2014年12月19日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
今朝は、官邸で、閣議及び閣僚懇がございました。
【暴風雪による被害】
まず、この度の暴風雪により亡くなられた方々の御遺族に対しまして、心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われました方々にお見舞いを申し上げます。
発達した低気圧の影響によりまして、北日本から西日本の広い範囲にかけて暴風雪となり、本日8時の時点で、死亡者5名、負傷者27名が確認されております。
なお、富山県の死亡者1名につきましては、黒部市で除雪により用水があふれ、解消のために出動していた消防職員が用水路に流され、心肺停止の状態で発見され、その後、死亡が確認されました。
また、北海道の根室市では、高潮により住家浸水や道路冠水といった被害が発生しており、根室市消防本部と海上保安庁が、浸水した住家からゴムボートによりまして、33名の救出活動を実施したところでございます。
大雪、暴風のピークは過ぎつつありますけれども、今後とも、雪崩や除雪作業などには十分御注意いただき、それぞれ安全確保をお願いしたいと思います。
引き続き地方公共団体、消防機関との連絡を密にいたしまして、情報収集に努めてまいります。
【平成26年版消防白書】
それから、本日の閣議についてでございますが、席上、私から平成26年版消防白書の概要を配布しました。
昨年の秋から今年の秋にかけましては、伊豆大島の土砂災害、広島市の土砂災害、御嶽山の噴火災害など大規模な自然災害が相次いで発生し、また、福岡市の診療所で火災が起きるなど、災害や事故により、多くの人的・物的被害が生じました。
特集では、これらの災害において消防機関がどのように対応したかについて、また、災害を踏まえた消防防災体制の整備について記載しています。
また、東日本大震災などを踏まえて取り組んでいる緊急消防援助隊の機能強化、消防団等地域防災力の充実強化についても、特集として紹介しております。
【産業連関表(速報)の公表】
そして、本日の閣議において、もう1件、私から平成23年、2011年の産業連関表速報について発言しました。
産業連関表は、全産業の国内生産の状況や産業相互間の取引状況など、我が国における1年間の経済活動の全体像をまとめたもので、概ね5年ごとに作成しております。
詳細につきましては、統計基準担当の政策統括官室に御確認をお願いします。
なお、本表でございますが、経済構造や経済波及効果の分析など、政策立案の基礎資料として各種施策の効果分析などに幅広く利用できるものであることから、積極的に活用いただきたいということを閣僚に要請したところであります。
【地域経済循環創造事業交付金の交付予定団体の決定】
閣議とは別件でございますが、この度、地域経済循環創造事業交付金の今年度予算分最後の交付予定団体を決定したので、報告をいたします。
この事業は、自治体と地域金融機関が核となりまして、地域の資源を活用して、地元の雇用を創出する取組を支援するものでございます。
ローカルアベノミクスの推進エンジンの一つであります「地域経済イノベーションサイクル」にかかる交付金です。
今回は、13団体17事業、4.8億円を決定いたしました。
この結果、現在までで197事業、66.8億円が交付決定され、金融機関からは72.4億円の融資をいただける見込みとなり、投資効果は2.1倍となりました。
また、事業立ち上げによりまして、多くの雇用や地元の原材料の購入費に充てられた上、金融機関への返済の前提として相当額の税収が見込めるなど、将来の財政健全化に向けた投資にもなっております。
この197事業を分析しますと、主に地域住民を対象とした域内消費に関わる事業が約3割の62事業、主に観光客や地域外の市場を対象とした域外消費に関わる事業が約7割の135事業となっております。
このように、安定的な事業収益が期待されながら、広く地域の内外の需要を取り込んでいく先例を積み重ねてまいりました。
今後は、これまでの先行モデルを、広く自治体や地域金融機関、事業者の皆様に周知を図らせていただきながら、全国の市町村が策定する創業支援事業計画と併せて、地域の総力を挙げて、より生産性の高い新規事業を立ち上げていく「ローカル10,000プロジェクト」を鋭意推進していくために、経済対策や来年の当初予算にも盛り込んでいくよう努めてまいります。
