2017年8月1日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
今朝、官邸では、閣議、閣僚懇、特定複合観光施設区域整備推進本部の会合がございました。
いよいよ明後日には、私ども閣僚は、辞表を提出することとなります。これまで3年近く総務大臣として働かせていただきまして、記者の皆様からも多々御指導いただきました。心から感謝申し上げます。
[総務省の組織改革]
今年の4月に私が着手をしまして、かなりの時間と労力を割いて取り組んできた案件があります。まだ皆様に正式には御報告をしていなかったと思いますので、お伝えしておきます。
この総務省の組織でございますが、平成20年の情報通信国際戦略局の設置以降、大きな改正は行われておりません。
正確には2年11か月間ですが、働いてきまして、一昨年あたりから、最近の重要課題に対応できる体制が不十分ではないのかなと常々感じておりました。昨年、自分なりに、総務省の組織図や各課で対応している案件につきまして十分に熟慮をしまして、今年の4月に新たな組織改革への取組をスタートさせました。
まずは、「インフラシステム海外展開戦略の強化と効率化」でございます。
総務省では、御承知のとおり、放送、情報通信、電波監視、郵便システム、統計、行政評価など、様々な分野でインフラシステムの海外展開に取り組んでおりますけれども、各部局がばらばらに相手国との交渉を進めております。
国によっては、カウンターパートもしくは意思決定権者が、違う局の案件であっても同じであったりということもございますし、大臣室にも各国からたくさんの閣僚がお訪ねくださいます。
そういった時に、部局が1つだけの案件を私のところにトーキングポイントとして持ってこられるということや、各部局がばらばらに同じ国に出張して交渉を進めていくということは、コストパフォーマンスの点から考えても非効率ではないかなと考えておりました。総務省としての総合力が、十分に発揮できていないように感じておりました。
このため、今後、「情報通信国際戦略局」を「国際戦略局」に改組しまして、「国別のインフラシステム海外展開戦略」を策定し、一元的に交渉をできるような体制を作るように、事務方に指示をしておりました。
政令改正を要する事項でございますから、全ての府省の御了解が必要でございますが、関係府省の御理解を得て、早期に実現したいと考えております。
もう1つは、「情報セキュリティ戦略の強化」でございます。
国際的なサイバー攻撃が激化しておりまして、総務省が所管する領域、つまり省内、自治体、ICT企業、そして、今取り組んでおりますIoT、マイナンバーシステム、政府共通プラットフォームなどでも、サイバーセキュリティの強化というのは喫緊の課題でございます。リスクを最小化するために、やり過ぎということはないぐらいしっかりと情報セキュリティを守れる体制を作り、人材育成にも取り組んでいかなければなりません。
残念ながら、今年の人事までは、総務省の中にはサイバーセキュリティ課といったものも存在しておりませんでした。室で対応していただいたということでございますので、既に緊急の措置としまして、7月に情報流通行政局に「サイバーセキュリティ課」を創設すると共に、幹部人事において、政策統括官を「情報セキュリティ担当」として配置をしました。谷脇統括官には、今、省内全体に目配りをしながら取り組んでいただいております。
今後でございますが、8月末の組織要求に向けて、例えば、「情報セキュリティ政策局」というものを新設するなど、更なる体制の強化について検討するように、これも4月に事務方に指示をいたしました。
「国家行政組織法」では、政府全体で今後新設可能な局の数というのは残り2つでございますので、総務省で1つ新たな局を作るというのは、大変困難な作業ではございます。
ただ、定数全体を増やさないということを1つの条件にしまして、しっかりと進めていきたいと思っておりますし、こういう「情報セキュリティ政策局」というものが総務省という役所の中にしっかり設置されることによりまして、内閣官房NISCの機能も補強され、政府全体のセキュリティ対処能力の強化に貢献できるものと確信をしております。
4月の段階でございましたが、内閣官房長官、政務の内閣官房副長官、そして、事務の内閣官房副長官、そして、また、これから組織要求ということですから、財務大臣にも細かく私の思いをお伝えしております。
そして、前佐藤事務次官や前官房長であった山田真貴子さんが、当時から各省への説明も含めて必要な資料を作り、そして、現在では安田事務次官、林崎官房長などに懸命の努力をしていただいております。鈴木総審にもずいぶん御尽力をいただき、谷脇局長にも情報セキュリティを担当していることから、様々な御努力をいただいているところでございます。
