2017年6月30日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
今朝、官邸は、閣議と閣僚懇のみでございました。
【労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果】
本日の閣議におきまして、私から、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について報告をしました。そのポイントを申し上げます。
(労働力調査結果)
労働力調査ですが、5月の完全失業率は、季節調整値で3.1%と、前月に比べ0.3ポイント上昇しましたが、これは、人手不足感の高まりに伴い、より良い条件の仕事を求めて自発的に離職された人や、新たに労働市場に参入された人などが増加したことによるものでございます。
なお、15歳から64歳の就業率は75.3%と、比較可能な昭和43年以降で過去最高となりました。女性の就業者数も2,859万人と、比較可能な昭和28年以降で過去最多となりました。雇用情勢は着実に改善していると思われます。
(消費者物価指数)
消費者物価指数につきまして、5月全国の「生鮮食品を除く総合」は、前年の同じ月に比べ0.4%の上昇と、5か月連続の上昇となりました。これは、原油価格上昇によりガソリンなどの「エネルギー」が上昇したことによるものです。また、「生鮮食品を除く食料」など多くの品目も上昇しました。「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は、1年前と同水準でございます。
(家計調査結果)
家計調査でございますが、全国二人以上世帯の5月の消費支出は、1年前に比べますと実質0.1%の減少となりました。自動車購入を含む「自動車等関係費」などが増加となりました一方で、リフォーム関係を含む住居の「設備修繕・維持」などが減少となりました。前年より日曜日が一日少ないことや、5月は前年より気温が上がらなかったことから、特に、婦人服などの伸び悩みもあったと承知しております。
季節調整値で前月からの変化を見ますと、消費支出は前月に比べ実質0.7%の増加と、2カ月連続の増加となりました。
詳細は、統計局にお問い合わせください。
【「防災行政無線等の戸別受信機の普及促進に関する研究会」報告の公表】
「医療機関における安全な電波環境づくり」は、私の生活者としての経験から構築したものでございますが、そういった観点からのプロジェクトの第2弾でございます。
「防災行政無線の戸別受信機」ですが、特に災害弱者の方々に情報を確実に伝えるために有効な手段の一つと考えております。その普及を促進することが重要であります。
このため、「情報難民ゼロプロジェクト」の一環としまして、「防災行政無線等の戸別受信機の普及促進に関する研究会」を設置して、今年3月から熱心な御議論をいただいてまいりましたが、この度、報告をお取りまとめいただきました。中村主査をはじめ、研究会の委員の先生方に感謝を申し上げます。
この報告には
- 機能を単純にした「標準的なモデル」を作成することで量産化を促進し、低廉化につなげること、
- 「調達」や「維持管理方法」について、市町村が工夫した事例を全国に展開し、整備費用の低減を図ること、
- 防災行政無線と他の無線システムを接続するための規格を策定し、市町村による選択の幅を拡大すること、
など、普及を促進するにあたっての有益な御提言が盛り込まれています。
報告の取りまとめを受けまして、その実現を図るべく、市町村や関係事業者の皆様と連携して取組を早急に開始するよう、消防庁長官と総合通信基盤局長に指示いたしました。
詳細は、消防庁防災情報室にお問い合わせください。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<NHKの「受信料制度等検討委員会」の答申案に対する見解>
問: 幹事社の産経新聞の大坪です。1問お願いいたします。NHKの「受信料制度等検討委員会」で、ネットで番組を見られるようにした場合、テレビを持っていないネットのみの視聴者からも受信料を徴収することを適当とする答申案が公表されました。この答申案に対する御見解をよろしくお願いいたします。
答: 御指摘のNHKの有識者検討委員会が、「常時同時配信が実現した場合の財源のあり方」について、パブリックコメントを実施しておられることは承知しています。
しかし、正式に答申として決まったものでもないことから、現時点ではコメントすることは難しいことは御理解いただきたいと存じます。
この検討会では、この他に「公平負担の徹底のあり方」や「受信料体系のあり方」についても議論をしておられますので、これらの点についても検討を加速していただくことが大切かと存じます。
問: 朝日新聞の上栗です。今のNHKの話で、続きでお願いしたいのですけれども、これから議論が進んでいくと思うのですけれども、その前提としてなんですが、今回パソコンやスマートフォンのみでテレビ番組を受信した場合についても、受信料の対象にするという考え方が説明されているわけですけれども、放送法の解釈として、テレビを設置していないパソコンやスマートフォンのみを持っていて、それでテレビを見ようとしている場合、これを受信料の契約の対象とするということが、放送法の解釈として可能なのかという点について、御見解を伺えませんでしょうか。
答: 先ほど申し上げましたが、まだ正式に答申として決まったものでもないので、現時点でコメントをすることは大変難しいことは御理解いただきたいと思います。
その上で、NHKが要望されている、全ての番組の同時配信を実現しようとする場合には、放送法の改正が必要となります。また、ネットにより番組を視聴された方から、受信料を徴収することができるのかということにつきましても、答申として案段階であり、NHKでおっしゃる「受信料」という用語の意味合いなど分からないことも多く、今の時点でコメントすることは難しいことを御理解いただきたいと思います。
