2015年9月4日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様おはようございます。
官邸では、今朝、閣議と閣僚懇がございました。
【4省庁タスクフォースと都道府県プラットフォームによる大きな地域経済好循環の実現】
私の方から、4省庁連携の新しい取組について紹介をいたします。
エネルギーシステム改革により開放される大きな市場の一部を「エネルギーの地産地消」によって地域の経済循環につなげるということで、地方創生と為替変動に強い地域経済の構築が可能となると考えてまいりました。
その際のポイントが、再生可能エネルギーの導入拡大でございます。
このため、皆様も御承知のとおり、総務省では、関係省庁と連携をしながら、自治体を核として、地域の総力を挙げて、木質バイオマス等の地域資源を活用した地域エネルギー事業を次々と立ち上げるという「分散型エネルギーインフラプロジェクト」を推進中でございます。
分散型エネルギーインフラの整備におきましては、地域の金融機関をはじめ、数多くの関係者の調整等、自治体が主導的な役割を果たすということが期待されておりますので、総務省では、「地域の特性を活かしたエネルギー事業導入計画」、いわゆる「マスタープラン」の策定を行う自治体を支援しているところでございます。
先般から、政府全体の再生可能エネルギー導入を支援する補助金等について調べてみましたところ、経済産業省、農水省、環境省、総務省の4省で、合計31件の補助金がございます。例えば、平成27年度当初予算では、4省合わせて1,027.2億円、また、26年度補正でも1,260.5億円ということでございます。
いずれも、それぞれの思いを持って、趣旨を持って作られている補助金なのですけれども、ただ、これらの4省の取組に横串をきちっと刺すということによって、事業化が早まる。こういう可能性があるのではないかと考えました。
地域エネルギーの事業化促進のためには、多額の投資が必要となります。関係省庁、この4省庁による「タスクフォース」を立ち上げまして、地元で条件が整ってきているプロジェクト推進の適地において、横串で集中支援するスキームを構築することで合意をいたしました。まず、資源エネルギー庁・林野庁・環境省と総務省の4省庁で「タスクフォース」を立ち上げましたので、これが1点目の報告でございます。
また、各府省庁にまたがる支援策等を共有して、それぞれの地域で自治体を中心として金融機関や経済界と連携して、地域エネルギーの事業化を促進するプラットフォームを都道府県単位で整備するという方向で調整中でございます。
このようにしまして省庁間の横串のタスクフォースと、自治体主導での地域の横串であります「地域エネルギー事業化促進プラットフォーム」というのが連動して、電力自由化によって開放される大きな市場において、地域経済の好循環を、より早く、より大きく生み出していくということによって、新たなローカルアベノミクスを強力に推進してまいりたいと考えております。
【「異能ベーション」の進捗状況】
それから、2点目でございますけれども、独創的な人向け研究開発特別枠「異能(いのう)ベーション」の進捗について御報告をいたします。
本プログラムは、「大いなる可能性がある野心的な技術課題に挑戦する独創的な人材」を支援するものでございます。
5月の公募開始の際に、この場でも紹介申し上げましたけれども、今年度は多くの若い世代の方から応募していただけますように、文部科学省の御協力もいただきまして、全国全ての大学、高等学校、高等専門学校等にも周知を行い、公募を行いました。
この結果、今年度は、昨年度の710件を上回る1,061件の応募がありまして、100倍を超える競争率となっています。
応募者の内訳でございますが、10代、20代前半の若い方からの御提案が、前年比約2.7倍と大幅に増加をしています。
また、北海道、中部、九州地方からの御提案が、前年比約2倍になるといったことで、「失敗を恐れず挑戦をする」という本プログラムのメッセージが全国に浸透してきているのではないかと考えております。
このように、全国から頂いた多くの御提案につきまして、ICT分野で世界的に活躍しておられるスーパーバイザーに御評価をいただき、一次選考を行ってまいりましたが、今般44名の方が通過されました。
詳細につきましては、この会見後に事務方より説明させていただきます。
今後は、一次選考を通過した案件の中から、10月を目途に最終選考者を決定する予定でございます。
また、昨年度の採択者につきましては、年度内に研究成果の発表会を開催する予定でございます。
本プログラムの継続的な取組が、我が国発の破壊的イノベーション創出に向けて、大きな推進力となっていくことを期待いたしております。
私からは、以上です。
〔質疑応答〕
<マイナンバー制度>
- 問: 幹事社の日本経済新聞の学頭です。1問お伺いします。マイナンバー制度についてなのですけれども、10月5日から個人番号通知が始まります。残り約1カ月程度になりました。地方自治体の準備状況、特に情報セキュリティ対策は十分でしょうか。
民間の調査などでも、制度の認知度が低い状況が指摘されていますけれども、例えば、通知カードを誤って捨ててしまうなどの混乱を防ぐために、総務省としてどのような対策を講じるか、併せて教えてください。
答: マイナンバー制度は、国民生活にとって重要な基盤となる制度でございます。本年10月5日の個人番号の付番ですとか、付番後の通知カードの郵送に向けまして、現在、全国の市区町村や日本郵便等と準備を進めているところであります。
しかしながら、日本年金機構の個人情報流出事案もあり、情報セキュリティ対策について非常に多くの方々が心配をしておられますし、何よりも大切なことであると、私も考えております。
総務省としましては、マイナンバー制度が施行される10月5日までに、市区町村が既存の住基システム等とインターネットで通信ができないようにする措置を実施するために、その費用について特別交付税措置を講じまして、都道府県とも協力しながら引き続き強く働きかけてまいります。
