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自動運転システムのサイバーセキュリティ

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 今週の自民党サイバーセキュリティ対策本部の会合(毎週水曜日が定例日)では、「自動運転システムのサイバーセキュリティ対策」を議題にしました。

 

 多くの国会議員が参加して下さり、経済産業省、国土交通省、総務省、警察庁、内閣官房に対する質問や意見が相次ぎ、予定時間を超えても熱心な議論が続きました。

 

 自動車交通は、いわゆる「重要インフラ13分野」には含まれていませんが、国民の皆様の生命を守り抜く必要性から、特別に議題にすることとしたものです。

 

 丁度、先週の火曜日(1月23日)から、経済産業省と国土交通省が、高速道路に於いて、「トラックの自動走行システム」を使った「隊列走行実験」を開始しています。

 

 世耕弘成・経済産業大臣が、同日の閣議後記者会見で、2020年には「後続無人でのトラック隊列走行の実現」を、2022年には「商用化」を目指す旨を、発言しておられました。

 世耕大臣は、そのメリットとして、「運転者不足」という課題の解決を挙げておられました。

 

 私は、「悲惨な追突事故の防止」や「日本が誇る自動車関連産業の更なる競争力強化」といった効果にも大いに期待しており、必ず成功させなくてはならないと考えています。

 その為にも、早期に「隙の無いセキュリティ」を確立していかなければなりません。

 

 自民党サイバーセキュリティ対策本部の会合は、攻撃者にヒントを与える情報も含まれる為、議論開始後はマスコミの方々にも退出していただき、国会議員本人限定(秘書代理は不可)というクローズな環境で開催させていただいています。

 よって、本部会合で各省から受けた説明や国会議員による議論の内容については、本欄にも書けませんが、1人の自動車ユーザーとして不安に思っていたことで、事前に関係省に伝えておいた個人的な問題意識のみを記します。

 

 第1に、「IoT」の観点でのセキュリティ対策です。

 

 2015年に、米国で、2014年式のジープ(チェロキー)が、攻撃者の自宅リビングからの遠隔操作により、「走行中のエンジン停止」「ブレーキの無効化」「ハンドル操作」「ワイパーやエアコンの操作」「ドアロックの解除」などを行うことが可能だと判明し、140万台のリコールとなりました。

 

 1台の自動車に搭載されているコンピュータの数は約100だと言われますが、そのうち外部と通信が可能な機器のセキュリティ対策には、万全を期さなければなりません。

 外部と遮断された箇所においても、悪意を持った人が厄介なものを埋め込むことは可能です。

 

 日本の自動車メーカーでは、脆弱性を排除するべく大変な努力を続けていただいています。

 現時点で100%の安全を宣言できる状況には至っていないと承知していますが、世界で一番安全な自動運転車を市場化することによって、日本の自動車産業の国際競争力は未来に渡って強固なものとなるものと、期待しています。

 

 近い将来には「レベル3」の市場化、やがては「レベル4」へと、国内外で自動運転車の技術開発競争は激化しています。

 自動運転に係る安全基準については、2017年3月に国連WP29で成立した「サイバーセキュリティガイドライン」を捕捉する具体的要件の検討が、日本と英国の主導で進んでいます。

 

 自動車関連事業者・情報通信関連事業者・研究者・政府が十分に連携して、ガイドラインに示された基本原則(車外のネットワークから車内の制御系ネットワークが影響を受けないこと、システムの機能不全時のセーフモードを備えること、サイバー攻撃による不正操作を探知した時には車両を安全にコントロールすること等)をクリアできる自動運転車の開発を成功させていただきたいと願います。

 

 第2に、「電波」に係るセキュリティ対策です。

 

 車載センサ-による位置情報を補正する「準天頂衛星システム」については、

「偽の管制コマンドの発信」防止に加え、「ジャミング(妨害電波)」による位置情報の不具合が発生しないようにしていただくということです。

 この点は、総務省の皆様に頑張っていただかなければなりません。

 

 サイバーセキュリティ対策については、あらゆる分野で、人材育成、研究開発、情報共有体制の構築、法整備、国際標準化などが急務だと考えます。

 

 来週は、「仮想通貨流出事案」の分析も含め、「金融分野・クレジット分野のサイバーセキュリティ対策」を議題とする予定です。

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