【「異能vation」の進捗状況】
それから、本日は、本年度より開始しました、独創的な人向けの特別枠「異能(いのう)ベーション」の進捗について、御報告をしたいと思います。
本件は、破壊的な価値創造につながりますイノベーションを創出するために、大いなる可能性がある奇想天外で野心的な技術課題に挑戦する個人を支援するものでございます。
この公募に当たりましては、国民各方面から幅広く御提案を頂くために、簡便な申請方式とするとともに、自薦のほかに他薦も受け付けるなど、応募方式も工夫を凝らしたということです。
その結果、本年夏の公募では710件の応募を頂きまして、一次選考により37名に絞らせていただいた上で、その方々に、試行的な研究に取り組んでいただいてまいりました。
これらを踏まえまして、今般、ICT分野において世界的に活躍しているスーパーバイザーによる評価等を踏まえまして、最終的に10名の方が選出されました。
具体的には、技術的に難解なものが多いのですけれども、簡単に紹介させていただきますと、例えば、空間の超音波を操りまして、軽い物体であれば、手を触れずに空中に浮かせて自在に動かす技術でありましたり、それから、伸縮自在の装置を用いまして、環境の変化などに対応して自由に形を変えられる構造物を実現する技術などがございます。
また、詳細につきましては、事務方より説明をさせていただきます。
これからでございますが、今回選ばれた10名の方々は、それぞれの技術課題への挑戦を進めていかれることになります。その取組が独創的な研究成果につながっていくとともに、この事業が国内で様々な技術課題に挑戦する方に勇気を与え、そして、また、我が国発のイノベーション創出の実現に資するということを期待いたしております。
【「データサイエンス・オンライン講座」の開設】
総務省は、将来の経済成長を担う「データサイエンス」力の高い人材育成のための取組といたしまして、自らの学びをサポートする、ウェブ上で誰でも参加可能なオープンな講義「データサイエンス・オンライン講座」を開設します。
この講座の第1弾としまして、本日、「社会人のためのデータサイエンス入門」の受講者の募集を開始します。
今回募集を開始します「社会人のためのデータサイエンス入門」は、統計学の基礎やデータの見方など、データ分析の基本的な知識を学ぶことができる内容でございます。
この講座は、日本政府が初めて提供する「MOOC(ムーク)講座」でございます。
こうした取組を通じまして、日本の企業活動の活性化及びオープンデータの利活用の促進につながることを期待いたしております。具体的には担当課に御確認いただきたいと思います。
【AEDの適切な管理】
最後に、今日、閣議前に、私の方から塩崎厚生労働大臣にも、お願いを兼ねて説明を申し上げたことがございます。
数日前、NHKのニュースだったかと思いますが、非常に寒冷な環境下においてAEDがうまく作用しなかったケースがあるということが報じられておりまして、たまたま、それを観ておりました。
AEDにつきましては、これまでも、消防庁から、全国の消防本部に対し、適切な管理をお願いしてきたところなのですけれども、気温が氷点下になるなど寒冷な環境においては、バッテリーの出力低下、電極パッドの凍結などによって、正しく作動しない可能性が指摘をされているという状況でございます。
ですから、改めまして、昨日付で、消防庁の救急企画室から、各都道府県消防防災主管部局宛てに、AEDの日常的な保管や寒冷な環境下への運搬に際して適切な温度管理を行うように、そして、また、各都道府県から市町村に対して周知をしていただきますように、お願いしたところであります。
さらに、AEDにつきましては、厚生労働省の方で所管されております。
消防本部が保有しているAEDにつきましては、消防庁からお願いすることで、適切な管理が、当然、行われていると思うのですけれども、様々な場所に、今、取り付けられておりますので、一般の方も御使用になれるわけでございますので、厚生労働省としても、しっかりと御対応をお願いしますと。既に、いろいろ周知はしていただいていると伺っておりますけれども、更なる適切な保管・運搬の方法についての周知を御検討いただくようにというお願いでございます。
これは事務連絡として、本日、厚生労働省に対して発出をいたしますが、閣議前に塩崎大臣にも簡単な御説明をさせていただき、お願いをしたところです。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<2020年代に向けた情報通信政策の在り方>
