2015年4月28日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
官邸で、閣議、閣僚懇がございました。
【ネパール地震災害】
まず、冒頭にネパールの地震災害について申し上げます。
4月25日土曜日15時11分頃、現地時間では11時56分頃に、ネパール中部において、マグニチュード7.8の大規模な地震が発生しました。
首都カトマンズ市内では、かなり大きな建造物の倒壊が各所で確認されておりまして、多数の死者・行方不明者がおられ、深刻な状況であると聞いております。
まずは、この地震でお亡くなりになった方の御冥福を祈り、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、被災地の早期の復旧・復興を祈念申し上げます。
ネパール政府から支援要請をいただいた後、日本政府は、国際緊急援助隊救助チームの派遣を決定しました。
消防は、消防庁職員、東京消防庁を始め、7消防本部の救助隊からなる総数17名の国際消防救助隊を編成し、国際緊急援助隊救助チームの主力として派遣いたしました。
国際緊急援助隊救助チームは、日曜日、26日の夕刻に成田国際空港を出発し、バンコクを経由し、昨日カトマンズに到着する予定でございましたが、カトマンズの空港の混雑のため着陸できず、バンコクに戻り、バンコクに宿泊をしました。
本日、再度、カトマンズに向け出発し、捜索・救助活動を開始する予定と聞いております。
26日の日曜日には、成田国際空港で結団式を行い、私からのメッセージを救助隊に伝え、激励をいたしました。
隊員の皆様の士気は、極めて高いものでございます。現地の到着が遅れておりますけれども、一刻も早く現地に入ることができ、今後の捜索・救助活動において、我が国の高い救助技術を十分に発揮していただくことを期待いたします。
【「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係る注意喚起】
次に、ドローンについてでございますが、24日に官邸にて関係省庁連絡会議が開催され、政府一体となって早急に対策を進めているところでございます。情報通信を所管いたします総務省としましては、まず、このドローンの利用にあたっての注意喚起として、プライバシー等への配慮のお願いをしたいと思います。
一般的に、画像・映像を撮影し、インターネット上で公開する場合には、プライバシー等への配慮が求められます。
特に、無人の小型飛行機でありますドローンは、上空からの撮影が可能であり、普段人の目が届かない民家やマンションの部屋の中などを撮影することが可能です。
したがって、利用の仕方によっては、プライバシーや肖像権の侵害行為となる危険性が高くなります。
ドローンにより画像・映像を撮影すること、また、その画像・映像をインターネット上で公開することは、民事・刑事・行政上のリスクを負うことになります。
総務省として、ドローンを利用して撮影し、そのデータをインターネット上で公開する場合の配慮をお願いします。
具体的には、撮影の際には被撮影者の同意を得るということを前提としつつ、同意を得ることが困難な場合には、人の顔や車のナンバープレート等、プライバシー侵害の可能性がある映像に対しては、ぼかしを入れるなどの配慮をすること。
特に、ドローンによる撮影映像等をインターネット上で公開できるサービスを提供する電気通信事業者におかれましては、削除依頼に対する体制を整備することをお願いしたいと思っております。
今、申し上げました「ドローン利用にあたっての注意喚起」については、総務省ホームページに本日公開しますので、御確認を願います。
【タイ王国出張】
次に、私の出張についてでございます。
4月29日水曜日から5月2日土曜日まで、タイ王国を訪問します。
今回の訪問は、現在のプラユット政権となってから、日本の閣僚としては初の訪問になります。
今年2月のプラユット首相の来日時に、両国の首脳による日タイ共同プレス声明が発出され、その中で情報通信分野や放送分野における協力の推進が述べられているところであります。
今回の訪問では、プラユット首相に表敬をしますほか、ポーンチャイ情報通信技術大臣、タレス国家放送通信委員会委員長と会談を行う予定です。
共同プレス声明を受けまして、防災ICTやサイバーセキュリティを含む情報通信、放送、郵便分野での具体的な二国間協力が加速していくように協議をいたします。
また、安倍政権は、日本のインフラシステムの海外展開を推進しております。今般の訪問に併せて、タイ政府と、「日タイICT官民ビジネス対話」、「次世代放送ラウンドテーブル」、「放送コンテンツビジネスマッチング会議」を共催いたします。日本からは、約50社120名の方が参加の予定です。
