2016年10月28日 記者会見
更新日:
〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
昨日は、三笠宮崇仁殿下が薨去されたとの報に接しまして、悲しみの念に堪えません。国民とも親しく接しておられた殿下の御冥福を、謹んでお祈り申し上げます。
今朝の官邸でございますが、閣議と閣僚懇のみでございました。
【労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について】
本日の閣議におきまして、私から労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について報告しました。そのポイントを簡単に説明します。
労働力調査ですが、9月の完全失業率は、季節調整値で見ると3.0%と、前月に比べ0.1ポイントの低下となりまして、約21年ぶりの低い水準で推移しています。
また、15歳から64歳の就業率は、75.0%と、比較可能な昭和43年以降で過去最高となるなど、雇用情勢は引き続き改善傾向で推移をしています。
消費者物価指数ですが、9月全国の「生鮮食品を除く総合」は、前年の同じ月に比べ0.5%の下落となりました。
これは、電気代やガソリンなどの「エネルギー」が下落したことによるものでございます。一方、「エネルギー」以外では、引き続き多くの品目が上昇しています。
「食料及びエネルギーを除く総合」は、1年前と同水準でございます。
家計調査ですが、全国2人以上世帯の9月の消費支出は、1年前に比べ実質2.1%の減少となりました。天候の影響もあり、リフォーム関係を含む住居の「設備修繕・維持」や外食を含む「食料」などが減少となりました。
2人以上の勤労者世帯の実収入は、1年前に比べ実質2.7%の増加となりました。
詳細については、統計局にお問い合わせをお願いします。
【IoTサービスの創出支援事業 追加公募開始】
総務省では、現在、医療、農業など生活に身近な分野において、地域発のIoTサービスの創出を後押しする実証事業を、「身近なIoTプロジェクト」として実施しています。
この事業に対する地域のニーズが非常に高いことを踏まえまして、平成28年度二次補正予算を活用し、本日から12月9日まで、「シェアリングエコノミー」及び「防災」を対象分野に加えまして、提案を追加で公募いたします。
生活に身近なIoTは、「地域活性化の切り札」と考えております。本プロジェクトを通じて、優れた地域IoTモデルの構築や、必要なルール整備に取り組んでいきたいと存じます。
詳細は情報流通行政局にお尋ねください。
私からは、以上です。
〔質疑応答〕
<タワーマンションに対する固定資産税の見直しの議論>
問: 幹事社の毎日新聞です。1問お尋ねします。タワーマンションに対する固定資産税の見直しの議論が党税調で始まりましたが、この問題に対する大臣の見解をお伺いします。
答: 現行では、居住用超高層建築物、いわゆる「タワーマンション」ですが、これに係る家屋の税額は、床面積が同じであれば、相対的に価格が高いと言われている高層階でも、低層階と同じになっています。このことに対しては、不公平感を生んでいるのではないか、という御指摘がございました。
こうした点も踏まえ、総務省におきましては、現在、実際の取引価格の傾向等を踏まえた固定資産税の税額の按分方法について検討しています。
ただ、マンション全体では税額の合計に変更はございません。
いずれにしても、今後、党税調で具体的な議論が行われると思います。
<地方財政計画の歳出規模の財務省試算について>
問: 時事通信の増渕です。地方財政についてお尋ねします。昨日の財政制度等審議会で、財務省が地方歳出について独自の試算を示しました。それを見ますと、地方財政計画額が決算額を上回っているので、計画額を圧縮して交付税額の削減を求める内容となっています。これについての大臣の見解をお願いします。
答: 財政制度等審議会において、財務省が、地財計画の歳出規模が決算額を1兆円程度上回っているとの試算を提示し、この試算を基に地財計画の精査・見直しを進めるべきだ、という主張を行っていることは承知しています。
地財計画は、翌年度の標準的な歳入・歳出の見込額であり、決算額と異なるのは当たり前です。「超過課税や法定外税による歳入」、「標準的な水準を超える歳出」、「年度間調整のための基金からの繰入・積立」、「前年度からの繰越額及び翌年度への繰越額」、「年度途中の補正予算に伴う歳入・歳出」などは計上されておりません。
したがって、地財計画を決算と比較するためには、計画額と決算額のそれぞれについて調整を行う必要がありますが、今回、財務省が試算した調整方法には疑問がございます。
