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サイバーセキュリティ対策③:国際連携の深化に向けて

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 サイバーセキュリティ対策に係る国際連携の深化に向けては、先ずは、同盟国である米国をはじめ、価値観を共有する国との間での「多国間・二国間での情報連携の枠組み・協調を、更に緊密にしていくこと」が重要です。

 

 これまでの「協議・対話」に加え、「脅威情報の共有」「ベストプラクティス情報の共有」「技術協力(情報共有基盤を含む)」「ペネトレーションテスト(情報システムに対する侵入テスト)を含む共同演習・訓練」などを、迅速に実行するべきです。

 

 その場合、同盟国である米国との間では、『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法』(米軍の方針、計画、部隊の編制、配備、行動人員、装備の種類などの機密を探知、収集、漏洩する者は10年以下の懲役)や、『日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法』(米国から供与された装備品の構造、性能、使用法、品目、数量などの秘密を探知、収集、漏洩する者は10年以下の懲役)が存在しますから、サイバーセキュリティ対策についての連携は容易です。

 

 しかし、他の友好国からは「秘密の保持」に係る懸念が表明される可能性も否めませんから、私は、新たな法制度の検討を開始することが必要だと考えています。

 

 現状、「公務員の秘密漏洩を禁止」する法律としては、『国家公務員法』第100条(守秘義務違反は1年以下の懲役。教唆、共謀した民間人も処罰対象)、『地方公務員法』第34条(罰則は『国家公務員法』と同じ。警察官にも適用)、『自衛隊法』第59条が存在します。

 

 この他『特定秘密保護法』がありますが、スパイ活動そのものを取り締まる法律ではなく、適用対象は主に機密に接し得る公務員等です。

 

 自民党サイバーセキュリティ対策本部の会議では、「友好国に不信を抱かれないようにする為には、より適用範囲を広げた法律が必要だ」という意見が出た一方、「野党の反発が予想され、政治的に困難だ」との意見もあり、『第2次提言』では「法制度の整備に向けた検討」という書き振りに抑えました。

 

 加えて、価値観を十分に共有できていない国との間でも、当該国領域内からのサイバー攻撃を発端として不測の事態の発生や悪化を招く可能性がある為、国家間の信頼醸成に努める必要があります。

 

 更に、「国際機関への人材輩出」は重要なポイントです。

 

 国内外で発生したインシデントの中には、外国政府の関与が疑われるサイバー攻撃が含まれ、非政府組織によるサイバー攻撃も含めますと、それらの脅威に対処し、抑止する為には、同盟国・友好国・国際機関などとの間で「脅威情報の共有」「連携体制の構築」を進めることが重要です。
 よって、国際連合、ICPO(インターポール:国際刑事警察機構)、NATOサイバー防衛協力センターなどの機関に対して、継続的に府省庁横断的な人材輩出を行うべきです。

 

 警察庁にも、『サイバー犯罪条約』『刑事共助条約』などに基づき、ICPOや外国の治安情報機関との連携を強化しながら、国際捜査共助や情報交換を推進して、引き続き、犯罪抑止に貢献していただきたいと期待します。

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