早ければ、「国際戦略局」につきましては、秋ぐらいに一定のめどが付くのかなと思っておりますが、「情報セキュリティ政策局」の新設ということになりますと、これはかなりハードルが高うございますので、8月の概算要求、この時期にかかってくるわけでございますので、来年度から新しい体制というものが作っていければいいなと、私自身は強く希望をしております。
時間をかなり使ってきた割には大きな積み残し課題でもございますので、私も国会の方からしっかりとチェックをさせていただきますが、ここにいらっしゃるクラブの皆様にも、是非ともその後の経緯などをお気にしていただけたらとてもありがたいなと思いましたので、お伝えを致しました。
[行政評価局の取組]
今日の閣議に間に合えば良かったのですが、あと数日時間がかかりそうな案件がございます。
先般、共同通信社様主催の場で講演をさせていただいて、このクラブの皆様も取材に来てくださいました。その時、本当に短い時間でしたので簡単に触れさせていただきましたけれども、行政評価局が行っている、全府省に係る様々な政策と課題を洗い出して、改善に向けた勧告をしていくという、この取組に対して大変高い評価をしております。
私自身が一人の生活者として気がついたことについても、行政評価の対象として検討してもらえないかということを相談し、そして、私が提示した様々な問題、例えば、先週御紹介しました「軽井沢スキーバス事故の再発防止策」であったり、また、「高速道路の逆走防止策」であったり、大変、一人の国民としても心配している事柄について、本当に積極的に調査を行ってくれました。
今、私自身が大変強い問題意識を持って調査を依頼し、概ね行政評価局の調査は仕上がっているのですが、まだ関係省に対する勧告には至ってない、あと数日間はかかると思いますが、そういう状況にあるものの1つが「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」でございます。
私は、これからの日本は、新エネルギーについては普及を強力に進めていくべきだと思いますし、新たなリーディング産業になる分野が非常に多いと考えております。そんな中で、太陽光発電については、これは産業界でも活用されておりますし、それから、また、それぞれの御家庭でも太陽光発電パネルを設置されているところが多くございます。
私の地元の奈良県でも約2万軒がパネルを設置しておられるのですが、ただ、昨今は、集中豪雨があったり、台風があったり、地震があったり、こういった時に太陽光発電パネルを設置された家屋が崩壊したり、また、流されていくといった映像も目にしております。
太陽光発電パネルというのは、災害で破損しましても、日光が当たっている限り発電はしますので、接触すると感電をしてしまいます。まず、安全な廃棄措置というのが必要でありますし、産業廃棄物として処理されているケースでも、現場で感電などの防止措置が執られていないまま存置されていました。そして、パネルの溶出試験の結果、基準値を上回るセレンなどの有害物質が検出されているということがございますので、これから太陽光発電をしっかりと、安心して皆様に使っていただける、普及をしていくことのためには、将来もっと大量に発生するであろう廃棄まで見据えた一つの仕組み作りが重要だと思います。
行政評価局には、一生懸命調査をしていただきましたが、まだ勧告に至る、今、最終段階でございますので、こういった身近な事柄も、是非とも皆様にもカバーをしていただけたら、とてもありがたいなと考えております。
[その他の件]
そして、とても大きな仕事としましては、秋の「マイナンバー情報連携の本格運用」がございます。
先般来、御報告いたしておりますが、当初2件トラブルが発生を致しましたが、試行運用段階で解決が図れて本当に良かったと思っております。トラブルがあったベンダーにおかれましては、その企業を使っている各機関に対しまして、再発防止のための対応をしっかりとしていただきましたので、最初にこの場で2件のトラブルを御報告いたしましたが、昨日までの時点で、特に問題は何1つ起きてない状況でございます。
7月時点だけでも5,216機関が連携するという形になっておりますので、せっかく総理のご了解も得て、本格運用を3か月延期をしていただいたということですから、この試行運用期間にしっかりと課題を洗い出し、本当に安心して使っていただける、住民の方に、決して本格運用後に御迷惑がかからない、万全の体制を作っていくべきだと考えております。
ちょうど6月から7月にかけて、どこの役所もそうだと思いますが、局長級、課長級の人事異動がございました。それまでマイナンバーに関係していただいた方が異動している期間であるということもあり、7月7日に関係閣僚会議を開き、新たな局長さん、課長さんが責任を持って対応していただける時期まで、各大臣がしっかりと責任を持って取り組んでいただきたいということを、官邸で私からお願いを致しました。