例えば、平成25年度分の財務省の試算においては、計画額が決算額よりも0.6兆円程度過大であるとしていますが、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、0.6兆円程度は、地財計画に計上されている「非常勤職員分の歳出」でございます。これを控除することは、適当ではございません。
また、基金からの取崩分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除していますが、基金からの取崩分のうち0.5兆円程度は通常収支分の対象とならない「東日本大震災に係る市町村の取崩分」であり、控除することは妥当ではございません。
この2つの要因を調整するだけでも、地財計画の歳出規模が決算額を0.5兆円程度下回ることとなります。
総務省においても、計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行い、地財計画の歳出規模と決算額を比較していますが、近年では地財計画の歳出規模が決算額を1兆円程度下回っていると試算しています。真逆でございます。
いずれにしましても、年末の地方財政対策に向けて、地方団体が地域に必要な行政サービスを提供しながら、安定的な財政運営を行っていけるように、「経済・財政再生計画」も踏まえて、一般財源総額を適切に確保したいと思っております。
結論から言うと、財務省の試算と総務省の試算は本当に真逆でございまして、その手法、試算の手法について、大いに疑問を感じています。
<NHKの次期会長人事について>
問: フリーランス記者の上出です。ちょっと話題が変わります。NHKの会長の任期が切れることに関して。来年の4月で今の籾井会長の期限が切れます。どういうふうに決めていくかはこれからだと思うのですが、会長としてふさわしい要件というのは基準として示されておりますが、経営能力とか、そういうものだと思うんのですが、そういう中で、一部市民団体や放送関係の団体からは、籾井会長の再任に反対する強い要望も出ているかと思います。そういう中で、大臣としては、これからNHK会長人選に当たってのあるべき姿と言いますか、最も大切な点、要望、そういう点、何かお考えがあれば御所見を示していただけますでしょうか。
答: NHKの会長につきましては、放送法第52条第1項におきまして、「経営委員会が任命する」こととされています。
次期会長の選任につきましては、この規程に基づいて、現在、経営委員会の指名部会で議論が行われているところでありますから、私からのコメントは差し控えさせていただきます。
問: 一応こういう方が望ましいというような、何か大臣なりのポイントについて、お考えとかお示ししていただけることはございませんか。
答: こういう方が望ましいということも含めて、経営委員会の指名部会で次期会長の資格要件について御議論をいただいたと承知をしておりますので、経営委員会の権限でございます。私からコメントはございません。
<平成27年国勢調査の結果を踏まえた総務省の取組>
問: 日経新聞の甲原です。国勢調査の確定値が発表になりまして、5年に1度の国勢調査ベースでは、総人口が初めて減少ということになりました。特に地方の減少がきついのですけれども、地方活性化政策を担う総務省としては、今回の調査結果をどのように活かしていくかと、大臣が特に注目された数字などがあれば、お尋ねします。
答: 一昨日、平成27年国勢調査における確定人口を公表しました。
ポイントとして、
・我が国の人口は1億2,709万4,745人となり、大正9年の調査開始以来、初めての減少となったこと、
・都道府県別にみると、沖縄県、東京都、埼玉県などの8都県で人口が増加し、その他39道府県で人口が減<少していること、
・年齢別にみると、15歳未満人口の割合は12.6%に低下して、調査開始以来最低の水準であり、一方で、65歳以上の割合は26.6%に上昇して、調査開始以来最高となったこと。
これらの結果を受けて、人口減少・高齢化が進展する中でも、安心して皆様にお住まいいただける地域をつくる、また、地域で雇用の場も生み出していく、このような政策を、しっかりと続けていきたいと感じております。
これまでも「ローカル10,000プロジェクト」や「ふるさとテレワーク」などの政策に取り組んできましたが、第2次補正予算も成立しましたので、地方への「ヒトと情報」の大きな流れを作る「チャレンジ・ふるさとワーク」、生活に身近な分野における地域発のIoTサービスの創出・展開を後押ししていく「IoTサービス創出支援事業」、ICTを活用した街づくりを推進する「ICTスマートシティ整備推進事業」、「マイキープラットフォーム」を活用した「地域経済応援ポイントの導入」など、新しい施策により、地方で安心して働ける仕事を作っていく、安心して暮らせる地域を活性化させていくことが課題だと思っています。
