1.自由民主党 サイバーセキュリティ対策本部長として:平成29年11月~令和元年8月
- 2017年(平成29年)10月22日が投票日だった衆議院議員選挙の政見放送や街頭演説では、「サイバーセキュリティ対策の強化」と「防災対策の強化」を主要公約として訴えていた。
- 選挙翌月の2017年11月に、自由民主党本部に総裁直轄機関としてサイバーセキュリティ対策本部が新設され、初代本部長に就任した。
- 2018年(平成30年)9月の党人事でも再任され、2019年(令和元年)9月10日まで2任期、サイバーセキュリティ対策本部長を務めた。
①2018年(平成30年)4月24日に、『第1次提言 ~リスクの最小化に向けて。「コスト」から「投資」への意識変革を~』を取り纏め、同月26日に、安倍晋三総理に手交し、菅義偉官房長官に届けた。
- 『第1次提言』では、政府が定める「重要インフラ」(2018年4月当時の13分野:情報通信、航空、鉄道、物流、医療、電力、ガス、水道、石油、化学、金融、クレジット、政府・行政サービス)に自動車と安全保障を加えた計15分野について、「国内外で発生した主なインシデント事例」「サイバーセキュリティ対策の現況」「残存する課題と検討が望まれる対策」を分野別に整理した上で、多くの具体的施策案を記した。
- 『第1次提言』の内容は、高度セキュリティ人材の育成と処遇改善、研究開発の強化、産学官の情報共有・分析・対処体勢の強化、国際連携の充実、サイバーセキュリティの産業化、法制度整備、中小企業のセキュリティ対策支援、海底ケーブル防護、政府関連予算の拡充など、多岐にわたった。
- 『第1次提言』を提出してから3カ月後の2018年(平成30年)7月に、政府は、3年間を見据えた新しい『サイバーセキュリティ戦略』と年次計画である『サイバーセキュリティ2018』を決定したが、自由民主党サイバーセキュリティ対策本部の『第1次提言』の内容が随所に反映された。
- 『第1次提言』では、「重要インフラ13分野の『航空』とは、『航空運送事業者』を指し、『空港ビル事業者等』が含まれていない」と指摘したが、2018年7月には、政府のサイバーセキュリティ戦略本部で「空港」が追加され、重要インフラは14分野になった。
- 『第1次提言』では、「必要な予算の確保」も強く求めたが、政府全体のサイバーセキュリティ関係予算合計額が、2018年度当初予算621.1億円から2019年度当初予算712.9億円へと増額され、重要施策の強化と新規施策の展開が実現した。特に、『第1次提言』を反映し、サプライチェーンリスクや脆弱なIoT機器への対策が始まったことを評価する。
②2019年(令和元年)5月10日に、『第2次提言 ~「技術革新に後れを取らない法制度整備」と「強靭な体制の整備」を~』を取り纏め、同月14日に、安倍晋三総理と菅義偉官房長官に手交した。
- 『第2次提言』は、「国際ルールの構築に向けた積極的な貢献」「技術革新に後れを取らない法制度整備」「サイバーセキュリティ対策に資する体制強化」にテーマを絞って作成した。
- 特に、法制度整備については、「セキュリティ技術者の法的保護」「企業・団体等における対策強化」「利用者の保護」「アクティブ・ディフェンス」「秘密漏洩の防止」「サイバー犯罪の抑止に資する捜査の在り方」に資する法制度改正を提案した。