令和元年10月25日 記者会見
更新日:
《冒頭発言》
よろしくお願いいたします。
【普通交付税の繰上げ交付】
改めて、令和元年台風第19号により、お亡くなりになりました方々に哀悼の意を表しますとともに、被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
10月21日の月曜日に、今回の台風により多大な被害を受けた79団体に対して、当面の資金繰りを円滑にするために、11月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰り上げて交付したところでございますが、このたび、新たに災害救助法が適用された地方公共団体のうち、ご要望がありました栃木県下野市に対して、11月に定例交付すべき普通交付税の一部、2億4,100万円を、28日の月曜日に繰り上げて交付することを、本日、決定いたしました。
今後とも、被災団体の実情を丁寧にお伺いしながら、特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。
【IoT機器調査及び利用者への注意喚起の実施状況】
近年、サイバー攻撃の脅威が増大しておりまして、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けても、サイバーセキュリティ対策が極めて重要となっております。
こうした状況の中、総務省と国立研究開発法人情報通信研究機構は、サイバー攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器を調査し、インターネットプロバイダを通じて、利用者に注意喚起を行う取組を、本年2月より実施しています。
これは「NOTICE(ノーティス)」と呼んでいる取組でございまして、本年6月時点の取組の結果は、既に公表をさせていただいておりますが、本日は、本年9月時点の取組の結果を公表いたします。
調査対象のIPアドレスは1億を超え、そのうち、注意喚起の対象として検出された件数は、延べ505件に達するなど、順調に調査を実施しています。
今後とも、安全で安心なサイバー空間の創出に向けまして、NOTICEの取組を継続的に実施してまいります。
私からは、以上でございます。
《質疑応答》
【菅原経済産業大臣の辞表提出に対する所感(1)】
問: 先ほど、閣議のあとに、菅原経済産業大臣が、週刊誌で報じられた「選挙区内で公設秘書が香典を渡した」との疑惑を受けて、総理に辞表を提出したということですけれども、受け止めをお願いします。
答: 私も、今しがた知りました。これは、政治家の出処進退に関するご判断ということでございますので、私からのコメントは、差し控えさせていただきます。
【郵便法改正案の国会への提出】
問: 郵便の土曜配達を取りやめる郵便法改正案についてお伺いします。この臨時国会中に提出される予定なのか、もし決まっていないとしたら、いつ頃に方向性が固まりそうなのか教えてください。
答: 郵便法改正案の臨時国会への提出につきましては、かんぽの不適正な営業に対する日本郵政グループの対応も含めて、国民の皆様のご理解が得られるかどうかということも十分に見極めながら、総務省において、最終的な判断を行うとしてまいりました。
このような中、9月末の日本郵政グループからの中間報告を拝見しますと、不利益を受けた可能性のある顧客の意向確認作業が4割程度にとどまっており、これを受け、総務省としては、去る10月4日に調査の加速化などの口頭指導を行ったところでございます。
現時点では、事案の全容が解明されたとは言えないことから、国民の皆様のご理解が得られたとも考えられないと判断をしまして、臨時国会への提出は見送ることといたしました。
【楽天モバイルの改善策】
問: 楽天の携帯電話サービスについてお伺いします。今月から、5,000人を対象にした試験サービスを始められていますが、利用できないとの相談が相次いでいて、23日に総務省の方に状況や改善策の報告を行いました。報告を踏まえて、楽天の通信ネットワークにおける課題をどう見ていらっしゃるか、また、総務省としてはこれまで楽天に3回行政指導を行ってこられましたが、今後どのような対応を考えているかをお願いいたします。
答: 本件については、楽天モバイルから既に報告を受けております。
電波が受信しにくい環境で初期設定を行おうとした場合に、回線開通に必要な信号を受信できず、一部で回線開通ができない利用者が発生しているということでございます。
また、同社から、10月16日以降、順次、「回線開通手順の補足説明資料の送付」、「サポート窓口の人員増強」、「未開通者に対するメールや電話による個別の案内」など、円滑な回線の開通に向けた対応を進めているという報告もございました。
楽天モバイルには、利用者の利益の保護のために万全を期していただきたいと考えておりまして、総務省としましては、引き続き、同社の取組状況を確認していきたいと思っております。
行政指導でございますが、楽天モバイルに対し、8月26日に、「利用者への情報提供」、「苦情・問い合わせの処理体制整備」など、利用者利益の保護に万全を期すよう、文書で行政指導を行っております。
今回につきましては、楽天モバイルにおいて、既に必要な対応が進められておりますので、現時点では、行政指導を行う予定はございません。
引き続き、同社の取組状況を確認し、必要に応じ、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
【災害時の通信環境の整備】
問: 格安スマホが、災害時、特につながりにくいということですね。これはライフラインとして、インフラとして非常に問題じゃないかという指摘があるんですけれども、今後の対応等はどのようにお考えでしょうか。
答: 主要携帯事業者のものであれ、MVNOのものであれ、災害発生時に利用者が一斉にインターネットにアクセスする状況では、回線容量に比べて利用者数が多くなってしまいますので、インターネットにつながりにくい状況が生じてしまいます。
災害時において、様々な通信手段を活用しながら、被災者が情報を入手できる環境を整備するということが非常に重要で、私も強い問題意識を持っております。
近年では、通信事業者などが協力をして、被災地域において、公衆無線LANサービスを無料で開放するといった取組も進めていただいております。
また、総務省としましても、通信各社には、災害に強い情報通信インフラの構築を行っていただきたいと考えていますので、災害時においても、国民の皆様が安心して通信を利用できる環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
【合併特例法の今後】
問: 地制調で近く答申がまとまることから伺います。平成の大合併の功罪と、人口減少下でも合併を推進する必要があるかどうか、大臣のお考えについてお願いいたします。
答: 平成の合併ですが、地方分権の担い手となる基礎自治体の行財政基盤の確立を目的としまして、平成11年から約10年間にわたって進められました。
その結果、総じて言えば、市町村の規模の拡大や、行財政基盤の強化といった効果は得られたと認識をしています。
一方で、これは私も地元で実感をしていることですが、住民の皆様の声が、市町村に届きにくくなったといった課題もあるかと思います。これも、合併された市町村において一体感を醸成していくことによって、時間とともに合併の効果は現れてくると思っております。
現行の合併特例法でございますが、ご承知のとおり、今年度末に期限切れを迎えるということになっています。
本日の地方制度調査会の総会におきまして、現行法の期限後の取扱いについて、答申が取りまとめられる予定でございますので、この答申の趣旨を踏まえまして、総務省として、適切な対応をしてまいりたいと考えています。
【菅原経済産業大臣の辞表提出に対する所感(2)】
問: 菅原大臣の辞任のことについて、先ほど、政治家一個人のことなのでコメントできないということだったんですが、総務省では公職選挙法を所管している立場からどのように受け止められていますでしょうか。
答: 政治家の出処進退は、ご自身でお決めになることだと思っております。
皆様もご承知のとおり、総務省では、個別の事案について、実質的な調査権を有しておりませんので、今回報道されている件が、法的にどうなのかということについては、私の立場からお答えできる状況にはございません。
問: それではこれで終わります。ありがとうございました。
答: お疲れさまでございました。