高齢化は進行していますが、シニア世代の方々も若者も、女性も男性も、難病や障害を抱える方々も、皆さんが安心して生活ができ、それぞれの生活スタイルに応じて働くことができる、学べる、子育てができる、そういう地域を各地に創出していくことに尽きると思っています。
<郵便投票の対象拡大に向けた検討>
問: NHK山本と申します。大臣、先日、衆議院の「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」の答弁の中で、足が悪くて在宅で介護を受けている方など、郵便投票できない方についても、郵便投票できるようにするなど、投票環境の整備を進めるべきだとおっしゃっていたのですが、具体的にどの程度の方に認めるべきだとか、投票環境の改善を進めるに当たって、例えば、総務省としてこういうふうに進めていくとか、何かお考えがあればお聞かせください。
答: 選挙の投票については、選挙の公正を確保することが大事でございますが、併せて、できるだけ多くの方の投票の機会を確保することも重要です。
これまでも総務省では、有権者の方々の投票環境を改善するために改革を続けてまいりましたが、私の中で新しい問題意識として生まれたのは、歩行が困難でいらして、在宅で介護を受けておられる方々で、どうしても投票に行きたいと思っているのに投票に行けない方々がいらっしゃるということです。
昨年は、18歳選挙権開始に向けて、若い方々の投票率を上げようということで取り組んできたのですが、その結果、今年の参議院議員選挙でも18歳、19歳の方々の投票率は、20代の方々の投票率を上回りました。
私自身が今回の参議院議員選挙の中でまさに経験したことですが、実家の母も要介護状態です。とても投票に行きたがっていたのですが、歩行が困難です。それでも、「国民として投票に行きたい」ということで相談を受けたのですが、今まで何度も外で倒れたり、骨を折ったりして入院を繰り返していますので、「外出してほしくないな」という気持ちもありまして、躊躇しましたら、母から「投票率を上げるべき総務大臣が何を言っているんだ。自分は杖をついて、這ってでも行く」と言われまして、結局、母は無理をして投票に行ったのです。投票の公正を確保することから、投票所に入って受付をする、そして、記載台、ここは1人で歩かなければならないのですが、投票所の中で転倒しまして、結局、足から血を流して帰ってきたようなことでございました。
年を重ねると、色んなことが自分の身の回りでも起きてまいります。これは個人的な経験なのですが、周囲でもお一人暮らしの御高齢者の家庭が増えてきています。病院や介護施設に入っていらっしゃる方で、その場で投票できる環境の方もいらっしゃいますが、在宅介護を利用しながら生活していらっしゃる方にとって、特に足が御不自由な場合には、なかなか投票の機会が得られないことも、身をもって経験いたしました。
現在は、身体に重度の障害がある方、障害者手帳をお持ちの方の中の一定の方々と、要介護5の方に対しては、限定的に郵便投票が認められていますが、もう少しその対象を広げるかどうか可能性を検討してもらえるとありがたい、ということを選挙部長に指示をいたしました。
これは、これから、施設ではなく、在宅で介護を受ける方が増えていくことを考えますと、今、検討して早すぎることではないと思っています。
その場合には、福祉、医療に関して専門的な知識をお持ちの方、そして、選挙の公正を確保しなければなりませんから、選挙の知識のある専門家の方々も必要ですので、研究会を開催して、まずは議論を始めることにしたいと思います。
問: 続けてなのですけれども、今おっしゃった、研究会を設置するということなのですけれども、いつ頃から議論したりですとか、その辺のスケジュール感がもし念頭にあればお聞かせください。
答: 選挙部長に、先般こういうことの検討ができないか指示しまして、これまでも有識者検討会がありましたが、特に福祉・介護等の知識をお持ちの方も必要ですので、人選をしてくださいと依頼した段階でございます。開催日について、決まっていますか。
答: (事務方)選挙部でございます。大臣からございましたとおり、大臣の指示を受けまして、現時点で検討を進めているところです。
答: 開催日が決まりましたら、お知らせいたします。
問: ほかはございませんでしょうか。では、これで終わります。
