令和5年6月27日 記者会見
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1.発言要旨
科学技術政策担当大臣として報告をいたします。
従来のPRISMを見直し、各省庁での研究開発の成果を社会課題解決等に橋渡しするためのプログラムとして、本年4月よりBRIDGEがスタートしています。
CSTIのガバニングボードで、社会課題解決などに向けて、各省庁の政策やプロセスの転換、スタートアップによる事業創出など、7つの重点課題を設定し、各省庁から施策を募集しましたところ、予算額の倍近い御提案がございました。
各省庁から御提案いただいた施策につきまして、BRIGEの目的や重点課題との整合性などの評価基準に基づき、ガバニングボードや、それを補佐するプログラム統括チームの有識者で構成されるBRIDGE評価委員会において、事前評価を実施いたしました。
6月22日に開催したガバニングボードにおいて、事前評価の結果を踏まえて、令和5年度のBRIDGE対象施策として33件、合計約56億円を決定しました。
今回がBRIDGEへの見直し後、初めての対象施策の決定となります。BRIDGEにより、各省庁における革新技術などによる社会課題解決等に向けた取組が加速することを期待いたしております。
2.質疑応答
(問)BRIDGEの中でも社会課題の解決、その中でも、例えば、研究成果の社会実装があるかと思います。これまで研究成果の社会実装を目的とした施策を各省庁でいろいろやられてきたと思うんですが、なかなかうまくいった事例というのは、あるけど少ない。なぜ今までうまくいかなかったのか、大臣の御認識をお教えください。
(答)内閣府でも、これまで研究開発成果の社会実装には取り組んでまいりました。例えば、SIP第1期の成果では、「アンモニア燃焼技術」「自動運転のダイナミックマップ」などは社会実装に繋がった事例であり、こういったものも多くございます。
他方、社会実装を目指していても、事業期間中は研究開発にとどまって、事業期間後に民間企業で事業モデルの開発など、社会実装に向けた更なる取組が必要な場合もございます。
また、社会実装に向けては、制度の整備、社会的受容性の醸成といった、1企業だけで取り組むのが難しい課題があることもございます。
そのため、この春スタートしましたBRIDGEでは、各省庁の研究開発の成果を速やかに社会実装に橋渡しするために、研究開発と併せて、事業環境の整備、政策の転換など、社会実装に向けた取組を支援することにいたしました。
今回決定した対象施策の中でも、例えば、SIP第2期で開発された洪水等の災害リスク情報を統合的に提供するシステムにつきまして、企業などへのデータ配信の事業モデルを検討するといった取組も行うことにしています。
国のプロジェクトで開発された技術が、速やかに社会実装できるように頑張ってまいりたいと思います。
(問)先日のAI戦略会議で、高市大臣が、AIに関する総務省と経産省のガイドライン見直しや、統合が必要である、との趣旨のことをおっしゃっていたかと思います。改めて、現行のガイドラインには何が足りないのか、新たなガイドラインには何を盛り込むべきなのか、お考えを聞かせてください。
(答)昨日開催されたAI戦略会議におきまして、私からAI利活用の最も基本となる総務省と経済産業省のガイドラインについて、生成AIを踏まえて見直すとともに、これを統合してAIの開発者・提供者・利用者にとって、より分かりやすいものにする必要があると問題提起をいたしました。
今後、具体的な検討は、総務省と経済産業省で有識者会議を開かれて、その結果を踏まえて行われると思いますので、現時点で断定的にお答えするというのは難しいのですが、少なくとも、申し上げた生成AIに関する記述は、絶対に必要だと考えております。
(問)生成AIで、中で使われる大量に学習したデータに含まれる、個人情報、著作権の権利を持っている作品など、トレーサビリティを要請するわけですが、それを国として解き明かすというか、評価する技術を持っていないといけないと思います。経済安全保障にも関わるわけですし。そうした技術をどうやって育てていくか、加速していくかというのをいただきたいです。
(答)まさにこれからの課題だと思います。昨日のAI戦略会議におきましても、著作権法上の課題について、知的財産担当事務局から説明を受けたところでございます。今後、必要な技術開発、これはAIそのものについてもそうですけれども、しっかりと進めていかなければいけないという問題意識は持っております。
(問)先週のことで恐縮ですが、経済界で活躍なされた牛尾治朗さんがお亡くなりになられました。安倍さんとも親しかったこともありますし、高市先生も牛尾さんのことについて書かれている文書などがまだネット上に残っていますし、一言あればお願いします。
(答)元経済同友会代表幹事で、ウシオ電機創業者として活躍された牛尾治朗先生が亡くなられたことは、私にとっても悲しく、寂しいことでございます。心よりお悔やみを申し上げます。
これまで日本の規制改革、また経済構造改革でも大きな足跡を残された方でございます。
私自身は、松下幸之助さんが牛尾治朗先生を大変高く評価しておられたという御縁もあって、23歳の頃から御指導を受け、政治家になってからも何度もお目にかかって、いろいろなアドバイスを頂いてまいりました。本当にとても寂しいです。
特に、私が3期目から4期目に挑戦する選挙のときに、一度落選をしました。そのときに牛尾先生にお会いしたら、よい政治家になろうと思ったら、落選の経験も必要だと。安倍晋太郎さんや麻生太郎さんも、3期目、4期目という中堅議員になってから落選を経験している。落選した人の気持ちが分かる。他人の痛みが分かることは大事だよ、と言ってくださって、また頑張ろうと励みになったことも思い出しております。
心より感謝と哀悼の誠を捧げたいと思います。