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ハンコが泣いているが、「トラストサービス」の普及も急務

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 最近、テレビで、擬人化された「印鑑(ハンコ)」が泣いているCMを観て、少し切ない気持ちになりました。

 

 亡き母が、私が社会人になった時にプレゼントしてくれたのは、今も実印として使用している印鑑でした。母は、「結婚しても使えるように」と考え、氏ではなく「早苗」と彫ってもらったのだそうです。

 

 この大切な印鑑への愛着は変わりませんが、今は、総務大臣として、「トラストサービス」の普及に向けて取り組んでいます。

 

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、外出自粛が続く中、ネット上で官民のあらゆるやりとりを完結できるようにする要請が高まってきました。

 

 「せっかく在宅勤務をしているのに、ハンコを押す為にだけ、出勤しなければならない」といった不満の声が報じられています。

 

 先月には、政府の経済財政諮問会議やIT総合戦略本部でも、「紙や押印を前提とした制度や慣行を見直す」旨の議論が行われました。

 

 その為の基盤として、電子データの信頼性を確保する「トラストサービス」の仕組みが、重要な役割を果たすことになります。

 

 総務省では、以前から、「セキュリティを確保した上で、オンラインの情報流通を促進する」という観点から、「トラストサービス」の普及方策について、有識者会議(トラストサービス検討WG)で検討を進めてきました。

 

 今年2月のWG最終取りまとめでは、個人の認証に関する「電子署名法」などの制度を補完する観点から、

①受発注や支払いに関する電子データの発行元の「組織」を証明する「eシール」や、

②電子データの作成された「時刻」や「改竄の有無」を証明する「タイムスタンプサービス」などについて、

国が一定の関与を行うことにより「認定」する仕組みが提言されました。

 

 これを受けて、総務省では、「eシール」と「タイムスタンプ」、それぞれのサービスについて、認定制度の在り方などに関する有識者会議を立ち上げ、具体的な制度設計の検討を開始しました。

 

 「eシール」については、令和3年度中に、国が関与して策定した基準に基づく民間の認定制度の整備を目指しています。

 「タイムスタンプ」については、令和2年度中に、国の認定制度の整備を目指しています。

 

 署名や押印は、「民事訴訟法」第228条第4項に基づき真正性の推定がはたらく重要なものですから、これからも印鑑は大切にしなくてはなりません。

 

 しかし、自然災害や感染症発生時の業務継続などのニーズもあり、総務省としては、できるだけ速やかに「トラストサービス」の制度整備を進め、社会全体のデジタル化を推進してまいります。

 

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