答: どうもお疲れ様でございました。
皆様、おはようございます。
昨日は、三笠宮崇仁殿下が薨去されたとの報に接しまして、悲しみの念に堪えません。国民とも親しく接しておられた殿下の御冥福を、謹んでお祈り申し上げます。
今朝の官邸でございますが、閣議と閣僚懇のみでございました。
【労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について】
本日の閣議におきまして、私から労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について報告しました。そのポイントを簡単に説明します。
労働力調査ですが、9月の完全失業率は、季節調整値で見ると3.0%と、前月に比べ0.1ポイントの低下となりまして、約21年ぶりの低い水準で推移しています。
また、15歳から64歳の就業率は、75.0%と、比較可能な昭和43年以降で過去最高となるなど、雇用情勢は引き続き改善傾向で推移をしています。
消費者物価指数ですが、9月全国の「生鮮食品を除く総合」は、前年の同じ月に比べ0.5%の下落となりました。
これは、電気代やガソリンなどの「エネルギー」が下落したことによるものでございます。一方、「エネルギー」以外では、引き続き多くの品目が上昇しています。
「食料及びエネルギーを除く総合」は、1年前と同水準でございます。
家計調査ですが、全国2人以上世帯の9月の消費支出は、1年前に比べ実質2.1%の減少となりました。天候の影響もあり、リフォーム関係を含む住居の「設備修繕・維持」や外食を含む「食料」などが減少となりました。
2人以上の勤労者世帯の実収入は、1年前に比べ実質2.7%の増加となりました。
詳細については、統計局にお問い合わせをお願いします。
【IoTサービスの創出支援事業 追加公募開始】
総務省では、現在、医療、農業など生活に身近な分野において、地域発のIoTサービスの創出を後押しする実証事業を、「身近なIoTプロジェクト」として実施しています。
この事業に対する地域のニーズが非常に高いことを踏まえまして、平成28年度二次補正予算を活用し、本日から12月9日まで、「シェアリングエコノミー」及び「防災」を対象分野に加えまして、提案を追加で公募いたします。
生活に身近なIoTは、「地域活性化の切り札」と考えております。本プロジェクトを通じて、優れた地域IoTモデルの構築や、必要なルール整備に取り組んでいきたいと存じます。
詳細は情報流通行政局にお尋ねください。
私からは、以上です。
〔質疑応答〕
<タワーマンションに対する固定資産税の見直しの議論>
問: 幹事社の毎日新聞です。1問お尋ねします。タワーマンションに対する固定資産税の見直しの議論が党税調で始まりましたが、この問題に対する大臣の見解をお伺いします。
答: 現行では、居住用超高層建築物、いわゆる「タワーマンション」ですが、これに係る家屋の税額は、床面積が同じであれば、相対的に価格が高いと言われている高層階でも、低層階と同じになっています。このことに対しては、不公平感を生んでいるのではないか、という御指摘がございました。
こうした点も踏まえ、総務省におきましては、現在、実際の取引価格の傾向等を踏まえた固定資産税の税額の按分方法について検討しています。
ただ、マンション全体では税額の合計に変更はございません。
いずれにしても、今後、党税調で具体的な議論が行われると思います。
<地方財政計画の歳出規模の財務省試算について>
問: 時事通信の増渕です。地方財政についてお尋ねします。昨日の財政制度等審議会で、財務省が地方歳出について独自の試算を示しました。それを見ますと、地方財政計画額が決算額を上回っているので、計画額を圧縮して交付税額の削減を求める内容となっています。これについての大臣の見解をお願いします。
答: 財政制度等審議会において、財務省が、地財計画の歳出規模が決算額を1兆円程度上回っているとの試算を提示し、この試算を基に地財計画の精査・見直しを進めるべきだ、という主張を行っていることは承知しています。
地財計画は、翌年度の標準的な歳入・歳出の見込額であり、決算額と異なるのは当たり前です。「超過課税や法定外税による歳入」、「標準的な水準を超える歳出」、「年度間調整のための基金からの繰入・積立」、「前年度からの繰越額及び翌年度への繰越額」、「年度途中の補正予算に伴う歳入・歳出」などは計上されておりません。
したがって、地財計画を決算と比較するためには、計画額と決算額のそれぞれについて調整を行う必要がありますが、今回、財務省が試算した調整方法には疑問がございます。
