2016年2月12日 記者会見
更新日:
〔冒頭発言〕
おはようございます。
本日は、官邸で、閣議、閣僚懇がございました。
【選挙執行経費基準法及び公職選挙法一部改正案の閣議決定】
本日の閣議におきまして、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、本日、国会に提出する予定としています。
本法案は、有権者が投票しやすい環境の一層の整備を図るために、選挙執行経費基準法について、適切に見直しを行うとともに、公職選挙法について、共通投票所制度の創設、期日前投票の投票時間の弾力的な設定、投票所に入ることのできる子供の範囲の拡大などの改正を行うものでございます。
本法案につきましては、本年の参議院選挙の円滑な執行のため、年度内の成立をお願いしておりまして、今後、成立に向けて力を尽くしてまいります。
【マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞】
先月から、マイナンバーの利用とマイナンバーカードの交付がスタートしています。また、マイナンバーカードのICチップの空き領域と公的個人認証の機能、いわゆる「マイキー」の活用に大きな注目が集まっています。
こうした中、今後、各自治体におかれましても、ホームページや広報紙を活用した、きめ細かな広報の充実が重要だと考えています。
各自治体に一層の分かりやすい広報の実施を促す観点からも、この度、「マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞」を設けまして、自治体の優れた取組を表彰することにより、その充実を促すこととしたいと存じます。
本日、マイナンバー制度の更なる周知・広報と「マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞」の実施について、各自治体に通知をするとともに、本年7月を目途に、表彰を実施することを予定しています。
詳細につきましては、自治行政局住民制度課にお問い合わせをお願いします。
【マイナンバーカード(電子証明書)活用公的個人認証サービス利用事業者の認定】
マイナンバーカードに格納された電子証明書等を活用する公的個人認証サービスは、総務大臣の認定を受けることを前提に、本年1月1日より民間事業者へも利用が開放されています。
本日付で、初の認定を、民間事業者3社に対して行いました。認定を行った3社は、「日本デジタル配信株式会社」、「一般社団法人スマートテレビ連携・地域防災等対応システム普及高度化機構」、「一般社団法人ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」でございます。
当該3社は、マイナンバーカード(公的個人認証サービス)を活用され、「ケーブルテレビを通じた個人に最適な行政情報の配信や、オンラインショッピングなどの各種民間サービス」、「スマートテレビを通じた個々の家庭の状況に応じた防災情報の配信」、「パソコン等から母子健康情報を閲覧できるサービス」、「医療機関間における画像データ等の連携サービス」といった官民サービスを提供していく予定と聞いております。
特に、母子健康情報の閲覧サービスや医療機関間のデータ連携サービスにつきましては、本年3月からサービスを開始する予定でございます。
マイナンバーカード(電子証明書)の利活用場面の拡大の主体として、今後、益々の積極的な取組に期待しています。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<公職選挙法改正案の閣議決定の受け止めと対応>
問: 幹事社の共同通信です。いくつか幹事社から質問させていただきます。
先ほど、大臣が説明されていましたけれども、公選法改正案等が、今日閣議決定されたと思うのですけれども、これは、投票率向上に向けての取組の一環だと思うのですけれども、投票率向上に向けて今後の対応があればお願いします。
答: 投票率が低下傾向にございます中、有権者が投票しやすい環境を作るということ、投票率の向上を図っていくということは、重要な課題だと思っております。
こういう認識のもとに、選挙執行経費基準法の改正にあわせ、公職選挙法について、本年の参議院選挙における投票率の向上を目指して、改正法案を提出することにしました。
本年の参議院選挙ですが、選挙権年齢の引下げに伴いまして、新たに18歳、19歳の方々も投票できる選挙となります。こうした若い方々も含めた有権者の皆様の投票環境の向上が図られるように、本法案によって制度面の対応や予算面での対応、選挙啓発の取組等について、各選挙管理委員会とも連携しながら効果的に取り組んでまいりたいと思っております。
<NHKアイテックの着服問題処分の受け止めと対応>
問: ありがとうございます。ちょっと話題は変わりますが、NHKのアイテックの社員が約2億円を着服した問題で、アイテックが社員の懲戒解雇や役員の辞任を発表しましたが、大臣の受け止めと今後の対応があればお願いします。
答: NHKアイテック社員による不正事案につきましては、社内調査の報告書が取りまとめられて、これを受けて、社員2名、上司16名の処分、社長を含む取締役5名の辞任が発表されました。
調査報告書によりますと、内規では、見積書など発注先からの書類について、管理職が確認を行い承認することになっていますが、調査の結果、9割以上の書類は存在しておらず、管理職が書類を確認しないまま承認していたという事態が判明したということでございます。
その結果、6年間にわたって、約2億円の多額の着服が見逃されてきたということであり、上司の監督責任が問われるのは当然のことだと思います。
NHKは、国民視聴者の皆様が負担しておられる受信料で支えられている公共放送でございますので、こうした子会社の不祥事は国民視聴者の信頼を大きく損なうものでございます。
9日に国会に提出しましたNHK予算に付する「大臣意見」でも述べさせていただきましたが、NHKにおかれては、ガバナンスを含め子会社の在り方そのものをゼロベースで見直す改革を早急に実施するとともに、子会社を含むグループ全体におけるガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底に取り組むことによって、再発防止を徹底し、国民視聴者の皆様の信頼回復に、組織を挙げて取り組んでいただきたいと考えております。