先ほど申し上げましたとおり、3つの諮問事項はいずれも密接に関連していますので、できるだけ早くトータルにお考えをまとめていただけたらと考えております。
<官用車の使用に関する報道の見解>
問: NHKの山本と申します。先日、週刊誌で金子政務官が公用車でお子さんを保育所に送り迎えをしていたという報道が出まして、ブログの方にも更新をされて、そこで対応について認めることも記していらっしゃったのですけれども、この一連の件について大臣の御見解をお聞かせください。
答: 一昨日、金子政務官から電話をいただきました。御本人も「私的な目的のために、つまり保育所の送り迎えを前提に公用車を呼び出し、使用した事実は一切ございません。」とコメントしておられると聞いております。
本件について、事務方からは、「総務省の官用車の運用上、問題があるとは考えていない」と説明を受けています。
金子政務官におかれましては、働きながら小さなお子さんを育てておられる多くの方々の希望となっていただくように、日々の御苦労にも思いを致しながら、職務に精励していただきたいと思います。
<選挙応援での公務員等の地位利用に当たるとの指摘に対する見解>
問: 共同通信の佐伯と申します。先日都議選の応援で、稲田防衛大臣が防衛省・自衛隊としてもお願いしたいという発言をされました。この発言に関して、公選法の地位利用に当たるのではないかという指摘もありますけれども、公選法を所管する大臣としてどのようにお考え方という点と、あと、内閣行政機関の一員という立場と、政党としての政治活動というのは厳密に切り分けるべきだと思うのですが、この点について大臣の御所見をお願いいたします。
答: 個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かということについて、総務省は、具体的な事実関係を調査したり判断したりする立場にないので、稲田大臣の件について、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。
その上で、一般論として申し上げますと、公職選挙法第136条の2において、「公務員等は、その地位を利用して選挙運動をすることができない」と規定されています。ここで「公務員等」とされておりますけれども、これは「一般職」や「特別職」、また、「特定独立行政法人の職員」なども含まれます。
その地位利用の例としましては、例えば、
- 補助金の交付等に職務権限を有する公務員等が、関係者に対して、その権限による影響力を行使すること、
- 公務員等の内部関係において、職務上の指揮命令権等に基づく影響力を利用して、部下や関係する公務員等に対して、選挙に際して投票を勧誘すること、
- 官公庁の窓口の公務員等が、その機会を利用して、職務に関連して住民に働きかけること、
などが該当すると解されております。
一般論として、演説会において単に職名を名乗ることは、先に申し上げましたような関係者をもっぱら対象として行うような特段の事情がない限り、直ちに地位利用とならないと解されています。
なお、二つ目の御質問ですが、公職にある者、例えば、特別職の国家公務員という立場にある者が、政党活動との切り分けをすべきではないかとのことでございますが、これは当然のことでございます。
私も、選挙の応援でしたり、また、政党支部の催しなどで講演の御依頼がございますけれども、その時には、総務省の施策を紹介することはありましても、例えば、特定の候補者を当選させていただいた場合には有利に総務省の施策が使える、と誤解をされるような表現は絶対に使わないように心がけているところでございますので、政党活動と公職での活動を分けることは、当然のことと考えます。
<閣僚の罷免に対する見解>
問: フリーランス記者の上出です。今の質問に関連しまして、おっしゃるとおりかもしれませんが、実際多くのメディアが、自衛隊、防衛大臣の信頼そのものを根底から揺るがすものではないかということで、当然辞任なり、罷免なりするべきなのに、ほかのいろんな辞任した人たちと比べても、ちょっとこれは甘いという意見がありますが、大臣のお立場から、主要閣僚の一人として国民にそのへん、辞めなくてもいいのだという御説明をしていただければと思うのですが。分かりやすくお願いします。
答: 閣僚の人事権は、全て内閣総理大臣の専権事項でございますので、私の立場から申し上げるべきことではないと考えております。
<官用車の運用ルールの厳格化への考え>
問: 新潟日報の小池と申します。金子政務官の件で恐縮ですが、追加でお願いします。先ほど事務方の方からも運用上の問題はないというお話でしたけれども、一方で、第三者を乗せることを禁じる規則はないという話を聞いているところなのですが、そういった意味で今後、規則、ルールの厳格化というか、むしろ明確化というところの必要を大臣として考えているかどうか、お願いできますでしょうか。
答: 今年の3月28日に「官用車の使用について」という官房長名の通達があります。
これは、特別職、政務三役だけではなく、局長級、そして局長級でない方の官用車の使い方について、かなり細かく規定をされたものでございます。
私が、事務方から聞いておりますのは、「出発地から公務の場所への移動経路上でお子さんを降ろした」ものであり、また、私の場合は、ほとんど毎日総務大臣室が主たる仕事場所で、自分の議員会館に行く機会は年に数回あるかないかという状況でございますが、金子政務官の場合は、主たる仕事場、総務省のレクを受けたり、様々な公務に係る部分も議員会館でされる場合が多いと聞きましたので、そういう意味では現段階でこの規定に抵触することはないと聞いております。
それで、今後はお子さんを官用車に乗せることはしないとも聞いております。
それぞれの職員が適切に判断し、しっかりと官用車の使用ルールを守っていただくことが重要だと思っております。
問: よろしいでしょうか。ありがとうございます。
答: お疲れ様でございました。