例えば、平成25年度分の財務省の試算においては、計画額が決算額よりも0.6兆円程度過大であるとしていますが、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、0.6兆円程度は、地財計画に計上されている「非常勤職員分の歳出」でございます。これを控除することは、適当ではございません。
また、基金からの取崩分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除していますが、基金からの取崩分のうち0.5兆円程度は通常収支分の対象とならない「東日本大震災に係る市町村の取崩分」であり、控除することは妥当ではございません。
この2つの要因を調整するだけでも、地財計画の歳出規模が決算額を0.5兆円程度下回ることとなります。
総務省においても、計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行い、地財計画の歳出規模と決算額を比較していますが、近年では地財計画の歳出規模が決算額を1兆円程度下回っていると試算しています。真逆でございます。
いずれにしましても、年末の地方財政対策に向けて、地方団体が地域に必要な行政サービスを提供しながら、安定的な財政運営を行っていけるように、「経済・財政再生計画」も踏まえて、一般財源総額を適切に確保したいと思っております。
結論から言うと、財務省の試算と総務省の試算は本当に真逆でございまして、その手法、試算の手法について、大いに疑問を感じています。
<NHKの次期会長人事について>
問: フリーランス記者の上出です。ちょっと話題が変わります。NHKの会長の任期が切れることに関して。来年の4月で今の籾井会長の期限が切れます。どういうふうに決めていくかはこれからだと思うのですが、会長としてふさわしい要件というのは基準として示されておりますが、経営能力とか、そういうものだと思うんのですが、そういう中で、一部市民団体や放送関係の団体からは、籾井会長の再任に反対する強い要望も出ているかと思います。そういう中で、大臣としては、これからNHK会長人選に当たってのあるべき姿と言いますか、最も大切な点、要望、そういう点、何かお考えがあれば御所見を示していただけますでしょうか。
答: NHKの会長につきましては、放送法第52条第1項におきまして、「経営委員会が任命する」こととされています。
次期会長の選任につきましては、この規程に基づいて、現在、経営委員会の指名部会で議論が行われているところでありますから、私からのコメントは差し控えさせていただきます。
問: 一応こういう方が望ましいというような、何か大臣なりのポイントについて、お考えとかお示ししていただけることはございませんか。
答: こういう方が望ましいということも含めて、経営委員会の指名部会で次期会長の資格要件について御議論をいただいたと承知をしておりますので、経営委員会の権限でございます。私からコメントはございません。
<平成27年国勢調査の結果を踏まえた総務省の取組>
問: 日経新聞の甲原です。国勢調査の確定値が発表になりまして、5年に1度の国勢調査ベースでは、総人口が初めて減少ということになりました。特に地方の減少がきついのですけれども、地方活性化政策を担う総務省としては、今回の調査結果をどのように活かしていくかと、大臣が特に注目された数字などがあれば、お尋ねします。
答: 一昨日、平成27年国勢調査における確定人口を公表しました。
ポイントとして、
・我が国の人口は1億2,709万4,745人となり、大正9年の調査開始以来、初めての減少となったこと、
・都道府県別にみると、沖縄県、東京都、埼玉県などの8都県で人口が増加し、その他39道府県で人口が減<少していること、
・年齢別にみると、15歳未満人口の割合は12.6%に低下して、調査開始以来最低の水準であり、一方で、65歳以上の割合は26.6%に上昇して、調査開始以来最高となったこと。
これらの結果を受けて、人口減少・高齢化が進展する中でも、安心して皆様にお住まいいただける地域をつくる、また、地域で雇用の場も生み出していく、このような政策を、しっかりと続けていきたいと感じております。
これまでも「ローカル10,000プロジェクト」や「ふるさとテレワーク」などの政策に取り組んできましたが、第2次補正予算も成立しましたので、地方への「ヒトと情報」の大きな流れを作る「チャレンジ・ふるさとワーク」、生活に身近な分野における地域発のIoTサービスの創出・展開を後押ししていく「IoTサービス創出支援事業」、ICTを活用した街づくりを推進する「ICTスマートシティ整備推進事業」、「マイキープラットフォーム」を活用した「地域経済応援ポイントの導入」など、新しい施策により、地方で安心して働ける仕事を作っていく、安心して暮らせる地域を活性化させていくことが課題だと思っています。