<宮崎衆議院議員の議員辞職の意向>
問: 幹事社から最後の質問なのですが、週刊誌で不倫疑惑を報じられた自民党の宮崎衆議院議員が議員辞職の意向を固めたということなんですけれども、大臣の受け止めがあればお願いします。
答: 先ほどテレビで速報が流れたように聞いておりますけれども、宮崎議員の記者会見はまだこれからですね。ですから、最終的にどういう考え方をお示しになるのかは、今、承知しておりません。国会議員、政治家の出処進退は御自分で判断されることだろうと思います。
<政治的公平性に欠ける放送局への電波停止の可能性(1)>
問: フリーランス記者の上出です。国会で、先般いろいろ論議されました放送法第4条の関連でお伺いします。高市大臣は、極端な場合に当たるかもしれないけど、私の在任中にはないと思うというようなことをおっしゃっていました。政治的公平を欠くぐらいの偏向報道の極端な場合の、その判断の目安について御質問します。
例えば、新聞の場合ですね、そういう法律の規定は一切変わりません。原発再稼働、憲法改正、これはいわゆる国民を2分するような問題かもしれない。ただ、例えば、フジさん、産経さんは賛成の立場、つまり、安倍政権を支持する立場を明確にされている。反対に、朝日、毎日、東京さん、具体的な名前で恐縮ですが、反対する立場を明確にされています。このような、新聞のように一貫してそういうことを示したりすると、放送局、テレビでそういうことが出ると政治的公平を欠く偏向番組となるのでしょうか。行政処分の対象となるのでしょうか。その辺のことを具体的にお聞きしたいんですね。
答: 放送につきましては、有限希少な電波を使われるということで、活字媒体とは違った法体系になっております。
放送法は、第1条の目的規定で、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保するということ」を規定しています。ですから、放送番組の適正性については、基本的には放送事業者の自主自律によって確保されるべきものでございます。
また、放送法上、「放送事業者は、放送番組の編集の基準を定め、これにしたがって放送番組の編集をすること」と第5条第1項に規定されています。また、「放送事業者は、放送番組審議機関を設置し、そこで放送番組の適正を図るために必要な事項を審議すること」が第6条に規定されています。つまり、放送事業者の自主自律によって、放送番組の適正を図るということが規定されています。
総務大臣としましては、このような取組にもかかわらず、必要な場合に応じて、放送事業者からの事実関係を含めた報告を踏まえて、放送法を所管する立場から必要な対応を行うものだと考えています。
先ほど、第4条ということでの御質問だと思いますが、政治的公平などの番組準則は放送法第4条で規定されていまして、従来から、これは法規範性を有するものというのが総務省の考え方です。これは、民主党政権の時にも、その前の自民党政権の時にも、そのように答弁をしております。
したがって、放送事業者が番組準則に違反された場合には、総務大臣は放送法第174条に基づく業務停止命令、電波法第76条に基づく運用停止命令を行うことができるというのが、法律の規定でございます。ただし、放送法第174条に規定されています業務停止命令というのは、「ソフト事業者」を対象としたものでございます。
一方、電波法第76条の方は、これは、「特定地上基幹放送事業者」を対象としたものでございます。
先般の予算委員会でも答弁しましたし、前回の記者会見でも申し上げましたけれども、こういった法令に基づく命令につきましては、「法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであること」に加えて、「その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり」、かつ、「同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは、法律遵守した放送が確保されないと認められる」場合でございます。
極めて限定的な状況のみに行うということにしており、慎重な配慮のもと、運用すべきであると考えています。
いろいろな御意見が放送で披露されていますけれども、これまで放送法第4条違反として「命令」をした事例はございません。
問: 同じ閣僚でも石破大臣などはですね、こういった、気に入らないから統制するようなことというのは、民主主義とメディアの関係をおかしくすると。明らかに高市大臣とはちょっと違うニュアンスですね、言っておられます。そして、現実に、先ほど新聞の例を挙げましたが、新聞の報道をそのままテレビでやったとしても、それぞれマスメディアの方たちは、それぞれ良識で世論に反対する意見も載せていますし、主張は明確ではあるけれども、それで国民に何か偏向というような感じで影響を与えるとも思えませんし、そもそも放送法第1条の表現の自由と民主主義を守るということが、放送法の根幹だと思うのです。あんまり、アメリカなんかでは、公平準則はございませんし、そういうふうなことはあまり法律で決めない方がよろしいのではないかと思うのですが、今のままで、新聞のような報道をしても、私は、テレビ局は問題ないと考えますが、いかがですか。
答: 新聞に載っていることをテレビ局が報道しておられるのは、ほぼ毎日のように、各媒体に、こんなことが出ていますよということを紹介しておられる番組があるのを承知しております。それは、何も問題がないと思います。
石破大臣がどういう表現をされたのか、私はその場にいませんので分かりませんが、仮に今おっしゃったように、「気に入らないから統制する」ということをおっしゃったとしたら、大変心外でございます。私は「気に入らないから統制する」ということを申し上げたことは一度もございませんし、そういったことはあってはなりません。