その後、局長、課長の人事も終わりましたので、向井内閣官房審議官はじめ、総務省の各局長も協力をして、先般、異動後の各府省の担当局長、課長級などの職員を集めた大説明会を開催してもらったところでございます。これも万全の体制を取っていけるものだと思っております。
多少心残りなのは、先週のこの記者会見でも申し上げましたけれども、「放送に関する諸課題検討会」でNHK改革についても議論がなされております。一定の方向性、結論を得るまでに任期が来てしまいましたので、この後、また様々な方がしっかりと国会でもチェックをされ、多様な意見を反映した形でウィン・ウィンの関係が作っていけるような環境ができることを期待いたしております。
このほかにも、先週発表させていただきましたが、統計改革で、もっともっとたくさんの企業の皆様にも参加をしていただきとうございますし、多くの課題は残っておりますけれども、皆様の御指導もいただきながら、しっかりと、2年11か月間も仕事をしてくることができたということに、感謝申し上げております。
多少積み残しの宿題についても、あえて御紹介をしておきましたけれども、是非ともまた、今後どうなっていくのか、御関心を持っていただけたら幸せに存じます。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<組織改編について(1)>
問: 幹事社の毎日新聞の松倉です。今、冒頭お話しいただいた組織再編についてちょっと感じたんですけれども、長官や財務大臣、副長官に御説明ということだったんですけど、政府全体としてもその狙いについて理解を得られていると考えてよろしいのでしょうか。
答: 4月の段階でございましたけれども、回ってまいりました。その段階では、私の手作りの、なぜこういう改革が必要かという紙と、総務省の組織図を持って回らせていただきました。
即答で賛同をしていただいた方もいらっしゃいますし、また、これは政令改正事項になりますので、全ての役所の御理解が必要でございますので、例えば、こういう省に対してしっかり説明をしておいた方がいいんじゃないかというアドバイスも賜ったりしながらのことでございます。
いずれにしましても、「国際戦略局」は局を増やすわけではなくて、現在の「情報通信国際戦略局」を全省にまたがる国際戦略の窓口とするわけですから、むしろ総務省行政の効率化、コストの削減にもつながるものでございますので、大きな反対意見はなかったと承知をしております。
「情報セキュリティ政策局」の新設につきましては、残り2つの枠ということの中で、果たしてそれが絶対的に必要なのかどうかという説明は、まだ今後も求められるのではないかという感触を得ております。
ただ、情報セキュリティ強化の必要性などについては、賛成をしていただきました。
まだこれから、総務省の職員には、8月の概算要求の時期に一生懸命頑張っていただけると思いますので、私も注視をさせていただきたいと考えております。
<地方基金の増加を理由とする交付税削減の議論に対する所感>
問: 全国知事会が岩手で開催されまして、地方の基金が増加していることを国の財政当局が交付税の削減の理由に挙げていることについて批判をされました。知事会のこのような動きに対しての大臣の御所見をお願いします。あと、総務省では現在実態調査をしているかと思いますが、進捗状況と今後の見通しをお願いいたします。
答: 全国知事会のアンケートにもございますとおり、基金につきましては、景気変動や人口減少・少子高齢化などによる減収減への備え、そして、災害など不測の事態への備え、また、公共施設、インフラなどの長寿命化対策など、様々な地域の実情というものを踏まえながら、各地域におかれましては、最大限の歳出抑制努力を行いながら、それぞれの判断に基づいて、積立てを行っておられるということを伺っております。
ですから、地方の基金残高の増加によって、地方財政にとても余裕があるというような議論というのは、あまり妥当ではないと感じます。
つい先般も、これも私の選挙区で恐縮ですが、一生懸命節約して積み立てられた基金を活用して、老朽化してしまった役場をようやく建て替えることができました。それも複合型の施設ということで、コスト削減にもつながる。そして、安全を確保できるような形で建て替えをされました。
現在、総務省におきましては、経済財政諮問会議などで大変厳しい御指摘もあり、各自治体の基金の積み立て状況ということを把握するために、全ての自治体を対象に調査を実施しております。
提出期限につきましては、都道府県分は7月、市町村分は8月としています。
その後、決算の全体的な分析作業に合わせて、精査・分析を行っていくということになります。
