2017年6月13日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
今朝、官邸では、閣議、閣僚懇、その前に自転車活用推進本部会合がございました。
【投票環境の向上方策等に関する研究会報告について】
高齢社会の進行を見据えまして、「在宅介護を受けておられる選挙人等の投票機会の確保」を図るため、昨年12月以降、「投票環境の向上方策等に関する研究会」において、「郵便等投票の対象範囲の拡大」に向けた議論をいただいてまいりました。その報告が取りまとまり、本日公表することにいたしました。
報告においては、「投票の意思があっても、投票所に行けない在宅高齢者の投票環境の向上は、重要な課題である」とした上で、「郵便等投票の対象者」について、「要介護4」の方はもとより、「要介護3」の方についても、寝たきり等に該当する方が相当の割合でおられることや、選挙人等にとって分かりやすい制度とすべきことから、「要介護3」全体を郵便等投票の対象とすることが適切、との提言をいただきました。
併せて、罰則を含めた郵便等投票の制度につきまして、高齢者本人のみならず、その御家族やケアマネージャーの方々等にも周知・徹底し、現行の公正確保の取組を徹底すべきこと、また、「在宅高齢者の移動支援」や「移動期日前投票所」等の取組についても、更なる横展開を図ることも、提言をしていただいています。
専門家の皆様も、私と同様の問題意識を持っていただいておりまして、これを踏まえた貴重な提言をいただいたと考えています。この提言を踏まえまして、今後、各方面とも協議しながら対応を検討してまいります。
詳細につきましては、選挙部選挙課にお問い合わせください。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<ゆうちょ銀行の新規業務参入に対する見解>
問: 幹事社から1問お願いします。3月末にありましたゆうちょ銀行の新規業務の認可について、今週14日の郵政民営化委員会で、民営化委員会としての方針を表明するというような報道がありますけれども、総務省としての考え方や大臣としての考え方をよろしくお願いいたします。
答: 総務省としては、郵政民営化委員会から正式に意見を受けていませんので、コメントすることが大変難しいことは、御理解いただきたいと思います。
なお、総務省としましては、郵政民営化委員会に対し、「現時点において認可に向けて特段の問題はない」と説明をしたところでございます。
今後取りまとめられます郵政民営化委員会の意見も踏まえて、金融庁とも連携し、郵政民営化法に則って、速やかに審査を進めてまいりたいと思います。
<投票環境の向上方策に関する研究会の報告書に対する評価及び今後の取組>
問: NHK山本と申します。大臣、冒頭おっしゃっていた研究会の報告書についてなのですけれども、要介護4と3まで拡大するという提言だったのですけれども、大臣もかねてから御関心があったという意思を表明されていたのですけれども、今回の報告の受け止めをどのようにお考えになっているか。、あとは、この報告書をどのように、例えば法改正が必要なものなのかどうかですとか、どういうふうに実現していくか、お考えをお聞かせください。
答: 昨年夏の参議院選挙の時に、私自身が、介護を受けている親がいる一人の国民として、痛切に感じた問題意識からの出発でございました。
高齢化社会の進行によって、「在宅介護を受ける方々の投票機会の確保」は重大な課題だと認識をしています。
研究会に御参加いただいた専門家の先生方も、同様の問題意識を持っていただいており、それを踏まえた貴重な御提言だと思っております。
議員立法によりまして、「要介護5」の方々を郵便等投票の対象に加えた「平成15年改正」がございましたので、この経緯を踏まえますと、対象者の拡大に当たりましては、各党各会派においても御議論をいただく必要があると思っています。
今後、各党に対して、総務省から報告の内容を御説明し、是非とも御議論をいただきたいと思っております。
私としましては、早期に実現することが望ましいと考えていますが、各会派での御議論や先般の法改正が議員立法であったことも考えますと、現時点で制度改正の時期を明確に申し上げられる状況にはございません。
<町村総会を含めた町村における議会の在り方についての具体的な検討方法>
問: 読売新聞、豊川と申します。よろしくお願いします。昨日ですけど、高知県の大川村の議会を廃止した代わりに、町村総会設置を検討する考えを示されました。あくまで議会存続ということを前提にしながらも、小規模自治体の担い手不足の危機感の現れだと思うのですけれども、小規模自治体議会の現状と町村議会に対する大臣の御認識と、あと、総務省として今後どのように対応を御検討されるかというのを教えてください。
答: 高知県大川村に限らず、多くの町村議会で議員の担い手不足などの課題を抱えているものだと思っております。