私たち閣僚や国会議員には、憲法遵守義務がございます。憲法第21条に「表現の自由」が規定されております。しかしながら、この憲法が保障する自由、権利、これは公共の福祉のために用いるべきことも規定されています。放送法も、各条文とも憲法に沿った形で、つまり、憲法に反した内容の法律であれば、これは違憲立法となってしまいますから、私たちは憲法を守り、そして、憲法に合致した形で規定された法律をしっかり守っていく、そういう立場になると存じます。
決して、「気に入らないから統制する」というようなことを申し上げたこともありません。
そして、度々、「高市大臣がまた電波の停止に言及」といったようなことを報道されていますけれども、予算委員会で電波法について聞かれた場合に、「全く電波法については答弁できません」と、私が申し上げるわけにはいきませんので、これは答弁いたします。実際にある法律ですから、現存する法律ですから、現存する法律を全くこれは否定すると、この法律はおかしいという答弁を現職閣僚がするわけにはまいりませんので、電波法について聞かれた場合には、誠実に事実関係を答弁する。しかも、行政の継続性というものが必要ですから、過去の総務大臣や副大臣の、これは政権交代前の答弁から私は持っておりますので、そういったもので整合性がきちんととれるように、法律に関しては答弁をしている。これは当然のことだと思っております。
問: IWJの阿部と申します。放送法に関連して質問をお願いします。高市大臣がおっしゃるとおり、放送法が法規範性を持つものであり、総務省は放送事業者に対して業務停止命令を行うことができるのだとしたら、放送法第1条の2項が定める「放送による表現の自由を確保する。」、放送法第3条に定める「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」。先ほども出ましたが、憲法21条に定める表現の自由に違反するものになります。この矛盾に対して、どう説明されますか。お願いします。
答: 今、まさに第3条を読み上げてくださいました。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということでございます。「法律に定める権限」というものは、放送法に書き込まれてあり、また、電波法にも書き込まれてある内容であると存じます。
<別人の写真付きマイナンバーカード作成>
問: 共同通信の藤元です。ちょっと話は変わりまして、マイナンバーカードに関しまして、一部ではありますが、顔写真と氏名、住所が一致しないカードが出来上がってしまうという事例が出ていると聞いております。これに際しましては、入力の際の入力ミスが原因と思われているのですが、これをチェックするシステム、機能がないというのが問題かなと思っておりまして、それに対する受け止めをお願いします。
答: マイナンバーカードが別人の写真付きで交付窓口及び自治体に届くケースのお話かと思います。
マイナンバーカードの交付申請ですけれども、オンラインでできるようにもなっています。パソコンやスマートフォンで申請される方もいらっしゃるのですが、J-LISによりますと、申請者がオンライン申請の際に入力される申請書IDの入力を間違われたと。それが偶然に別の方のIDと一致した場合に、別人の写真付きカードが作成されるケースがあると聞いています。
私は郵送で申請をしたのですけれども、その時は、申請書にあらかじめ住所や自分の名前が書いてあって、自分のやることは写真を貼ったりという作業になるのですが、このオンライン申請の場合は、申請者の負担軽減の観点から、マイナンバーですとか住所を入力することは不要としているということから、このような事態が生じていると思います。申請書IDだけ入力すればいいということになっています。
今J-LISにおきまして、IDの入力を間違えないようにという注意喚起を行うとともに、IDを2回入力していただくと、このような入力方法の改正について、検討を行うと聞いております。これでかなり改善されるのではないかと存じます。
<政治的公平性に欠ける放送局への電波停止の可能性(2)>
問: 朝日新聞の相原です。放送法にお話が戻るのですけれども、大臣は昨日公開したブログやフェイスブックで、放送法に抵触する可能性がある事例として、テロへの参加呼びかけや放送免許人が選挙中に自分の宣伝番組を流し続けるといったようなケースを挙げました。
その前の段落で、極端なケースが生じた場合のリスクに対する法的な備えが必要とも書いておりますが、これについて、将来このようなケースが実際あり得るというふうに思っていらっしゃるのかということを1点聞きたいのですが。
もう1点は、同じブログで、1番組のみが法に抵触するケースとして、過去に自民党だけの政党の広報番組を流した地方局や、総選挙投票直前に民主党だけのPR番組を流したという事例を挙げております。これとは別に、日々のニュース番組における報道や論評について、1番組のみが当てはまる事例というのはあり得るとお考えでしょうか。
答: まず、最悪のケースですけれども、最悪のケースが起こりうるかというと、それは分かりません。
私も議員立法をやっておりましたけれども、そういった時に、「ないかもしれないけれども、将来起こるかもしれないリスク」に対する法的な備えをする場合というのはあると思います。いろいろな法律で、最悪のケース、万が一こういうことが起きたら、それに対する対応ができないということがあっては、国民の皆様の安全ですとか公益に反することになりますので、あくまでも法的な備えというのは必要だという考え方でございます。「そういうことは絶対起こらない」ということを、期待する立場でございます。
ただ、御承知の通り、免許人の数も大変多ございますので、将来、未来永劫起こらないかといったら、それは、そういった意図を持った方がそういうことになると難しいことになるのではないかなと思います。あり得ないことを期待しています。
それから、個別の番組ということですが、これは過去に1番組だけでも「行政指導」を行ったケースはございます。非常に極端な例でございます。ただ、これは「命令」ではございません。電波法や放送法に基づく「命令」といったものではございません。
1つは、今おっしゃいましたとおり、自民党だけを85分間にわたって取り上げた番組がございました。これは明らかに1つの番組であっても、政治的公平に係る問題があるということで、局長名での厳重注意がなされた例だったと思います。1つは、選挙期間中だったと思うのですが、これは民主党だけを長くPRしたという場合で、これも局長名で厳重注意がなされた例が、過去にございました。