調査の中でも、「財政調整基金の積立ての理由」ですとか、「積立ての考え方」、これは明らかにしていただきたい。そして、「特定目的基金の使途」というものについても明らかになっていくかと思います。
今後、これらの調査結果を踏まえて、基金のあり方ということについても議論を提供する材料になっていくのではないかと思っております。
<3年間を振り返っての所感>
問: 共同通信の宮沢と申します。冒頭、大臣からもお話がありましたが、3日に内閣改造が予定されていると思いますが、今、大臣から、積み残された課題を中心にお話されたと思っているのですが、これまで職務を振り返られて、大臣が特に思い入れを強くして取り組んだ事項や、あるいは成果について振り返ってお話しいただければと思います。
答: たくさんありすぎて、何から申し上げていいか分かりませんけれども、やはり一定の期間をいただいたことによりまして、まず就任しました翌年でしたか、「法定率の引上げ」という総務省の長年の悲願でありましたことを達成できたということ、そして、非常に多くの法律案を成立させてまいりました。
ほとんど国会対応で時間を使っていたんですけれども、それでも衆参共に、与党、野党にかかわらず、地方自治ですとか、情報通信の専門家の議員の方々がいらっしゃいましたから、例えば野党議員の方からこういうことができないかという提言があった場合に、その質疑の内容を受けて、私は持ち帰って考えることにしました。「なるほど、これはやるべきだ」と思ったことについては、しっかりと調査を行い、その上で法改正もしてまいりました。
地方公務員の方々、特に非常勤で働いていらっしゃる方々の処遇改善につながる改正も、委員会の中での様々な御議論を受けて調査をし、そして、実現できたことでございます。
大きな政策につきましては様々ございますが、ただ、私はやはり政治家ですから、いろいろな現場に足を運んで、自分の目で見て、これは問題だと思ったことはすぐに役所に持ち帰って対応をする、この繰り返しだったと思っております。
特に昨年、台風第10号で大変な被害が出ました岩手県にまいりました。その時も、1級河川や2級河川はいいんだけれども、「その他河川」と分類されているところで大きな被害が出ていました。そうなると、1級河川、2級河川の水位を見て避難しましょうという勧告を出すとか、避難指示を出すということだけではなくて、「その他河川」という割と小規模な河川でも、地形によっては相当大きな被害が出て、人命が失われるという現場を目の当たりにしましたので、これは「その他河川」とされている河川も含めて、全部の自治体に対してしっかりとチェックをし、そして、また、適切に避難勧告や避難指示が出せる体制を作っていただくように通知を出し、現在、取組が進んできております。こういったことは自ら見て必要だと思った時に、かなり早急に対応してきたことでございます。
総務大臣に就任して最初に伺ったのは、政調会長時代の最後8月に広島で発生した土砂災害の現場でございました。その後も災害が相次ぎましたし、今、秋田県などでも大変な状況になっています。熊本地震もそうでしたし、先般の福岡・大分の豪雨もそうでございます。やはり今は、過去には想定できなかった気候変動の中で、短時間に集中的に雨が降るということで、日本のインフラがそれに耐えられる状況になっていない。日本の現在の社会資本のキャパシティを超えているように感じておりますので、これはまた、内閣府防災や国土交通省で検討を進めていただくことでございますけれども、総務省としてできること、すぐにできることについては、迅速に指示をしてきたつもりでございます。
既に秋田県からも被災自治体から普通交付税前倒し交付の御要望もいただいておりますので、早急に対応できるよう事務方に指示をしております。その他の自治体の御要望や実情も伺いながら、適切に対応をしてまいりたいと思います。
政治家でありますから、一番自分が柱に据えていたのは「生活者としての視点」でございます。いろいろなところに出かけて町を見たり、自分の選挙区に戻った時に様々な方とお話をしたり、私自身が体験したこと、こういったことについて、1つずつ、1つずつ、新しい制度を作るための材料にし、取組を進めてまいりました。
もう皆様御承知のとおり、「医療機関における電波の利用」についても多くの方々の命に関わることですから、この夏に全国各地で協議会を立ち上げ、もっと多くの建築関係者、情報通信機器や医療機器の関係者、また、病院をこれから建て増しをしようとか、新築しようと考えておられる経営者の方々、または病院の職員の方々、技師の方々、こういった方々に、「電波の混信によって、どれほど患者さんにとって危険な状態が起きているのか」、「どう改善したらいいのか」ということをしっかりと知っていただく、この必要性というのは御理解をいただかなければなりません。
