令和元年9月12日 記者会見
更新日:
《冒頭発言》
皆様、おはようございます。
2年と1か月余りになりますが、再び総務省に帰って参りました。どうかよろしくお願いを申し上げます。
主におおまかな方針につきましては、昨晩の官邸での記者会見で申し上げましたので、よろしければ、今日は皆様からのご質問をお受けできたらと思いますので、よろしくお願いします。
【ふるさと納税制度】
問: 昨晩の官邸での会見でも質問は出たと思いますけど、改めまして、ふるさと納税制度に関連して、国・地方係争処理委員会が泉佐野市を除外した決定の再検討を求める勧告を出しまして、来月4日までに、勧告に受けた対応を決めることになると思いますけれども、大臣のこの問題に対するご認識と、どう対応されていくかお尋ねしたいと思います。
答: 先般の係争委における審議の中では、ふるさと納税制度に係る総務省及び泉佐野市のそれぞれの主張につきまして、多岐にわたりご議論をいただいたと承知をしております。
その上で、勧告におきましては今般のような、国会で前・石田大臣が大変ご苦労をいただきましたけれども、制度改正を行わざるを得なかった、そこに至った問題状況については共有されつつも、告示の文言については法の委任を超える恐れがあると指摘されたものだと存じます。
今後、地方自治法に基づきまして定められた期限、つまり10月4日までの間で、勧告で示された各点を総合的に検討して、対応方針をしっかりと決めさせていただきたいと思います。
昨日官邸でも申し上げましたけれども、そもそも国と地方というのは地方分権一括法に基づいて対等な関係でございます。様々、総務省から地方自治体に対してお願いをするようなこともございますけれども、大方の文書には、「これは地方自治法に基づく技術的助言です」という文言を入れさせていただいております。ですから、拘束力があるわけではないですけれども、しかし、これまではふるさと納税制度につきましても、それぞれの自治体の良識を信じて運用されてきたものでございます。
ところが、特定の自治体が、自分のところさえいいというような考え方で得をしてしまうということは、他の自治体の税収減に明らかにつながります。実際、私の地元で見ましても、ふるさと納税制度が始まって、特に皆様が喜ぶ特産品を出せないということで税収減になってしまった自治体がございます。
減になってしまった分を、また交付税措置で埋めるというようなことを繰り返しますと、ご承知のとおり交付税も税がその原資でございます。日本中の多くの納税者の方々のマイナスにも、間接的にはなってしまっているということでございます。
ぜひとも、本来のふるさと納税制度の意義、これをもう一度理解していただいて、多くの地方が元気になっていく、そんな制度に改革していけるように理解も求めてまいりたいと思います。
ただ、やはり係争処理委員会、これは第三者機関でございますので、勧告を厳粛に受け止めまして、しっかりと私どもの考えを明らかにさせていただきます。
【かんぽ生命の不適切販売】
問: これも昨日に続いて改めてなんですが、かんぽ生命の不適切販売問題に関する大臣のご認識と、今後の対応についてお伺いします。
答: これは私も腹に据えかねておりますが、今回、株式会社かんぽ生命保険と日本郵便株式会社の両社が、顧客本位というものを徹底できず、契約者に対して不利益を生じさせたということ、これは本当に残念なことでございます。
総務省としましては、不利益を受けたかんぽ生命の契約者の特定、それから、その権利の回復、そして抜本的な改善策の早急な検討、これを求めるということで、石田大臣の時でございましたが、8月8日に日本郵政株式会社に対して9月末までの報告を求めていますので、この報告結果などを踏まえまして厳正に対処して参りたいと思っております。
【大臣就任に当たっての意気込み】
問: 大臣に、改めて意気込みをお伺いしたいと思いますけれども、今回の改造では初入閣の方が多い中で、大臣は2年ぶりの登板ということで、即戦力の期待をされてのことかと思います。総務省で、先ほど幹事質問からも出ましたように、ふるさと納税とかんぽ生命だけではなくて、大臣が昨日の会見でもお話しされたサイバーセキュリティの問題であるとか、マイナンバーカードの普及・促進であるとか、どれも多くの国民に影響するような重要な課題が山積しております。ある意味、大変難しい時期に再登板することになったともいえるわけですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