番組全体を見て判断するということについて、その基本は変わりません。ただ、番組全体を見て判断するとしましても、番組全体というのは1つ1つの番組の集合体になりますから、1つ1つの番組を見ながら全体を判断していくということになります。
先ほど例に挙げていただいた行政指導が、1つの番組に対してされたような事例です。
どういったことがあるかというと、例えば、月曜日は自民党の総裁を呼びましょう、火曜日は民主党の代表を呼びましょう、水曜日は公明党の代表を呼びましょうというふうに、各党の代表者を1日ずつ順繰りに呼んでいかれるような場合、これは全体を見て、1週間かかるのか、もう少しかかるのか分かりませんが、判断するようなケースであろうと思います。
ただ、「極端な場合」ということで、これは27年5月12日の参議院総務委員会、それから、今年の2月8日の衆議院予算委員会についても、「これまでの解釈の補充的な説明」として答弁させていただいたのですが、例えば、1つの番組でも、「選挙期間中、またはそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを、相当時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公明性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合」、それから、「国論を2分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げ、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」のように、当該放送事業者の番組編集が「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合」といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない、というものでございます。
つまり、放送事業者の番組全体を何日にもわたって、もしくは、数か月にもわたって見るまでもなく、その1つの番組だけが特集番組で選挙の投票日前日であったりといったようなことで、その1つの番組を見ただけで、番組全体で政治的な公平が確保されないと判断されるような場合であって、一般論として「政治的に公平であること」を確保していると認められないというものに限定して、できるだけ分かりやすいようにということで補充的な説明をし、より明確にしたものでございます。
<マイナンバーの利用範囲>
問: IWJ、阿部です。マイナンバーについて、マイナンバーで利便性向上を目指しているとのことですが、国民には利便性とは別に不安があると思います。例えば、共通番号法19条12号には、刑事事件の捜査やその他政令で定める公益上の必要がある時には、マイナンバーを集め、利用することができる旨が規定されています。刑事事件の捜査や、その他政令で定める公益上の必要がある時等は、具体的にどのようなケースを想定されているのでしょうか。
答: マイナンバーそのもの、番号そのものの利用ということでございますでしょうか。
問: はい。
答: (事務方)刑事事件については、担当は内閣府、内閣官房になるのですけれども、基本的には刑事訴訟法に沿って、適正に手続きが行われるものですので、そういったものの心配は当たらないのではないかというふうなことで認識しています。
<放送行政を所管する第三者機関の設置>
問: 恐れ入ります。ビデオニュース・ドットコムの鈴木と申します。また放送法の関係に戻らせていただきますが、大臣に伺いたい1点目でございます。日本のように行政政府と放送というのが、権限も含めて比較的かなり近い関係にあるというのは、各国の行政を見てもなかなか、そうした日本のような例はないような事例があると思います。各国、第三者的、あるいは独立した行政委員会というものが監督に当たると。そういうシステムができておりまして、日本もかつては電波監理委員会というのが放送法制定当初はあったのですが、それが廃止をされて、郵政省の傘下に入ったと。そういう経緯もございます。
今回、大臣がいろいろ発言をされている、あるいは、その可能性も含めて、法律に沿った対応ということを説明される中で、やはり行政が放送に対して何らかの権力を行使できる余地が残るというところに、非常に我々も不安を感じておるのですが、第三者機関的な、いわゆる独立行政法人、あるいは行政委員会、独立した行政委員会方式で放送行政を行っていくような、かつての電波監理委員会のようなものを、今後、システムを改めて進めていく、あるいはそういったアイデアについて、大臣の見解はどのような見解か教えてください。
答: 諸外国、日本以外の国の中で、行政と放送の関係が非常に遠い国ということの具体事例を挙げていただければ、より分かりやすいのですけれども。
現在、放送法は、放送事業者の自律の下にということを基本としております。放送事業者は、事業者自身が編集の基準を定めることになっていますし、放送事業者自身が放送番組の審議機関を設置するということになっています。それによって、放送番組の適正を図るということでございますので、私は放送事業者の自主自律によって放送番組の適正を図るという今の形の方が、より「表現の自由」も含めて担保されているのではないかと思います。
これまでも、放送法第4条によって、「命令」という処分が下されたことはございません。これはやはり放送法の運用ということ、また、電波法の運用ということが、相当これは慎重に行われている。実際に適用されていないわけですね、これまでに。そういった、やはり「表現の自由」を行政の方がしっかりと重視している、一つの証左だと思っております。
全く第三者の独立した機関というものを作った方が、より表現の自由になるのか、その機関の権限が非常に強すぎて、また、なかなか厳しいことになるのか、それは相当慎重に、いろいろな論点を整理されるべきことだと思います。現在、私はそのようなことは考えておりません。
問: よろしいですか。ありがとうございます。