立派なマニュアル、ガイドも作っていただきましたので、私自身の看護体験から得た問題意識でございましたけれども、こういったところの改革もできたと思っております。
また、歩行困難な御高齢の方々の郵便投票の対象拡大についても、一定の方向性を有識者会議から出していただきました。
これは、これまでの法改正の経緯から見ますと、議員立法でございましたので、これはまた国会に戻りまして議員立法を進めていくための対応が十分にできればいいなと思っております。
そのほかにも、IoT政策を進めていく時にも、特に生活に身近な分野で、介護ですとか、医療ですとか、農林水産業、鳥獣害対策もそうですが、できるだけ生活に身近な分野でIoTを活用するということを進めてまいりましたし、多くの国民の皆様が不安に思っておられるのは、「いろんなものがインターネットとつながるのはいいんだけれども、例えば自動運転をしている時に、遠隔で乗っ取られたらどうなるんだと、大変危険なことが起きるのではないか」、そういった漠然とした不安を多くの方が抱かれると思いますので、IoTをしっかりと進め、その可能性を開いていくと同時に、やはりセキュリティ面ですね、万全を期さなきゃいけない。この取組も進めてまいりました。
特に大規模なサイバー防御演習も実施しております。重要インフラ事業者の方々や自治体の方々にも、参加をしていただく体制を作ってまいりました。
やはり今、IoTやサイバーセキュリティということを考えますと、日本に一番不足しているのは専門人材です。専門人材の育成ということも、これから手を抜かずに進めていっていただかなければならない事柄の一つでございます。
また、「情報難民ゼロプロジェクト」も、生活者としての体験の中から出てきた取組でございます。多くの住宅地に防災行政無線の屋外スピーカーがない。それから、機密性の高い建物が増えていますから、屋内にいると、スピーカーがあっても聞こえないと。そうなると、特に高齢者の方々を中心に避難が遅れてしまう可能性もありますので、これも戸別受信機の設置などの取組を進めてまいりました。
マイナンバーカードをより便利に使っていくための取組も、もともとは私の財布がカードでぱんぱんだった、化粧品屋のポイントカード、ドラッグストアのポイントカード、マイレージカードその他でぱんぱんだったところからの着想でございますので、「小さなことを1つずつ」という感じではございましたが、「気がついたことはすぐ動く」、そして、「これだけ幅広い政策資源を持った総務省の政策で何とか解決できないか」、常にそういう発想で仕事をしてまいりました。
多くの職員の皆さんに支えていただき、また、みんな大変仕事が早い、優秀な職員でございますいますから、私からの無理めな投球に対しても、すぐにバシッと受け止めて、形を作るために全力で働いてくださいました。
一番印象的だったのは、「G7情報通信大臣会合」を21年ぶりに開催できたことでございます。開催までには反対意見もずいぶんございましたが、開いてみて良かったです。AIというものについてこれから「開発原則」というのをしっかり定めて、国際社会で安心して自由な情報の流通も確保していく。そして、またAIの開発を進めていく。そういうことの議論をこれからきちっとしていこうという合意を取り付けることができ、今年の秋にはイタリアで「G7情報通信大臣会合」がございますけれども、ここでもしっかりとした議論が行われることを期待いたしております。
<組織改編について(2)>
問: 先ほど発表された機構改革の件、少し詳しくお伺いできればと思うんですけれども、一つは戦略局の構造は、例えば、国土交通省なんかは新幹線の海外展開、あるいは3.11もあったので動きが変わっていますけど、原発とか、いろいろ他省庁が取り組んでいるものがございますけれども、こういったものを国別戦略の中で少し束ねる、それと、情報セキュリティ局の方は、政府全体ということですけれども、例えば地方公共団体等も含めて、いろいろ総論賛成各論反対ということで、こういうのをやるとだいたい反対があって、なかなか前に進めないと思うんですけれども、御自身で陣頭指揮を執られるお考えはないのかというのも含めて伺えればと思います。
答: 総務大臣に就任して、1年目でできる話ではございませんでした。それぞれこの役所の中の局、課の状況、そして、総務大臣に就任してから様々、局内などで起きた問題、例えば大事には至りませんでしたけれども、統計局がサイバーアタックを受けたことがございました。全く大事には至らなかったのですが、統計局の中に「情報セキュリティ課」があるわけでもなく、室があるわけでもなく、御承知のとおり、長い間2つの局に室と呼ばれるものがあっただけでございますので、これは2年目に入ってみて、何とかこういうものを作っていくというのが必要だろうということがほぼ確信に近くなり、そこから様々な法律も読みましたし、過去に新しい局を作るということがどれだけ困難だったかということなども考え、また、本当に省内がそれで一体として取り組んでいけるのかどうか、また、NISCとの関係、経済産業省との役割分担など、様々な課題を洗い出したんですね。ですから、一定期間、閣僚をやらせていただいた上で、最後は満を持して行動に移したというのが今年の4月でございます。