総務省としましても、町村議会のお声に耳を傾けながら、今後の「町村総会を含めた町村における議会の在り方」について、早速検討を開始いたします。
この件につきましては、6月6日の参議院総務委員会でも、答弁させていただきました。
具体的には、まずは、「全国町村議会議長会」の関係者の皆様から御意見をお伺いした上で、有識者によって構成される研究会を設けて議論を深めていくことを予定しています。
現時点で想定される論点ですが、例えば、「町村総会をより弾力的に運用する方策」があり得るのかどうか、現在でも「通年議会」などを可能にはしておりますが、議員の兼業をより可能とするために、「夜間・休日議会」などの運営を工夫することができるかどうか、「町村議会議員の選出方法」についてどう考えるかなど、幅広く検討してまいりたいと思います。
問: すみません、追加で、今お話にあった有識者会議ですけれども、設置の目途みたいなものはあるのでしょうか。
答: 来月には設置をしたいと思います。今月は町村議会議長会の御意見を伺うなどの作業に充てたいと思っております。
<加計学園の再調査への受け止め及び政権の忖度という課題を抱えているのではと問われている家計調査の見直し>
問: 朝日新聞の上栗です。加計学園の問題で、文部科学省の否定していた文書について再調査をするということを決めました。受け止めとですね、総務省においてもこの問題の、政権中枢から政策決定の過程で圧力がかかっていたのではないかという問題だと思うのですけれども、総務省においても3月に見直した家計調査では、麻生副総理等から数字が低すぎるというような批判がたびたびありまして、それが、この統計の見直しのきっかけになったという流れがあったと思うのですけれども、総務省においても政権中枢からの圧力が職員の政策決定に大きな影響を及ぼしている、あるいは萎縮をしているのではないかということは、大臣は思われませんでしょうか。
答: 加計学園を巡る文書の追加調査でございますが、これは文部科学大臣が御判断をされ、文部科学省で対応されるものでございますから、私はコメントする立場にはないことを御理解いただきたいと思います。
それから、総務省において政権中枢の意向を忖度しているかどうかとのことで、統計改革の例を挙げられましたが、私は総務大臣に着任する前の政調会長時代から、「内閣府の統計と総務省の統計のギャップの中で、どのように経済の現状を把握するべきか」という問題意識を持っておりました。これは、平成26年7月17日の「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の議事録を御覧いただければ明らかだと思います。
「各世帯の消費の実態が多様化している中で、消費をより包括的に捉えられないか」という問題意識も有しておりましたので、この件については、私自身が、かねてより必要性を強く認識する中で行った取組でございます。
何ら忖度する必要はありませんし、新たなことを始める時には、総務省におきましては、明確に指示を出させていただいているつもりでございます。
問: フリーランス記者の上出です。今のに関連して簡単に質問させていただきます。今のやりとりの中で、大臣は確か追加調査という言い方をされておりました。文科大臣が再調査という言い方を新聞なんかではしているのですが、受け止めとしては、どのように再調査と追加調査は違うというふうに大臣は定義されているか、ちょっと教えてください。
答: 1回聞き取り調査をされて、文書の存在を確認できなかったと、松野大臣がおっしゃっていたように記憶しています。これについて、様々、文書が存在したのではないかというような報道もなされておりますし、現職の職員の方々が見たといったようなことも、報道で私は承知をしておりますので、前回の聞き取りに追加した形の調査なのだろうと思いまして、そういう言葉を使いました。
問: 再調査というともういっぺんやり直す、追加調査というと、ちょっと付け足すというような、そういうイメージがあるのですが、そういうふうには捉えておりませんか。
答: そのように捉えて申し上げたわけではございません。おそらく前回聞き取りをされた方々に追加して、更に幅広に聞き取りをされたり、そういう方法なのだろうなと推測をしております。
<日本郵便の更なる新規業務の推進を検討することについての見解>
問: 通信文化新報の園田です。先ほどの、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の新規業務の認可・申請が報じられたということの関連なのですけれども、経営基盤の強化という観点から、郵便局ネットワークを活用した更なる新規業務が、今後必要になっていくかと思われるのですけれども、大臣の御見解をお願いしたいのですが。
答: 総務省としましては、日本郵便が、企業価値を更に向上させて、国民の皆様に民営化の成果を実感していただける経営を行うことが重要だと考えております。
日本郵便が、収益力の多角化・強化のために、具体的にどのような新規業務に取り組まれるかは、まずは日本郵便の経営判断だと思っております。