答: ふるさと納税の問題もそうですし、かんぽ生命の現状を見ましてもそうでございますけれども、非常に難しい時期に再任となったと思っております。
しかしながら、大変多岐にわたる分野を所掌する役所でございますから、様々な課題が出てくるのは当たり前。それらに、いかに迅速に対応して、公正で、公平で、何よりも納税者の皆様のためになる行政を行っていく。これが私どもの仕事だと思っていますので、全力で取り組んで参ります。
私も2年余り、この総務省を離れていました間、自分の地元を歩いたり、ほかの都府県に出張させていただいたり、そこでいろんな意見交換をしたり、私個人のことですけれども、親の介護を経験して見送ったり、そんな生活の中で様々なお声も伺い、自分の経験の中で新たな問題意識も持って戻って参りました。
また、職員の方々には炎上商法と怒られてしまうかもしれませんが、特に今、興味を持っているのは、例えば在宅介護を選ばれる方が今、非常に増えておりますよね。それで、市町村によってずいぶんサービスに格差がございます。家事支援サービスをお願いしても、ごみ出しというのはサービスの対象外でございます。在宅介護を受けていらっしゃって、高齢者だけのご家庭で、その方が歩けない場合、車いすで生活をしている場合に、月曜日と火曜日と水曜日と木曜日と、それぞれごみの種類ごとにごみを出してください。こう言われてもとても出せないんですね。
私の家でも大変でした。週末ごとに帰ってはごみを分別して、ご近所の方々に頭を下げて、「これは資源ごみの日にお願いします」「これは燃えるごみの日にお願いします」って、本当にご近所に支えていただいて、何とか乗り切ることができたんですが、隣接する市などではサービス「ふれあい収集」をやってると。ご高齢者や障がい者だけのお宅には玄関口までごみを受け取りにいくようなサービスをやってます。
この総務省にも、集落支援員制度がございます。主に過疎地を想定した制度でございますが、今、市部におきましても、そういったきめ細やかな、本当にお困りの方に対して手を差しのべるサービスがある市町村とない市町村というのがございますので、これは自治財政局長に怒られてしまうかもしれませんけれども、少しみんなで議論をして、また、交付税措置など何か対応ができないか、各自治体を応援できないか。こんな意識を持って帰って参りました。
また、サイバーセキュリティは、がっつり自民党のサイバーセキュリティ本部で、しかも総裁直轄機関で2任期務めさせていただきました。相当野心的といえる『2次提言』を、先般も総理に提出をしたところでございます。総務省に係るところでいいますと、やはり「自治体の情報システム標準化」に向けまして、しっかりとサイバーセキュリティ対策は確保していくということと、10月1日から始まります「キャッシュレス決済ポイント還元制度」に係るセキュリティ、これは経済産業省が中心にやっておられますけれども、総務省にもサイバーセキュリティ統括官がおりますので、協力をしながら、多くの方々の大切な情報を守っていく、このために力を尽くしたいなと思っております。
また、いろいろ充電してまいりましたので、徐々に政策が固まりましたら皆様に発信をさせていただきます。懸命に、気持ちを新たに働かせていただきます。
【放送分野での取組】
問: 昨日の官邸での会見では、大臣がこれからやりたいことの重点5項目を発表されましたが、その中に放送分野が入っていなかったんですが、放送分野では特に大臣として何かおやりになりたいことはありますでしょうか。
答: 放送分野も、N国も議席を得られまして、これから、国会でおそらく様々な議論がなされるのだろうと思いますけれども、現在日本の放送行政というのは、公共放送でありますNHKと民放の二元体制でやってきております。国会でも幸い、ある一時期を除いてはNHK予算も全会一致で可決をされているという状況で、二元体制の理解というのは深まってきていると、そのように考えてきております。
放送というのは、災害の時にも、皆様が、大変視聴率の高い番組をやっておられても、合間に災害情報を入れて国民の皆様の安全を守るために頑張っていただいてます。ましてやNHKは、放送法に基づきまして、日本あまねく、そして、災害報道も含めて、していかなきゃいけない、また、良い番組を供給しなきゃいけない、そういう使命を持った放送局でございます。