答: お疲れ様でした。
おはようございます。
本日は、官邸で、閣議、閣僚懇がございました。
【選挙執行経費基準法及び公職選挙法一部改正案の閣議決定】
本日の閣議におきまして、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、本日、国会に提出する予定としています。
本法案は、有権者が投票しやすい環境の一層の整備を図るために、選挙執行経費基準法について、適切に見直しを行うとともに、公職選挙法について、共通投票所制度の創設、期日前投票の投票時間の弾力的な設定、投票所に入ることのできる子供の範囲の拡大などの改正を行うものでございます。
本法案につきましては、本年の参議院選挙の円滑な執行のため、年度内の成立をお願いしておりまして、今後、成立に向けて力を尽くしてまいります。
【マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞】
先月から、マイナンバーの利用とマイナンバーカードの交付がスタートしています。また、マイナンバーカードのICチップの空き領域と公的個人認証の機能、いわゆる「マイキー」の活用に大きな注目が集まっています。
こうした中、今後、各自治体におかれましても、ホームページや広報紙を活用した、きめ細かな広報の充実が重要だと考えています。
各自治体に一層の分かりやすい広報の実施を促す観点からも、この度、「マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞」を設けまして、自治体の優れた取組を表彰することにより、その充実を促すこととしたいと存じます。
本日、マイナンバー制度の更なる周知・広報と「マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞」の実施について、各自治体に通知をするとともに、本年7月を目途に、表彰を実施することを予定しています。
詳細につきましては、自治行政局住民制度課にお問い合わせをお願いします。
【マイナンバーカード(電子証明書)活用公的個人認証サービス利用事業者の認定】
マイナンバーカードに格納された電子証明書等を活用する公的個人認証サービスは、総務大臣の認定を受けることを前提に、本年1月1日より民間事業者へも利用が開放されています。
本日付で、初の認定を、民間事業者3社に対して行いました。認定を行った3社は、「日本デジタル配信株式会社」、「一般社団法人スマートテレビ連携・地域防災等対応システム普及高度化機構」、「一般社団法人ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」でございます。
当該3社は、マイナンバーカード(公的個人認証サービス)を活用され、「ケーブルテレビを通じた個人に最適な行政情報の配信や、オンラインショッピングなどの各種民間サービス」、「スマートテレビを通じた個々の家庭の状況に応じた防災情報の配信」、「パソコン等から母子健康情報を閲覧できるサービス」、「医療機関間における画像データ等の連携サービス」といった官民サービスを提供していく予定と聞いております。
特に、母子健康情報の閲覧サービスや医療機関間のデータ連携サービスにつきましては、本年3月からサービスを開始する予定でございます。
マイナンバーカード(電子証明書)の利活用場面の拡大の主体として、今後、益々の積極的な取組に期待しています。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<公職選挙法改正案の閣議決定の受け止めと対応>
問: 幹事社の共同通信です。いくつか幹事社から質問させていただきます。
先ほど、大臣が説明されていましたけれども、公選法改正案等が、今日閣議決定されたと思うのですけれども、これは、投票率向上に向けての取組の一環だと思うのですけれども、投票率向上に向けて今後の対応があればお願いします。
答: 投票率が低下傾向にございます中、有権者が投票しやすい環境を作るということ、投票率の向上を図っていくということは、重要な課題だと思っております。
こういう認識のもとに、選挙執行経費基準法の改正にあわせ、公職選挙法について、本年の参議院選挙における投票率の向上を目指して、改正法案を提出することにしました。
本年の参議院選挙ですが、選挙権年齢の引下げに伴いまして、新たに18歳、19歳の方々も投票できる選挙となります。こうした若い方々も含めた有権者の皆様の投票環境の向上が図られるように、本法案によって制度面の対応や予算面での対応、選挙啓発の取組等について、各選挙管理委員会とも連携しながら効果的に取り組んでまいりたいと思っております。
<NHKアイテックの着服問題処分の受け止めと対応>
問: ありがとうございます。ちょっと話題は変わりますが、NHKのアイテックの社員が約2億円を着服した問題で、アイテックが社員の懲戒解雇や役員の辞任を発表しましたが、大臣の受け止めと今後の対応があればお願いします。
答: NHKアイテック社員による不正事案につきましては、社内調査の報告書が取りまとめられて、これを受けて、社員2名、上司16名の処分、社長を含む取締役5名の辞任が発表されました。
調査報告書によりますと、内規では、見積書など発注先からの書類について、管理職が確認を行い承認することになっていますが、調査の結果、9割以上の書類は存在しておらず、管理職が書類を確認しないまま承認していたという事態が判明したということでございます。
その結果、6年間にわたって、約2億円の多額の着服が見逃されてきたということであり、上司の監督責任が問われるのは当然のことだと思います。
NHKは、国民視聴者の皆様が負担しておられる受信料で支えられている公共放送でございますので、こうした子会社の不祥事は国民視聴者の信頼を大きく損なうものでございます。
9日に国会に提出しましたNHK予算に付する「大臣意見」でも述べさせていただきましたが、NHKにおかれては、ガバナンスを含め子会社の在り方そのものをゼロベースで見直す改革を早急に実施するとともに、子会社を含むグループ全体におけるガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底に取り組むことによって、再発防止を徹底し、国民視聴者の皆様の信頼回復に、組織を挙げて取り組んでいただきたいと考えております。