今回の訪問を通じまして、情報通信、放送、郵便等の各分野における日本企業の海外展開を後押しするとともに、ICTによるタイの社会的課題の解決に貢献し、日タイ両国の協力関係及び友好関係の強化につなげてまいりたいと思います。
具体的な日程につきましては、後ほど事務方より配布をさせていただきます。
【分散型エネルギーインフラプロジェクトの推進】
そして、もう1件、分散型エネルギーインフラプロジェクトの推進について申し上げます。
今年は、「為替変動にも強い地域経済構造の構築」というものを、大臣としての目標に掲げました。
来年4月からの「電力小売の全面自由化」は、地方にとって大きなチャンスであります。
現在、家計と企業からの電気料金への支出は、年間約18兆円でございます。現状で、これの約1割を占める地域エネルギーが、今後更に1割以上拡大すれば、年間1.8兆円以上の売上が地域に環流することになります。
現在、水力発電など、地域エネルギーが全体に占める割合が約1割なのですが、この割合を少なくとも倍増させるくらいの方向を目標としたいと考えております。
この取組は、国が強制するものではなくて、地域の特性に応じた自主的・自律的なものであるべきだと考えております。
ただし、推進に際しましては、自治体以外にも、融資を行う地域の金融機関、利用者などとの連携・調整を要するものでございます。
エネルギーの売上という安定した財源を担保に、投資を促進するようなスキームの工夫が必要だと考えました。
ドイツやオーストリアなどの先進的な地域では、例えば、需要家との15年間の熱供給契約を担保にして、投資を促進するようなスキームを構築しておられます。こういったところに視点を移して、研究を進めてまいりたいと思っております。
総務省では、関連省庁と連携して、取組意欲の高い地方団体について、「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」で検討を推進しているということは、皆様も御承知のとおりだと思います。
今後、これを更に加速させて、持続可能な事業になるための条件を整備して、「事業化スキーム」を構築し、地方創生の柱になるように取り組んでまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<統一地方選挙の投票率と今後の対策>
- 問: 大臣ありがとうございました。今月、幹事社を務めさせていただきます、読売新聞の加藤です。よろしくお願いします。幹事社から1問、質問をさせていただきます。
統一地方選挙の投票率についてお伺いします。26日にですね、後半戦が終わりまして、市町村長選挙であるとか、市町村議会選挙、いずれもですね、過去最低というふうになりました。前半戦と合わせて、これまでに例を見ない低調ぶりであって、定員割れや無投票選挙というのも相次ぎましたが、こうした結果に対する大臣の御所見とですね、来夏には参院選を控えておりますが、講じるべき対策についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
答: はい。前半戦・後半戦を通じて投票率が非常に低かったということは、大変残念に思っております。
また、今回の統一地方選挙は、地方創生という大きな流れの中で、住民に身近な地方公共団体の果たすべき役割が増大している、そういう中で、地域の将来を託す代表者を選ぶ大変重要な選挙でございました。立候補者がなかなか出てこない地域があったということも、残念なことでございます。
地方選挙の無投票当選につきましては、地域や選挙によって事情は様々であると思います。例えば、首長選挙でしたら、非常に見事な実績を上げておられる首長がいらして、他の方がなかなか出ようと思わない、そういった事情があったところもあるかと考えます。
しかしながら、公共のために働きたい、住民の代表として働きたいという意志をより多くの方々に持っていただけるように、選挙や政治に関わる一人一人においても、尽力すべき重要な課題だと認識をしております。
また、投票率の向上という点では、有権者が投票しやすい環境を整備するための実効ある方策について、先般、省内の研究会において中間報告を取りまとめたところであります。
今後、実効ある方策について、実現可能なものから順次取り組んでまいります。中には法改正が必要なものもございます。十分に吟味しながら、しかし、できるだけ速やかに取組を進めてまいりたいと思っております。
そして、やはりこうした取組の前提として、最も重要なことは、国民の皆様一人一人の政治参加意識の向上を図っていくことだと思います。引き続き、文部科学省や各選挙管理委員会など関係機関と連携しながら、主権者教育を推進してまいりたいと考えております。
<クローズアップ現代のやらせ疑惑問題>