また、通知カードにつきましては、10月5日から順次発送が始まるのですけれども、概ね11月中には全世帯に初回のお届けができるように、今、調整、準備を進めております。
引き続きマイナンバー制度の周知・広報と合わせて、通知カードを大切に保管していただくように、内閣官房と協力しながら、テレビ、新聞広告などを活用させていただいて、集中的に周知・広報をしてまいります。
<就任一年を振り返っての受け止め>
- 問: 共同通信の江藤です。昨日で就任から一年だったと思うのですけれども、この一年間振り返っての受け止めをお願いします。
答: 江藤さん始め、記者の皆さんから教えていただいて、昨日で一年だということに気がつきました。
総務省に昨年の9月3日にまいりまして、驚くほど仕事が早く優秀な職員の皆様に助けていただきながら、地味ではありますけれども、着実に仕事を進めてくることができたと、まず職員に感謝を申し上げます。
それから、いろいろな災害が起きるたびに、特に台風が発生したというと、土曜日でも日曜日でも、そして、深夜でも、朝方まで、各地の被害状況を各消防本部等から情報を集め、そして、情報通信、電波、つまり、固定電話がつながっているかどうか、携帯電話が使える状態かどうか、テレビ・ケーブルテレビなど停波していないか、そういうことを調べながら復旧を急いでいただく。そのために、本当に多くの職員が徹夜で全国と連絡を取り合い、そして、夜中であろうが早朝だろうが、私にも丁寧に報告をいただいております。
大変幅広い分野を擁する総務省でありますが、職員の皆様が本当に熱心に、真面目に、そして、スピーディに結果を出すために頑張ってくださっている。共に働けていることを大変幸せに思っております。
特に、私自身が新しい政策をどうしてもやりたいということで、相談をすることがございます。例えば、去年9月3日、就任した夜でございましたけれども、ジェトロや中小機構と、そして、この総務省、地方自治体を直接つなぎながら、投資を地方に呼び込んだり、地方の産品を海外に輸出したり、そういう仕組みが作れないだろうかということを申し上げました。
しかし、そういった考え方に対して、職員の皆さんは本当に努力し、真摯に対応し、各省との調整もしっかりと進めながら、皆様も御承知かと思いますが、「地域経済グローバル循環創造ポータルサイト」が8月から本格的に稼働し、更に情報を充実させていくということで、地方でも説明を申し上げますと非常に高い評価をいただけるようになりました。
それから、先ほど冒頭発言で発表いたしましたような4省庁連携の取組も、実現するのは大変なことでございます。私自身も、当然官邸への御説明にもまいりましたし、各省大臣にも御相談をしてきたことですけれども、それよりも早く職員の方々が動いて各省の職員としっかりとしたネットワークを持っておりますので、事務的な下地をしっかり作ってくださった。こういうことがございます。
私には、政府の中にある政策資源を、できるだけ存分に活用して、そして、あまり重複のないように、できるだけ力を合わせることによって政策効果を最大化したいなという強い思いがございます。
それからまた、できるだけ利用者から見て、ワンストップで情報が得られる状態を作りたい。先ほどの再生可能エネルギーでも、どこかの地域で計画をされた時に、どこの役所に言っていいのか分からないとか、そういうことではなくて、例えば、総務省の地域の元気創造プラットフォームでチェックをしていただくと、全ての役所の持っている政策資源が分かり、また、実現可能性の高いところに優先的にみんなで力を合わせて支援をしていく。そういうワンストップ化を進めたいなという思いがございます。そういった私の提案に、常に職員の方々はいろいろ苦労しながら応えて下さいました。
そして、もう一つ、私は、特に「大臣認可案件」につきましては、リスクが想定される場合には、時には事務方でしっかり固めた結論であっても、それをひっくり返すこともございます。かなり御苦労もしていただいたとは思いますけれども、それでもやはり、「大臣認可案件」については、責任は私一人が負うべきものでございますので、リスクの最小化ということ、それから、国民の皆様の利益、国民益の逸失を防ぐということ、そして、もしかしたら間違っているのではないかなと思うことを、長く続ける場合に出てくるデメリット、こういったことを総合的に判断する場合が往々にしてございます。けれども、そういったことについても、大変真摯に対応をしていただき、助けていただいております。
また、私自身が作っているルールについても、全省的に浸透しているのではないかなと思っています。総務省でやっていることにしても、それから、総務省が所管しております特殊法人などにおきましても、たびたびトラブル、ミスが起きることがあります。
例えば、郵便がうまく届かなかったということがあったり、また、NHKでちょっとしたトラブルがあったというようなことがあったり、それは省内に限らず、所管している場所でもあるのですけれども、私は何か過ちが起きた時に、十分調査をし終えてから、時間をかけて皆様にお知らせするというよりは、最初に事案が発生した時に、第1回のお知らせをするべきだと考えています。マスコミの皆様にもそうですし、国民の皆様にもそうです。今こういう事態が起きておりますと、ただ、まだ詳細は調査中ですけれども、まず第一報をということを、納税者の皆様にできるだけ早くお伝えするということが何よりも大事であるということを、常々申してまいりました。
今、全省的に、みんながそのようにして動いていただいていると思っております。記者クラブの皆さんには、時々夜の8時頃に急に資料配付があったりして、何だろうというようなこともあるかもれませんが、所管する特殊法人においても、同じような対応をしていただいている。
1年経って十分に働けているかどうかは自分で分かりませんけれども、多くの方に助けていただき、記者クラブの皆様にも、いつもいろんな問題提起をいただき、何とか働かせていただいていることに感謝をいたします。
問: ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。
答: どうも、お疲れ様でございました。