- 問: 幹事社から1問お願いします。昨日、情報通信審議会がですね、2020年に向けたICTの競争政策の在り方等について、答申を出されました。NTT東日本と西日本の地域会社が始める光回線の卸売りについて、ルール作りを総務省に委ねるというような方向性です。これについてですね、KDDIと日本ケーブルテレビ連盟が昨日ですね、透明・公正な競争環境を確保するためのルール作りとかですね、具体的には約款開示を義務化して欲しいですとか、卸売りに関するガイドラインを策定して欲しいというようなことを、総務大臣に向けて要請されましたけれども、これにどう対応されるお考えかお聞かせください。
答: NTT東西の光回線サービス卸売りにつきましては、やはり多様な新サービスの創出ですとか、光回線の利用率の向上によりまして、我が国の経済成長への寄与が期待できます。一方で、公正競争の確保に十分留意する必要があると思っております。
この公正競争確保の考え方につきましては、昨日、情報通信審議会から答申を頂きました。
その中で適正性・公平性や一定の透明性が確保される仕組みの導入の検討や、それから、携帯電話とのセット割引や過度のキャッシュバックが競争環境に影響を与える可能性などに留意すること、こういう御指摘も受けております。
この答申を作っていただくに当たりましては、電気通信事業者からのヒアリングも踏まえた活発な議論のもとで取りまとめをしていただきました。
この答申の考え方に沿って、公正競争上のセーフティネットについて、与党の御意見もよく伺いました上で、具体的な仕組みを検討してまいりたいと考えております。
<衆議院選挙と放送法>
- 問: フリーランス記者の上出と申します。前回16日の記者会見、私は出られなかったのですが、会見録を見ての質問です。例の衆議院選挙での報道、放送の在り方について関連です。質問が出たのですけれども、大臣、具体的にはお答えになっていなかったので確認します。やはり11月22日にですね、当落の報道については気を付けてくださいという趣旨の要請が出されました。現実には、幾つかの放送局でちょっと勇み足がありました。これについて、具体的に対応されたのか、あるいは、されてなかったら、される予定はあるのか。大臣の御認識を改めて、これが1点です。
答: 放送事業者からの報告によりまして、具体的な件数につきましては、前回の記者会見の時点で把握しておりました件数と今も変わってないということですから、6件ございました。
これに対しまして、特に私の方から、1社1社に対しまして何かを申し上げるということはいたしません。
選挙が始まる前に、民放連及びNHKに対しまして、十分慎重な当確放送をしていただくということを要請いたしまして、結果的には、残念ながら各社合わせて6件というミスが出たわけでございますけれども、また、今後の選挙の度に要請をしっかりと続けてまいりたいと思っております。
それぞれに、打ち間違いをしてしまわれた放送事業者の中で、今、要因の分析等を進められていると、そのように考えております。
問: 最後になります。自民党が11月20日付けで、萩生田さんの名前、お二人ですけれども、放送局に公正な報道をするようにと、街頭インタビューのことにも触れて、かなり細かく要請をしておりました。これが、メディアでもいろいろ話題になって、批判的な報道も含めて、いろいろ話題になってというか、現実にそのせいかどうか、萎縮効果があったらしくてですね、放送時間が前回と比べると3分の1から5分の1ぐらいに減っているというような。放送局の方に聞きますと、ちょっとやっぱり事なかれ主義で何かあったらあれだから、どうしても少なくなったんだよというような説明をしてくれた放送局の方もおります。これについて、大臣がどういう御認識かということと、放送法では、政党がそういう要請をしてはいけないということは書いていませんけれども、政権与党という大きな力を持ったところが、こういう要請をするということについて、何らかの対応とかが必要なのか、これは問題ないのか、その辺の御認識を改めてお聞かせいただければと思います。
答: 報道では、与党からも野党からもですね、そういった要請、公平な公正な報道をしていただきたいといった類の要請があったという旨は、承知をいたしておりますけれども、私は詳細に全文を読んでいるわけでもございません。