あくまでもNHKにお願いをしたいのは、受信料というのは受益の対価ではない。受信設備を設置した方々が広く負担をする、NHKの業務をしっかりと維持していくための「特別な負担金」として、皆様に負担していただいている。その受信料の意義と公共放送としての意義を正しく多くの方々に発信をして、対応していただきたいものだと考えております。
これから放送は、どんどん発展していくと思います。8Kに向けても、私は大きな期待がございますし、来年いよいよオリンピック・パラリンピック競技大会ということで、ずいぶんテレビ視聴の需要も増えると思います。それぞれにご苦労はあるかと思いますが、ご活躍を祈念申し上げております。
【携帯料金の値下げ】
問: 10月1日から改正電気通信事業法も施行されることで、携帯各社が端末料金と通信料の分離プランを相次いで出されていますけれども、大臣は前回の総務省の時でも、携帯料金の値下げにご尽力されたかと思うんですけれども、この現状の携帯各社の料金値下げに向けた動きについて、どう見ていらっしゃるのか。もう1つ、可能であれば、9月20日からのラグビーワールドカップで、5Gのサービスが始まると思うんですが、5G、来年春からの商用化に伴う大臣の期待感みたいなものを併せてお聞かせください。
答: 分かりました。まず10月1日に改正事業法、これが施行されます。電気通信事業法の改正がいよいよスタートということで、携帯電話につきましては、利用者が通信料金による比較や選択、それから、事業者乗り換えというのが容易にできるようになりますので、競争が活発化していくし、分かりやすくなると思います。結果的には、通信料金と端末料金を分けて対応していくことで、端末の機器間でも競争というのが起こって低廉化していくものと、私は期待をいたしております。
これからですけれども、希望といたしましては、楽天モバイルには国民の皆様からの期待もしっかりと受け止めて、携帯電話事業者としての社会責任を果たして、早期に本格的なサービスを展開できるようにしていただきたいなと思っております。
そして、5Gにつきましては、これは来年度に向けまして予算の概算要求にも入れさせていただいておりますが、5G、光ファィバの全国展開支援をしっかり行うということと、それから、地域課題の解決に5Gというのは使えますから、ここにも力を入れていきたいなと思ってます。特に過疎地にお住まいの方とか、外出が困難なご高齢者や障がい者の方々の生活を考えますと、遠隔医療に5Gや8Kをいかに利用していくか。この視点も持って振興に取り組んでいきたいと思っております。
【NHKの常時同時配信】
問: 前回の在任中、大臣、NHKの常時同時配信について、どちらかというと懐疑的なご意見をお持ちだったと記憶しております。本当に常時同時なんていう需要があるんですかとか、受信料収入をそちらに充てるのはいかがなものかというお考えだったと思うんですが、その後、お考えは変わりましたでしょうか、あるいは今後どのように。改めてお考えをお聞かせください。
答: 難しいご質問ですね。前回は高市大臣が立ちはだかってしまったおかげで、NHKの同時常時配信については、かなり慎重なご議論を延々といただくことになってしまいました。でも、前回総務大臣を務めた時に、常時同時配信を放送の補完と位置づけること、それから、国民や関係事業者のご意見を幅広く聞きながら検討すること。それからもう1つ、業務委託及び子会社のあり方などを見直すこと。これが特に重要だということを申し上げました。
今年5月に改正放送法が成立しましたので、これらの趣旨を踏まえて常時同時配信を、NHKに、その目的達成に資する範囲で可能とするということになり、インターネット活用業務の実施基準に関する意見聴取義務ですとか、NHK及び子会社などガバナンス強化など、様々私が申し上げていた問題点、指摘については、盛り込まれたものだと思っております。
これは、退任後の担当局長のご尽力、また、担当課の皆さんのご尽力に感謝を申し上げます。常時同時配信については、引き続きこれらの趣旨をしっかりと踏まえてやっていかれること、改正放送法に基づいて進めていただくということ、これについて注視をさせていただきたいと思っております。
問: 今日はここで。ありがとうございました。
答: ありがとうございました。またお世話になりますが、よろしくお願いいたします。