令和5年11月14日 記者会見
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1.発言要旨
冒頭発言なし
2.質疑応答
(問)理研の「NinjaSat」が打上げに成功しました。超小型衛星による宇宙観測への道を開くものですが、今後の小型衛星による宇宙観測への期待をお願いします。
(答)11月12日、理化学研究所の研究者が中心となって開発した、超小型X線天文衛星「NinjaSat」が打上げに成功したことは、大変嬉しく思っております。
この超小型衛星(キューブサット)は、低コストで、しかも短期間での開発が可能ですので、挑戦的で先鋭的な研究が実施できるという特徴がございます。
今回の「NinjaSat」も、X線で輝く「X線星」を機動的に捉えて、高感度で継続的に観測することが期待できます。どうしても大型の観測衛星になりますと、多くの研究者が参加して観測時間を分け合う形になりますので、今回、継続的な観測ができるのは非常に大きいと思っております。また、性能も素晴らしいものであると承知しております。
ですから、超小型衛星技術も、大型の宇宙望遠鏡と組み合わせて我が国の研究で活用し、成果が得られることを期待いたしております。
(問)宇宙戦略基金ですが、23年度の補正予算案で当初資金として3,000億円を積むということでした。かなり大きい金額という印象がありますが、この額についての大臣の受け止めをお願いします。
(答)今般の補正予算では、内閣府と総務省、文部科学省、経済産業省で検討を行いました上で、今後10年で技術開発に取り組むことが想定されるテーマのうち、早急に着手すべきテーマについて、当面の事業開始に必要な経費を計上したということでございます。
10年間で1兆円基金というのは、もう表に出ております。今後、研究開発の進捗や、新たな技術開発テーマの設定、またJAXAにおける体制整備の状況をしっかり見ながら、速やかに総額1兆円規模の支援を目指していきたいと考えております。
(問)関連して、今回の1兆円規模の基金の設置によって、我が国の宇宙産業は欧米と対等以上になれるのか、あるいは課題として資金以外の面でどういったものがあるかについて、大臣のお考えをお伺いできればと思います。
(答)宇宙産業、いろいろテーマがございます。例えば、輸送能力は向上させていかなければなりません。H-ⅡAロケットの来年の打上げについて、既に発表されたところでございますけれども、やはりH3ロケットなら、コスト的にも非常に安くなりますし、打上げ能力も高くなりますから、輸送能力は強化していかなければいけません。
また衛星コンステレーションの構築も、私どもは目指しております。特に通信の継続性は、安全保障上も非常に重要なものでございます。
そして、準天頂衛星「みちびき」は、測位に使われておりますけれども、これも4機体制から7機体制、さらには11機体制を目指していくという目標を持っております。
そういったことで、様々これから宇宙については、私たちの生活に身近なサービスを拡大するということ、充実させるということ、それからSAR衛星などに関しましては、災害のときの対応にも非常に重要なものでございますから、民間企業と力を合わせてコンステレーション化していくことも必要です。ですから、これから様々身近な私たちの安全を守る、そしてまた新たな産業につながるといったところにお金をかけていきたい。
それから、スタートアップが非常に優れた技術を持っておられますので、スタートアップをしっかりと支援して、海外展開できるような後押しもしてまいりたいと思っております。
この基金に限らず、文部科学省など、それぞれ所管の官庁で別途予算がついているものもございますので、全てを活用しながら、しっかりと宇宙を活用した私たちの生活の向上、安全の向上を実現していきたいと思っております。
(問)先日、AIを悪用した岸田総理の偽動画が話題になりました。今まさにAI戦略会議などでAIの活用に向けての議論が進んでいる中ですが、こうした悪質な動画などが出てきてしまっている現状があります。今後、こういった悪質な動画についてどのように対応、対策していくべきなのか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)偽情報と言われるものの投稿、拡散は、社会を混乱させる、また他人に迷惑をかける、場合によっては罪になるものでございますので、このような行為はくれぐれも慎んでいただきたいと思います。また学校教育や様々な社会教育の中でも、こういったことを周知していくことは重要だと思います。
その上で私の所管でいえば、科学技術政策の担当大臣でございますので、現在、AI戦略会議でまだ議論されている途中ではございますけれども、偽情報、誤情報の対策となる技術の開発・展開といったことは、決まりましたら進めてまいりたいと思います。
また、国際的な観点でいいますと、「広島AIプロセス」の中でも、国際的な指針や行動規範、また偽情報対策に関するプロジェクトベースの取組の議論を今、日本が議長国として主導しております。この中でも、コンテンツの出所を特定する技術も議論されていると承知いたしておりますので、そういったことが決まっていけば、しっかりと科学技術政策の中でも活かしてまいりたいと思います。
また、「経済安全保障推進法」に基づく「K Program」の第二次ビジョンでも、偽情報の検知技術が打ち出されておりまして、まだこれから公募という段階でございます。そういった使える政策資源をしっかり活用したいと思っております。