<宮崎衆議院議員の議員辞職の意向>
問: 幹事社から最後の質問なのですが、週刊誌で不倫疑惑を報じられた自民党の宮崎衆議院議員が議員辞職の意向を固めたということなんですけれども、大臣の受け止めがあればお願いします。
答: 先ほどテレビで速報が流れたように聞いておりますけれども、宮崎議員の記者会見はまだこれからですね。ですから、最終的にどういう考え方をお示しになるのかは、今、承知しておりません。国会議員、政治家の出処進退は御自分で判断されることだろうと思います。
<政治的公平性に欠ける放送局への電波停止の可能性(1)>
問: フリーランス記者の上出です。国会で、先般いろいろ論議されました放送法第4条の関連でお伺いします。高市大臣は、極端な場合に当たるかもしれないけど、私の在任中にはないと思うというようなことをおっしゃっていました。政治的公平を欠くぐらいの偏向報道の極端な場合の、その判断の目安について御質問します。
例えば、新聞の場合ですね、そういう法律の規定は一切変わりません。原発再稼働、憲法改正、これはいわゆる国民を2分するような問題かもしれない。ただ、例えば、フジさん、産経さんは賛成の立場、つまり、安倍政権を支持する立場を明確にされている。反対に、朝日、毎日、東京さん、具体的な名前で恐縮ですが、反対する立場を明確にされています。このような、新聞のように一貫してそういうことを示したりすると、放送局、テレビでそういうことが出ると政治的公平を欠く偏向番組となるのでしょうか。行政処分の対象となるのでしょうか。その辺のことを具体的にお聞きしたいんですね。
答: 放送につきましては、有限希少な電波を使われるということで、活字媒体とは違った法体系になっております。
放送法は、第1条の目的規定で、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保するということ」を規定しています。ですから、放送番組の適正性については、基本的には放送事業者の自主自律によって確保されるべきものでございます。
また、放送法上、「放送事業者は、放送番組の編集の基準を定め、これにしたがって放送番組の編集をすること」と第5条第1項に規定されています。また、「放送事業者は、放送番組審議機関を設置し、そこで放送番組の適正を図るために必要な事項を審議すること」が第6条に規定されています。つまり、放送事業者の自主自律によって、放送番組の適正を図るということが規定されています。
総務大臣としましては、このような取組にもかかわらず、必要な場合に応じて、放送事業者からの事実関係を含めた報告を踏まえて、放送法を所管する立場から必要な対応を行うものだと考えています。
先ほど、第4条ということでの御質問だと思いますが、政治的公平などの番組準則は放送法第4条で規定されていまして、従来から、これは法規範性を有するものというのが総務省の考え方です。これは、民主党政権の時にも、その前の自民党政権の時にも、そのように答弁をしております。
したがって、放送事業者が番組準則に違反された場合には、総務大臣は放送法第174条に基づく業務停止命令、電波法第76条に基づく運用停止命令を行うことができるというのが、法律の規定でございます。ただし、放送法第174条に規定されています業務停止命令というのは、「ソフト事業者」を対象としたものでございます。
一方、電波法第76条の方は、これは、「特定地上基幹放送事業者」を対象としたものでございます。
先般の予算委員会でも答弁しましたし、前回の記者会見でも申し上げましたけれども、こういった法令に基づく命令につきましては、「法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであること」に加えて、「その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり」、かつ、「同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは、法律遵守した放送が確保されないと認められる」場合でございます。
極めて限定的な状況のみに行うということにしており、慎重な配慮のもと、運用すべきであると考えています。
いろいろな御意見が放送で披露されていますけれども、これまで放送法第4条違反として「命令」をした事例はございません。
問: 同じ閣僚でも石破大臣などはですね、こういった、気に入らないから統制するようなことというのは、民主主義とメディアの関係をおかしくすると。明らかに高市大臣とはちょっと違うニュアンスですね、言っておられます。そして、現実に、先ほど新聞の例を挙げましたが、新聞の報道をそのままテレビでやったとしても、それぞれマスメディアの方たちは、それぞれ良識で世論に反対する意見も載せていますし、主張は明確ではあるけれども、それで国民に何か偏向というような感じで影響を与えるとも思えませんし、そもそも放送法第1条の表現の自由と民主主義を守るということが、放送法の根幹だと思うのです。あんまり、アメリカなんかでは、公平準則はございませんし、そういうふうなことはあまり法律で決めない方がよろしいのではないかと思うのですが、今のままで、新聞のような報道をしても、私は、テレビ局は問題ないと考えますが、いかがですか。
答: 新聞に載っていることをテレビ局が報道しておられるのは、ほぼ毎日のように、各媒体に、こんなことが出ていますよということを紹介しておられる番組があるのを承知しております。それは、何も問題がないと思います。
石破大臣がどういう表現をされたのか、私はその場にいませんので分かりませんが、仮に今おっしゃったように、「気に入らないから統制する」ということをおっしゃったとしたら、大変心外でございます。私は「気に入らないから統制する」ということを申し上げたことは一度もございませんし、そういったことはあってはなりません。