平成29年3月31日に、日本郵便の平成29年度事業計画認可を行いましたが、その際に私から、「収益力の多角化・強化、経営の効率化の更なる推進、ガバナンスの強化などを着実に進めること」を要請しておりますので、引き続き日本郵便の取組の状況ですとか、経営状況を注視してまいりたいと存じます。
<デービット・ケイ氏の報告書に対する見解>
問: お忙しいところすみません。産経の笠原ですけれども、昨日の夜ですね、日本時間、例の国連の特別報告者のデービッド・ケイさんが、正式に見解の方を表明されました。大臣、これまでもたびたび見解の方を表明されて恐縮なのですが、改めてデービッド・ケイさんの報告書に関する御見解の方を賜りたいと思います。
答: 6月12日午後と聞いております。現地時間16時開始ですかね。ジュネーブで開催されている第35回国連人権理事会の相互対話会合の中で、訪日報告を含むデービッド・ケイさんの活動報告が行われ、日本からは、出席した在ジュネーブ日本政府代表部大使から、我が国の立場について発言を行ったと聞いております。
ケイさんの報告に対しまして、当事国である日本が発言をしておりますけれども、他国から日本のことについて特段の発言はなかったと聞いております。
ケイさんは、「日本では表現の自由に関する強固な法的基盤があり、特にそれは憲法第21条下で保障されている」としていただいた上で、メディアの独立性に関しましては、「独立規制機関を創設する方向に動くこと」、それから、「公平性を理由として放送免許を停止できる規定を廃止すること」を勧告されるとともに、「記者クラブ制度の見直し」、「ジャーナリスト間の職業的連携の向上」について言及されたと報告を受けています。
日本の大使からは、「日本国憲法は表現の自由を保障しており、日本は報道の自由を最大限保障している」と説明した上で、報道の独立性について、「政府が報道機関に対して違法に圧力をかけた事実がないこと」、「放送法第4条違反によって処分を行った例がないこと」など改めて指摘した上で、ケイさんが正確な理解がないまま記述した点については「遺憾」であるとの発言をしたと聞いております。
私の受け止めですが、ケイさんの求めに応じて、日本政府の説明文書を送って再考を求めたにもかかわらず、私どもの立場を反映していない報告が行われたことは残念に思っております。ただ、そもそも特別報告者の見解でございますが、個人としての資格で述べられるものであり、国際連合またはその機関である人権理事会としての見解ではないと認識しています。
今後ですが、放送法の解釈を含む日本の状況が正しく理解されるように、外務省と連携して取り組んでまいります。
<町村議会に関する有識者会議での論点>
問: 朝日新聞の久永です。よろしくお願いします。話題をだいぶ戻すのですが、大川村の関係で、来月、有識者会議を設置するということなのですが、有識者会議の性格を確認したいのですが、町村総会を設立するための制度設計を詳細に詰めるというよりは、担い手不足に悩んでいる町村の議会の在り方、それをどのようにサポートできるか。そういう広い論点になるということなのでしょうか。その点、もう少し具体的に確認できればと思います。
答: 先ほど少し想定される論点について申し上げさせていただきました。
議員の兼業をより可能とする「夜間・休日議会」などの運営を工夫することができるかといったことですとか、「町村議会議員の選出方法」についてどう考えるのかといった点など、現行法の適用関係につきましては、速やかに整理をしていただくことにしたいと思っております。
また、仮に、法改正を要する事項がある場合に、その内容に応じた検討が必要でございますので、現時点で結論の時期の見通しを述べるとか、結論そのものの方向性を述べることは困難でございます。
しかしながら、多くの人が地方議員として活躍したいと思っていただける環境を作る、また、兼業しながらでも活躍できる環境を作ることが第一です。
そして、「町村総会」の設置も、現在の法制下で認められているわけでございます。ただ、過去に設置事例が、大正時代に1件、地方自治法が施行されてから1件の2件しか把握をしておりませんので、そういう意味では、地方自治法上は、これは可能であるのですが、「町村総会」を設置するか否かは、各町村で、条例で定めることになっていますので、総務省としては各町村の判断を尊重しながら、御相談があったら適切な助言を行っていきたいと思っております。
検討会では、様々なことを議論しなければならないと思っています。
地方自治法上、「町村総会」については、町村の議会に関する規定を準用すると定められています。
その上で、実際にどのようにこれを運用していくのかについては、検討会で検討を進める中で議論をしていかねばならないことだと思っております。つまり、「定足数」をどう考えるか、「より弾力的に運用する方策」があるのかどうか、こういったことを考えていかなきゃいけないと思っております。
問: ありがとうございました。
答: お疲れ様でございました。