは、とても嬉しいことでした。
チリ政府が検討を進めている南米とアジアを結ぶ海底ケーブルについては、2018年11月のAPECで、チリのピニェラ大統領から安倍総理に対して協力要請が行われて以来、積極的な協議を重ねてきたものです。
昨年には、総務省の巻口・国際戦略局長がチリを訪問し、チリとオーストラリア(シドニー)を結ぶルートを推奨し、協力することを提案していましたが、この度、チリ政府が日本提案のルートの採択を決定したのです。
既に、東京とオーストラリア(シドニー)の間は、総務省所管のJICT((株)海外通信・放送・郵便事業支援機構)が敷設したルートが今年7月から供用開始となっており、今後、シドニーとチリの海底ケーブル接続により、南米とアジアが繋がることになります。
長距離の海底ケーブルについては、世界シェアを見ると日本企業と米国企業が圧倒的に強みを持っている分野ですが、最近では、これまで短距離の海底ケーブル事業を手掛けてきた中国企業が進出を試みているようです。
今回のアジアとチリを結ぶ海底ケーブルについても、日本提案に加え、中国が提案したと思われる上海や香港とチリを結ぶ太平洋横断ルートなどが候補とされていました。
今後、チリ政府によるファイナンス調査や技術調査を経て、本年末頃には、ケーブルを所有するSPV(特別目的会社)が設立される予定であり、来年以降、実際に建設や運営を担う事業者の入札が行われます。
総務省としては、チリ政府やオーストラリア政府と連携し、ケーブルの敷設・運営についても、「高度のセキュリティ」を確保できる日本企業の参入を働きかけるなど、国際競争力の強化と国際協力の深化を進めてまいります。