防災行政無線の戸別受信機配布の緊急性
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今夏は7月の西日本豪雨以降も、台風が相次ぎ、痛ましい犠牲や甚大な被害が多発しています。
お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げ、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
また、浸水被害や土砂災害で大切な住まいや職場を失った方々の1日も早い生活再建を願い、施策面での応援をしたいと考えています。
今年の豪雨でも痛感したことですが、政府にも自治体にも、「防災行政無線の戸別受信機」の配布事業を、スピード感をもって促進していただかなければなりません。
この事業は、私が総務大臣だった時に考案し、開始したプロジェクトでした。
たまたま雨の日に集合住宅を訪問した時に、防災行政無線の屋外スピーカーの音声が聞こえませんでした。
最近は防音性の高い住宅が増えていますので、室内に居ると屋外スピーカーの音声が聞き取れませんし、豪雨時ですと、ベランダに出てみても何を言っているのか内容が把握できません。
先ずは、ご高齢の方や障害をお持ちの方に、迅速に必要な情報を確実にお届けし、早期に適切な避難行動を取っていただけるようにしたくて、総務省の情報通信部局と消防庁にコラボしてもらって、「情報難民ゼロプロジェクト」を立ち上げ、「アクションプラン」を取り纏めました。
「防災行政無線の戸別受信機」を配備する施策の検討に着手し、2015年度から、市町村の取組みに対して「特別交付税措置」を講じました。
2016年度には、補正予算を活用して「モデル事業」を実施しました。
戸別受信機は1台あたり7~8万円もしたのですが、災害時に真に必要な機能に限定することや大量発注することによって1万円台に抑えることも可能だと分かりました。
総務省の啓発活動や支援策の強化と自治体の判断次第では、普及が期待できます。
また、国土交通省や都道府県にも、事前の防災対策強化を積極的に検討していただきたいと願っています。
例えば水害対策にしても、普段から河川の浚渫(堆積土砂の除去)や河川内に生えている木を伐採するなどの維持管理をすることで、被害の軽減が期待できます。
勿論、従来から国費で支援してきた河川改修や遊水地の整備も急がなければなりません。
私の地元である奈良県の担当部長に対しても、全県的な危険個所の洗い出しと治水対策の強化をお願いしていましたところ、現在、知事と市町村長の緊密な連携の下、急ピッチで対応を進めていただいています。
一時は「コンクリートから人へ」のスローガンの下、防災事業も含めて中止や延期がなされました。
限られた財源の中で納税者の御理解を得ながら公共事業を行うことは容易ではないのかもしれませんが、被災後の復旧事業にかかる莫大な金額や被災者の方々の苦悩を考えますと、「生命を守ることが第一」と考え、事前の防災事業を抜本的に強化するべきだと確信します。