- 問: 毎日新聞の横山です。NHKの問題に関してお伺いしたいことがあるのですけれども、今日、NHKのクローズアップ現代のやらせ問題に関しての調査委員会が最終報告書をまとめられるという報道があるのですけれども、「やらせはなかったが、不適切な演出があった」という報告書のようなのですけれども、まだ内容を把握されていないかもしれないのですが、放送法を所管する大臣として、この報告書の受け止めと再発防止といったようなところの観点で、どういった課題があるとお考えか教えてください。
答: 今日ということで、報道がなされておりますことは承知しておりますけれども、具体的な事実関係は承知しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。
問: 再発、問題の詳細は別として、こういったことが起きないために、どうしたらいいかというところの大臣のお考えはありますか。
答: 先般、中間的な報告を拝見しました。本日、今、最終報告が出るのではないかという問いかけがありましたけれども、それらのスケジュールについても、まだ具体的には承知をいたしておりません。
しかしながら、最終報告については、できるだけ速やかに取りまとめていただきたいという考えを持っておりましたし、また、その中で、再発の防止策というものがしっかりと明記をされ、また、明記をされた場合には、それを速やかに実行に移していく体制を確立していただきたいと期待をいたしております。
<自民党「情報通信戦略調査会」による放送事業者の事情聴取>
- 問: フリーランス記者の上出と申します。あまり出席していなくて申し訳ありません。今の質問にちょっと関連して質問させてください。今回、テレビ朝日とNHKとを自民党が事情聴取、そのこと自体がですね、政権与党がこういうことをするということに対しては、非常にやはり萎縮効果とか、放送法の精神からいっても、政府からの独立というですね、そういう本来の目的とだいぶ反しているという、そういう批判もずいぶん強いです。
総務省としてはですね、直接その番組に介入することは、おそらく否定的だとは思うのですが、今回のことと更に民間放送がですね、自主的にやっている放送倫理・番組向上機構、いわゆるBPOにまでですね、干渉して、これが自主的にやっている形を変えてですね、政府のOBなども入れるようにとかという、そういうことも報道されております。
そういうことも含めて、ちょっとこうやり過ぎではないかという声がずいぶん起きております。メディアの社説などにも書かれております。これについては、総務大臣としてはどうお考えですか。大変大事な問題だと思うのです。やり過ぎはいけないと思うのですけども。
答: 与党の方で、自民党で、それも政調会の中の組織でなされていることですから、総務大臣としてのコメントを申し上げるのは大変難しいことでございます。
今おっしゃったBPOへの干渉ということについても、報道されていることは承知しておりますが、その調査会の場でそういった御発言があったのかどうかということについては、私は情報を持っておりません。
ただ、当日、17日の自民党の「情報通信戦略調査会」では、「放送業界を取り巻く状況等について」という議題の下で、テレビ朝日及びNHKに対して、任意で出席を求めたものだということは聞いております。
任意で出席を求めたものであり、また、テレビ朝日の方が、出席後にコメントをしておられて、「せっかくの機会ですので、誤解が生じていたら困るということもありますので、いい機会だと捉えまして出席をさせていただきました」とおっしゃっておりましたので、直接的に何かこれが圧力に当たるというものではないのだろうと考えております。
いずれにしましても、放送事業者におかれまして、やはり放送法の規定にあるとおり、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることはない」という3条、それから、「政治的に公平」、「報道は事実をまげない」、「意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする」という4条、こういった原則に従いまして、自律的に放送番組を編集していかれる、ここが大切なことだと思っております。
<海外馬券のインターネット限定販売>
- 問: ちょっと毛色の違う質問なのですけれども、農水省が競馬の国際レースの販売をされるということで、それをインターネット販売に限定して行うということを発表しているのですけれども、その辺り、通信を所管する大臣としては、農水省と何かお話をされているとか、今後、在り方を検討されると思うのですけれども、どういうふうに捉えているかとか、今のところありますか。
答: 私自身はまだ、現段階で農水省と話をしておりません。今後また詳しく伺って検討させていただきます。
問: よろしいでしょうか。
答: どうも、お疲れ様でございました。