また、政党がされたことについて、政府として、良いとか悪いとかコメントをするべき類のものでもないと思っております。
そして、与野党からの要請によって放送時間が短くなったのか、また、他にも随分、風雪害も含めて様々なニュースもございましたので、その結果、放送時間が短くなったのか、そういったことについては分かりませんし、実際にこれまでの選挙に比べての報道時間の長短についても、各局別に私が把握をしているわけではございません。
特に放送法の趣旨に沿っていただいて、各放送事業者に関しましては、公正に、公平に、中立的に報道をしていただければ、それで結構かと思っております。
ただ、様々な争点があると思うので、そういったことに対する健全な議論を封じ込めるようなものであるべきではないと考えます。放送法もそのような趣旨であると考えております。
- 問: 共同通信社の渡邉と申します。よろしくお願いします。今朝方の報道で、新聞報道ですが、奨学金の返済の支援についての記事がありまして、これについてお尋ねしたいのですが、地元の就職を前提に自治体や産業界で基金を作ってというスキームを考えるべきだと報道されていて、総務省としては、恐らく文科省と、恐らく、大臣が力を入れている経産省との連携事業かなと思うのですけれども、今のスキームの検討状況、お話しできる範囲でお願いしたいのですが。
答: 地方からの人口流出につきましては、大学に進学をされる時、それから、卒業後に就職をされる時という、二つの時点において顕著だと私は考えます。
地方での人口減少を克服して、若者の地方定着を促進するということを考えますと、先に申し上げました二つの時点、ここに焦点を当てて、在学中からもインターンシップなどの実施をしっかりして、それも地域の企業と連携した形でインターンシップをしたり、共同研究をしたり、そういった土壌を作っていくということ。
それから、卒業された方が地方で定着して、安定的に収入を得ながら働くことができる、そういう環境を作っていくことというのは、ものすごく大事だと考えております。
ですから、県立大学など公立大学の活用も含めながら、より多くの地方の若者が地方大学で学び、そして、また、卒業後の就職先として地方企業を選択すること、また、都市部の大学から地方の企業に還流していただく、そういった取組も併せて必要だと考えておりますので、地方への新しい人の流れを作る取組としまして、現在、総務省と文部科学省におきまして、奨学金を活用した大学生の地方定着、地方公共団体と大学が連携した取組を支援するための方策を検討している最中でございます。
また、経済産業省に関しましては、特にインターンシップなどを進めていく、共同研究を進めていく時に、地方の中小企業や商工関係団体、また、技術系の団体などとの橋渡し役をしていただくということが非常に重要かと思っております。
奨学金そのものにつきましては、文部科学省と当省の間で、今、検討中ということでございます。
問: 確認ですが、方策検討中ということですけど、実施の方向ということでよろしいのかということと、報道では地方交付税とありますけれども、普通交付税ではなくて特交なのかなというふうにお見受けします。あと、多分基金を作ること自体が、まず、本筋のスキームであって、その後の、何というか、支援措置かなというふうにお見受けしますので、例えば、基金を作る時期と財政措置の検討の時期というのはずれが生じる可能性というのもあるのでしょうか。この3点です。
答: 現在、前向きに方策を検討中と、そこまででございます。
詳細につきましては、まだ、詰まっておりません。
- 問: 朝日新聞の竹山と申します。衆院選の結果に関連してお伺いします。比例区の北海道ブロックで、「支持政党なし」という党派が10万票余りを獲得して、一部の政党よりも得票が多かったのですが、そのことに関して大臣のお考えが何かございましたらお聞かせください。
答: はい。比例代表の投票用紙に「支持政党なし」と書かれたということでございますね。
それはそれで、一つのそういう意思の表明だったのかもしれませんけれども、私はその詳細は承知いたしておりませんけれども、民主主義の基盤となる、代議制民主主義の基盤となる大切な一票でございますから、是非とも有効にその権利を行使していただきたいと思っております。
問: ほか、各社さんよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
答: どうもお疲れ様でございました。