総務大臣再任以降、多数の国より表敬訪問を受け、更なる協力強化や日本のインフラシステムの海外展開推進を目指した働き掛けを行いました。
令和元年11月18日には、ヴァルマ駐日インド大使と会談を行い、5Gのネットワークを含むサイバーセキュリティ分野に関する日印両国の協力や『ICT分野における協力覚書』への早期の署名に向けて、連携を強化していくことについて確認しました。
令和元年11月20日には、アラブ首長国連邦(UAE)のアルシャムシ国務大臣と会談を行い、情報通信や消防をはじめとする総務省所管分野に関する今後の協力について確認しました。
令和元年12月17日には、ウズベキスタン共和国のサディコフ情報技術・通信開発大臣と会談を行い、情報通信分野における両国間の協力関係や連携を一層促進していくことを確認するとともに、総務省とウズベキスタン共和国情報技術・通信開発省との間の『情報通信分野の協力に関する覚書』に署名しました。
令和元年12月23日には、米国のパイ連邦通信委員会委員長と会談を行い、5G及びサイバーセキュリティを含め、情報通信分野における日米連携を一層強化していくことを確認しました。
更に、国際機関との関係では、令和2年12月に開催予定のアジア・太平洋電気通信共同体(APT)の総会に向けて、日本として初めてとなる事務局長候補に近藤事務局次長を擁立するとともに、総会の日本招致に取り組みました。
令和2年1月に、ベトナム社会主義共和国を訪問し、情報通信、デジタル・ガバメント(電子政府)、地方自治、郵便、消防、行政相談、統計を含め、総務省の政策資源を俯瞰する一元的なアプローチを取ることにより、同国との協力関係をトップレベルで構築しました。
フック首相との会談では、5Gのセキュリティ対応の重要性、デジタル・ガバメント、統計ICT、行政相談、消防の各分野について意見交換しました。
フン情報通信大臣との会談では、5Gのセキュリティ対応の重要性、サイバーセキュリティ人材の育成、スマートシティの推進、郵便分野での協力などについて意見交換するとともに、総務省とベトナム情報通信省との間で、5G、サイバーセキュリティ及びスマートシティを今後の協力分野として新たに位置づけた『情報通信分野における協力覚書』の改定に署名しました。
チン共産党中央組織委員長とも会談し、5Gのセキュリティ対応の重要性、行政改革の為のデジタル・ガバメント推進、人材育成などの分野における協力について意見交換しました。
総務省では、これまでも地上デジタル放送や防災システムなど、個別の分野における海外展開の推進を通じた国際競争力の強化を図ってきましたが、令和元年11月20日に、総務省としての総合力を一層発揮してインフラシステムの海外展開を進める為に、より実質的な行動計画の策定に着手しました。
総務省全体での検討や有識者の皆様のご議論の結果、『総務省海外展開行動計画2020』を、令和2年4月30日に決定し、翌5月1日に発表しました。
具体的には、今後の海外展開を進める為の羅針盤として、
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「信頼性ある自由なデータ流通」や「自由で開かれたインド太平洋」などの我が国の外交政策と軌を一にした「5G日本モデルの導入」やそれを支える光海底ケーブルなどの「質の高いインフラ整備」
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令和2年1月のベトナム訪問を先例として、縦割り排除を徹底し、総務省の政策資源を総動員するとともに、JICT、JICA、JBICなどの関係機関とも連携した「官民一体の海外展開」
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「ポスト・コロナ」における海外展開も見据え、新型コロナウイルス感染症に対応する為の新たな生活様式を支える「通信網の整備」「ビッグデータ分析」「遠隔医療」などの分野における「我が国発の技術による国際的な連帯への貢献」
という3つの大きな柱を示しました。
令和元年6月の「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」で合意され、同月の「G20大阪サミット」や同年8月の「G7サミット」でも反映された『信頼性のある自由なデータ流通』(DFFT)を国際的に推進し、またDFFTの前提となる5GなどのICTインフラの安全・安心について国際的な調整を要する課題への対応を一体的に進める為、令和2年1月14日に、総務省に、「デジタル国際戦略室」を設置しました。
我が国企業によるインフラシステムの海外展開等を支援するとともに、我が国の海外経済協力に関する重要事項を審議する「経協インフラ戦略会議」において、令和3年度以降5年間の新たな目標を掲げたインフラ海外展開に関する新戦略の方向性などについて議論し、我が国の海外における情報通信分野に関する取組を推進しました。
令和元年の「OPEN異能vation」のイベントでは、失敗を恐れずに挑戦する方々の後押しをさせていただく重要性に触れ、我が国から破壊的イノベーションが生まれる為には、変わった発想の芽が自然と育つ苗代、失敗を恐れず果敢に挑戦できる環境、多様性を受け入れ認める文化などが必要になることを話しました。
前回の総務大臣在任中の平成29年に創設した『ジェネレーションアワード』は、応募件数が令和元年には1万件を超え、様々な方々の新しいアイデアが、協賛企業を通じて実現しています。中には、情報通信の枠を超え、食品産業のように思いもよらない分野で社会実装された例もあります。
また、総務大臣として、あらゆる発信の機会を捉え、異能人材同士が交流し、新たなアイデアや創業につながる「異能vationネットワーク」について紹介したり、「異能vation」の成果を幅広く発信したりするなど、破壊的イノベーションを生み出す意欲のある方々に伸びやかに活躍していただける環境作りを進めました。
- 『グローバルコミュニケーション計画2025』の策定
世界における「言葉の壁」の解消を通じて、グローバルな人材交流や日本のプレゼンス向上を目指す「多言語翻訳技術」の推進に取り組みました。
具体的には、令和2年を目標年として、「実用レベルの翻訳精度の確立」「対応言語の拡大」「多様な翻訳サービスの実用化及び社会実装」を目指し、具体的なプロジェクトの策定・実施に取り組みました。
更に、令和7年における「同時通訳」の社会実装を目指し、大阪・関西万博も見据えた多言語翻訳技術の更なる発展に向けて、新たな計画である『グローバルコミュニケーション計画2025』を令和2年3月31日に策定し、産学官による研究開発の推進を主導してきました。
通信設備を巡る国際競争の激化などにより、情報通信分野におけるセキュリティの強化が、これまで以上に求められています。
究極の暗号技術とも呼ばれ、国家間や国内の重要機関間で、距離によらず機密情報を安全かつ大容量にやり取りすることができる「量子暗号通信」のグローバルネットワークの構築に向け、先進的な研究開発を行う為の令和2年度予算を、大臣折衝を通じて確保しました。
また、「量子セキュリティ技術」の研究開発を産学官で推進する研究拠点をNICTに整備する為の令和元年度補正予算を確保するなど、我が国の「量子暗号通信技術」の研究開発の推進に努めました。
- 高強度深紫外LEDの活用による新型コロナウイルス等の「殺菌用光照射機材」の実用化に向けた取組
環境負荷が低く、効率的な通信を可能とする深紫外線を用いた情報通信技術に係る長年の基礎研究の成果を応用し、高強度の深紫外LEDを用いて、効率的に新型コロナウイルスを死滅させることが可能だと分かってきました。
これを受け、小型で持ち運び可能な「殺菌用光照射機材」の実用化に向けた実証試験を行う為に、令和2年度第1次補正予算を確保しました。
国際競争が活発化している宇宙開発を支える衛星通信技術などの「宇宙ICT」に関し、政府の「宇宙開発戦略本部会合」において、総務省の取組を紹介し、「技術試験衛星」「衛星量子暗号」「宇宙天気予報」といった先進的な取組を『宇宙基本計画工程表』に盛り込みました。