高齢化は進行していますが、シニア世代の方々も若者も、女性も男性も、難病や障害を抱える方々も、皆さんが安心して生活ができ、それぞれの生活スタイルに応じて働くことができる、学べる、子育てができる、そういう地域を各地に創出していくことに尽きると思っています。
<郵便投票の対象拡大に向けた検討>
問: NHK山本と申します。大臣、先日、衆議院の「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」の答弁の中で、足が悪くて在宅で介護を受けている方など、郵便投票できない方についても、郵便投票できるようにするなど、投票環境の整備を進めるべきだとおっしゃっていたのですが、具体的にどの程度の方に認めるべきだとか、投票環境の改善を進めるに当たって、例えば、総務省としてこういうふうに進めていくとか、何かお考えがあればお聞かせください。
答: 選挙の投票については、選挙の公正を確保することが大事でございますが、併せて、できるだけ多くの方の投票の機会を確保することも重要です。
これまでも総務省では、有権者の方々の投票環境を改善するために改革を続けてまいりましたが、私の中で新しい問題意識として生まれたのは、歩行が困難でいらして、在宅で介護を受けておられる方々で、どうしても投票に行きたいと思っているのに投票に行けない方々がいらっしゃるということです。
昨年は、18歳選挙権開始に向けて、若い方々の投票率を上げようということで取り組んできたのですが、その結果、今年の参議院議員選挙でも18歳、19歳の方々の投票率は、20代の方々の投票率を上回りました。
私自身が今回の参議院議員選挙の中でまさに経験したことですが、実家の母も要介護状態です。とても投票に行きたがっていたのですが、歩行が困難です。それでも、「国民として投票に行きたい」ということで相談を受けたのですが、今まで何度も外で倒れたり、骨を折ったりして入院を繰り返していますので、「外出してほしくないな」という気持ちもありまして、躊躇しましたら、母から「投票率を上げるべき総務大臣が何を言っているんだ。自分は杖をついて、這ってでも行く」と言われまして、結局、母は無理をして投票に行ったのです。投票の公正を確保することから、投票所に入って受付をする、そして、記載台、ここは1人で歩かなければならないのですが、投票所の中で転倒しまして、結局、足から血を流して帰ってきたようなことでございました。
年を重ねると、色んなことが自分の身の回りでも起きてまいります。これは個人的な経験なのですが、周囲でもお一人暮らしの御高齢者の家庭が増えてきています。病院や介護施設に入っていらっしゃる方で、その場で投票できる環境の方もいらっしゃいますが、在宅介護を利用しながら生活していらっしゃる方にとって、特に足が御不自由な場合には、なかなか投票の機会が得られないことも、身をもって経験いたしました。
現在は、身体に重度の障害がある方、障害者手帳をお持ちの方の中の一定の方々と、要介護5の方に対しては、限定的に郵便投票が認められていますが、もう少しその対象を広げるかどうか可能性を検討してもらえるとありがたい、ということを選挙部長に指示をいたしました。
これは、これから、施設ではなく、在宅で介護を受ける方が増えていくことを考えますと、今、検討して早すぎることではないと思っています。
その場合には、福祉、医療に関して専門的な知識をお持ちの方、そして、選挙の公正を確保しなければなりませんから、選挙の知識のある専門家の方々も必要ですので、研究会を開催して、まずは議論を始めることにしたいと思います。
問: 続けてなのですけれども、今おっしゃった、研究会を設置するということなのですけれども、いつ頃から議論したりですとか、その辺のスケジュール感がもし念頭にあればお聞かせください。
答: 選挙部長に、先般こういうことの検討ができないか指示しまして、これまでも有識者検討会がありましたが、特に福祉・介護等の知識をお持ちの方も必要ですので、人選をしてくださいと依頼した段階でございます。開催日について、決まっていますか。
答: (事務方)選挙部でございます。大臣からございましたとおり、大臣の指示を受けまして、現時点で検討を進めているところです。
答: 開催日が決まりましたら、お知らせいたします。
問: ほかはございませんでしょうか。では、これで終わります。
答: どうもお疲れ様でございました。