私たち閣僚や国会議員には、憲法遵守義務がございます。憲法第21条に「表現の自由」が規定されております。しかしながら、この憲法が保障する自由、権利、これは公共の福祉のために用いるべきことも規定されています。放送法も、各条文とも憲法に沿った形で、つまり、憲法に反した内容の法律であれば、これは違憲立法となってしまいますから、私たちは憲法を守り、そして、憲法に合致した形で規定された法律をしっかり守っていく、そういう立場になると存じます。
決して、「気に入らないから統制する」というようなことを申し上げたこともありません。
そして、度々、「高市大臣がまた電波の停止に言及」といったようなことを報道されていますけれども、予算委員会で電波法について聞かれた場合に、「全く電波法については答弁できません」と、私が申し上げるわけにはいきませんので、これは答弁いたします。実際にある法律ですから、現存する法律ですから、現存する法律を全くこれは否定すると、この法律はおかしいという答弁を現職閣僚がするわけにはまいりませんので、電波法について聞かれた場合には、誠実に事実関係を答弁する。しかも、行政の継続性というものが必要ですから、過去の総務大臣や副大臣の、これは政権交代前の答弁から私は持っておりますので、そういったもので整合性がきちんととれるように、法律に関しては答弁をしている。これは当然のことだと思っております。
問: IWJの阿部と申します。放送法に関連して質問をお願いします。高市大臣がおっしゃるとおり、放送法が法規範性を持つものであり、総務省は放送事業者に対して業務停止命令を行うことができるのだとしたら、放送法第1条の2項が定める「放送による表現の自由を確保する。」、放送法第3条に定める「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」。先ほども出ましたが、憲法21条に定める表現の自由に違反するものになります。この矛盾に対して、どう説明されますか。お願いします。
答: 今、まさに第3条を読み上げてくださいました。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということでございます。「法律に定める権限」というものは、放送法に書き込まれてあり、また、電波法にも書き込まれてある内容であると存じます。
<別人の写真付きマイナンバーカード作成>
問: 共同通信の藤元です。ちょっと話は変わりまして、マイナンバーカードに関しまして、一部ではありますが、顔写真と氏名、住所が一致しないカードが出来上がってしまうという事例が出ていると聞いております。これに際しましては、入力の際の入力ミスが原因と思われているのですが、これをチェックするシステム、機能がないというのが問題かなと思っておりまして、それに対する受け止めをお願いします。
答: マイナンバーカードが別人の写真付きで交付窓口及び自治体に届くケースのお話かと思います。
マイナンバーカードの交付申請ですけれども、オンラインでできるようにもなっています。パソコンやスマートフォンで申請される方もいらっしゃるのですが、J-LISによりますと、申請者がオンライン申請の際に入力される申請書IDの入力を間違われたと。それが偶然に別の方のIDと一致した場合に、別人の写真付きカードが作成されるケースがあると聞いています。
私は郵送で申請をしたのですけれども、その時は、申請書にあらかじめ住所や自分の名前が書いてあって、自分のやることは写真を貼ったりという作業になるのですが、このオンライン申請の場合は、申請者の負担軽減の観点から、マイナンバーですとか住所を入力することは不要としているということから、このような事態が生じていると思います。申請書IDだけ入力すればいいということになっています。
今J-LISにおきまして、IDの入力を間違えないようにという注意喚起を行うとともに、IDを2回入力していただくと、このような入力方法の改正について、検討を行うと聞いております。これでかなり改善されるのではないかと存じます。
<政治的公平性に欠ける放送局への電波停止の可能性(2)>
問: 朝日新聞の相原です。放送法にお話が戻るのですけれども、大臣は昨日公開したブログやフェイスブックで、放送法に抵触する可能性がある事例として、テロへの参加呼びかけや放送免許人が選挙中に自分の宣伝番組を流し続けるといったようなケースを挙げました。
その前の段落で、極端なケースが生じた場合のリスクに対する法的な備えが必要とも書いておりますが、これについて、将来このようなケースが実際あり得るというふうに思っていらっしゃるのかということを1点聞きたいのですが。
もう1点は、同じブログで、1番組のみが法に抵触するケースとして、過去に自民党だけの政党の広報番組を流した地方局や、総選挙投票直前に民主党だけのPR番組を流したという事例を挙げております。これとは別に、日々のニュース番組における報道や論評について、1番組のみが当てはまる事例というのはあり得るとお考えでしょうか。
答: まず、最悪のケースですけれども、最悪のケースが起こりうるかというと、それは分かりません。
私も議員立法をやっておりましたけれども、そういった時に、「ないかもしれないけれども、将来起こるかもしれないリスク」に対する法的な備えをする場合というのはあると思います。いろいろな法律で、最悪のケース、万が一こういうことが起きたら、それに対する対応ができないということがあっては、国民の皆様の安全ですとか公益に反することになりますので、あくまでも法的な備えというのは必要だという考え方でございます。「そういうことは絶対起こらない」ということを、期待する立場でございます。
ただ、御承知の通り、免許人の数も大変多ございますので、将来、未来永劫起こらないかといったら、それは、そういった意図を持った方がそういうことになると難しいことになるのではないかなと思います。あり得ないことを期待しています。
それから、個別の番組ということですが、これは過去に1番組だけでも「行政指導」を行ったケースはございます。非常に極端な例でございます。ただ、これは「命令」ではございません。電波法や放送法に基づく「命令」といったものではございません。
1つは、今おっしゃいましたとおり、自民党だけを85分間にわたって取り上げた番組がございました。これは明らかに1つの番組であっても、政治的公平に係る問題があるということで、局長名での厳重注意がなされた例だったと思います。1つは、選挙期間中だったと思うのですが、これは民主党だけを長くPRしたという場合で、これも局長名で厳重注意がなされた例が、過去にございました。