「情報セキュリティ政策局」から先に申し上げますと、これは、まず総務省関連の行政情報システム基盤のセキュリティ対策、これを一元化する。それによって、対処能力は強化できると思っております。
また、総務省は、他の府省からも大事な情報をお預かりいたしております。政府共通プラットフォーム、これも各府省の情報システムに関連する基盤の運用ということでございますし、マイナンバーシステムも、これは非常に幅広く各府省にまたがる社会基盤の運用でございます。もちろん地方自治体のセキュリティ対策との連携もございますので、まずは総務省関連の情報、行政情報システム基盤のセキュリティ対策の一元化をしたいということでした。
そして、総務省において政策の企画立案部門と対策実施部門の一元化によって、能力が向上できるのではないかと考えました。サイバーセキュリティ政策の企画立案と行政情報システム基盤のセキュリティ対策、これを車の両輪としていくことによって、実態に即した対応と総合的な、民間を含めて総合的な情報セキュリティ政策の推進というのが可能になってまいります。
そして、最後にNISCとの関係ですが、これも谷脇統括官が過去、NISCにおられましたので、様々な話をしました。内閣官房の機能を明らかにサポートできるものになるだろうという結論に至りました。総務省の情報セキュリティ政策能力の向上というものを通じて、NISCの機能も補強され、政府全体としてセキュリティ対処能力の強化に貢献するということになります。
それから、新たに局の設置が8月の要求で認められましたら、そこから政令改正もありますし、少し時間がかかると思いますが、来年の春には新しい局が生まれる可能性もあるということでございますが、こちらはかなりハードルが高い方でございます。
もう一つ、「国際戦略局」についてのお尋ねでございますが、これはあくまでも総務省の中で今取り組んでいる様々な「インフラシステムの海外展開」について、「国別戦略」を作ったほうがより効率的に進められる、効果的に進められる、総合力を発揮できるという判断です。
たくさんあります。地デジ放送も展開しています。郵便関連システムもそうです。それから、電波システム。これは、まさにこれから本格化する取組です。防災ICTにも取り組んでおります。医療ICTの展開でも、引き続きASEANなどでも受注拡大を目指しております。それから、セキュリティでございますが、これまでタイでもサイバー防御演習を受注してまいりましたので、引き続きASEANを中心に、技術協力やサイバーセキュリティ演習の実施というもので展開を考えていかなきゃいけないなと思っております。
それから、生体認証も、これまでインドネシアやペルーで実績がございますけれども、今、ASEANやアフリカ、中南米などからもニーズがございますので、取り組める分野だと思っております。
また、放送コンテンツの海外展開。これも、とても素晴らしい効果がある政策だと思います。インバウンド拡大ですとか、日本産品の販路拡大にも資する。日本をよく知っていただくということは平和にも貢献することだと思っています。
それから、統計システム。これも、今までにベトナムやモンゴルと協力覚書を締結しています。エジプト、ネパールなどとも協力をしています。この統計システムもかなりニーズはあると思っておりますので、海外展開マターでございます。
行政相談制度。これもベトナムと情報交換をしてまいりましたし、研修なども実施してきました。イランとも協力覚書を締結していますけれども、更に展開していかなきゃいけないと思います。
それから、アジア地方行政セミナーも、平成11年から28年に、16回開催をしていますので、続けていきたいものでございます。
あと、消防防災インフラシステム。これも、主にアジア各国ということになりますけれども、国際消防防災フォーラムを活用するとともに、消防機器などの国際動向への対応ですとか、日本の規格の競争力強化というものを実施したいと思います。
それから、新規で「これから期待できるかな」と思っているのは、きっちりと連携が成功して、より使い勝手がよくなってまいりますと、マイナンバーカードやマイナンバー制度そのものですね。こういったものも展開の材料になると思います。
これらを国別戦略でしっかりと攻めていきたいなと考えました。
問: では、よろしいですか。ありがとうございました。
答: どうも、お疲れ様でございます。ありがとうございました。