番組全体を見て判断するということについて、その基本は変わりません。ただ、番組全体を見て判断するとしましても、番組全体というのは1つ1つの番組の集合体になりますから、1つ1つの番組を見ながら全体を判断していくということになります。
先ほど例に挙げていただいた行政指導が、1つの番組に対してされたような事例です。
どういったことがあるかというと、例えば、月曜日は自民党の総裁を呼びましょう、火曜日は民主党の代表を呼びましょう、水曜日は公明党の代表を呼びましょうというふうに、各党の代表者を1日ずつ順繰りに呼んでいかれるような場合、これは全体を見て、1週間かかるのか、もう少しかかるのか分かりませんが、判断するようなケースであろうと思います。
ただ、「極端な場合」ということで、これは27年5月12日の参議院総務委員会、それから、今年の2月8日の衆議院予算委員会についても、「これまでの解釈の補充的な説明」として答弁させていただいたのですが、例えば、1つの番組でも、「選挙期間中、またはそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを、相当時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公明性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合」、それから、「国論を2分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げ、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」のように、当該放送事業者の番組編集が「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合」といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない、というものでございます。
つまり、放送事業者の番組全体を何日にもわたって、もしくは、数か月にもわたって見るまでもなく、その1つの番組だけが特集番組で選挙の投票日前日であったりといったようなことで、その1つの番組を見ただけで、番組全体で政治的な公平が確保されないと判断されるような場合であって、一般論として「政治的に公平であること」を確保していると認められないというものに限定して、できるだけ分かりやすいようにということで補充的な説明をし、より明確にしたものでございます。
<マイナンバーの利用範囲>
問: IWJ、阿部です。マイナンバーについて、マイナンバーで利便性向上を目指しているとのことですが、国民には利便性とは別に不安があると思います。例えば、共通番号法19条12号には、刑事事件の捜査やその他政令で定める公益上の必要がある時には、マイナンバーを集め、利用することができる旨が規定されています。刑事事件の捜査や、その他政令で定める公益上の必要がある時等は、具体的にどのようなケースを想定されているのでしょうか。
答: マイナンバーそのもの、番号そのものの利用ということでございますでしょうか。
問: はい。
答: (事務方)刑事事件については、担当は内閣府、内閣官房になるのですけれども、基本的には刑事訴訟法に沿って、適正に手続きが行われるものですので、そういったものの心配は当たらないのではないかというふうなことで認識しています。
<放送行政を所管する第三者機関の設置>
問: 恐れ入ります。ビデオニュース・ドットコムの鈴木と申します。また放送法の関係に戻らせていただきますが、大臣に伺いたい1点目でございます。日本のように行政政府と放送というのが、権限も含めて比較的かなり近い関係にあるというのは、各国の行政を見てもなかなか、そうした日本のような例はないような事例があると思います。各国、第三者的、あるいは独立した行政委員会というものが監督に当たると。そういうシステムができておりまして、日本もかつては電波監理委員会というのが放送法制定当初はあったのですが、それが廃止をされて、郵政省の傘下に入ったと。そういう経緯もございます。
今回、大臣がいろいろ発言をされている、あるいは、その可能性も含めて、法律に沿った対応ということを説明される中で、やはり行政が放送に対して何らかの権力を行使できる余地が残るというところに、非常に我々も不安を感じておるのですが、第三者機関的な、いわゆる独立行政法人、あるいは行政委員会、独立した行政委員会方式で放送行政を行っていくような、かつての電波監理委員会のようなものを、今後、システムを改めて進めていく、あるいはそういったアイデアについて、大臣の見解はどのような見解か教えてください。
答: 諸外国、日本以外の国の中で、行政と放送の関係が非常に遠い国ということの具体事例を挙げていただければ、より分かりやすいのですけれども。
現在、放送法は、放送事業者の自律の下にということを基本としております。放送事業者は、事業者自身が編集の基準を定めることになっていますし、放送事業者自身が放送番組の審議機関を設置するということになっています。それによって、放送番組の適正を図るということでございますので、私は放送事業者の自主自律によって放送番組の適正を図るという今の形の方が、より「表現の自由」も含めて担保されているのではないかと思います。
これまでも、放送法第4条によって、「命令」という処分が下されたことはございません。これはやはり放送法の運用ということ、また、電波法の運用ということが、相当これは慎重に行われている。実際に適用されていないわけですね、これまでに。そういった、やはり「表現の自由」を行政の方がしっかりと重視している、一つの証左だと思っております。
全く第三者の独立した機関というものを作った方が、より表現の自由になるのか、その機関の権限が非常に強すぎて、また、なかなか厳しいことになるのか、それは相当慎重に、いろいろな論点を整理されるべきことだと思います。現在、私はそのようなことは考えておりません。
問: よろしいですか。ありがとうございます。
答: お疲れ様でした。