令和2年5月1日 記者会見
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《冒頭発言》
【特別定額給付金の早期給付】
特別定額給付金事業を含む、令和2年度補正予算が成立いたしました。
緊急経済対策の趣旨を踏まえ、各市区町村におかれましては、迅速かつ的確な支給に向けて既にご尽力をいただいております。
一部の団体では、既に支給を始めていると承知いたしておりますが、改めてご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
また、支給の方法としまして、今回はマイナンバーカードを活用したオンライン申請受付システムを導入することを、かねてより申し上げておりました。
いよいよ本日から、679市区町村において、オンライン申請受付が開始されています。
マイナンバーカードをお持ちの方は、是非、申請書の到着を待たずにオンライン申請をご利用いただきますよう、お願い申し上げます。
総務省としましては、一日でも給付を早めるため、引き続き大手システムベンダーや金融機関に対する協力の働きかけを行いますとともに、市区町村が迅速かつ円滑に事務を遂行できるよう、その進捗状況を把握しながら、全力で支援をしてまいります。
【令和2年度補正予算の地方公共団体における迅速かつ着実な執行】
令和2年度補正予算の成立を受けまして、本日の閣議で、内閣総理大臣から、本補正予算を含めた緊急経済対策の各施策を、迅速かつ着実に実施するよう指示がなされました。
私からも、可能な限り迅速な給付に向けて準備が進められている特別定額給付金事業をはじめ、地方公共団体に対し、迅速かつ適切な事業執行に取り組んでいただく旨の要請を行うことを発言し、本日、その通知を発出いたします。
詳細は、自治財政局財務調査課にお問い合わせください。
【地方税の猶予のオンライン申請】
昨日、地方税法等の一部を改正する法律が成立しました。
これを受けて、地方税は国税と同様、収入が相当程度減少した納税者などに対し、申請により無担保かつ延滞金なしで1年間、徴収猶予できる特例が講じられます。
この手続につきまして、本日の午前8時半から、エルタックスを通じ、全地方団体に対するオンラインでの申請が可能となりました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも、非接触で手続を行うことができるエルタックスのご活用をお願い申し上げます。
【G20デジタル経済大臣臨時会合の結果】
昨晩、「G20デジタル経済大臣臨時会合」がテレビ会議形式で開催され、総務省からは寺田副大臣が出席し、新型コロナウイルス感染症の拡大へのデジタル技術の活用について、加盟国などと意見交換を行いました。
総務省からは、「テレワーク」や「遠隔教育」を支えるブロードバンド基盤の整備、ビッグデータの活用に当たってのプライバシー保護とセキュリティ確保、「フェイクニュース」や「偽情報」への効果的な対策の必要性について発言した上で、G20が一丸となって、この世界的な危機を乗り越えていくよう、呼びかけを行いました。
会合の成果として、G20各国が協調して、新型感染症へのデジタル技術の活用に関して、ブロードバンド基盤の整備、サイバーセキュリティの確保、フェイクニュースや偽情報への対策などの取組を進める必要について、閣僚レベルで確認する「閣僚声明」を採択しました。
総務省としましては、G20をはじめとする各国・国際機関と緊密に連携しながら、デジタル技術の活用やルール作りなど、様々な分野において責任ある役割を果たすことにより、新型感染症対策に貢献してまいります。
【「総務省海外展開行動計画2020」の策定】
この度、総務省としての総合力を一層発揮し、海外展開を進めるための羅針盤として「総務省海外展開行動計画2020」を策定しました。
昨年11月に事務方に策定を指示し、国際戦略局を中心として、海外展開企業や国際開発金融機関などと意見交換を行った上で、今年1月の私のベトナム訪問の成果も踏まえて、検討を進めてきたものでございます。
この計画は大きく3つの柱からなっております。
第一に、「信頼性ある自由なデータ流通」、「自由で開かれたインド太平洋」など、我が国の外交政策と協調しながら、5G日本モデルの導入や、それを支える光海底ケーブルなどの質の高いインフラ整備を、力強く進めてまいります。
第二に、総務省が有する政策資源を総動員し、官民一体となった海外展開を進めます。
1月のベトナム訪問では、「情報通信」「電子政府」から「消防」「統計」「行政相談」に至るまで、トップレベルでの協力を確認しましたが、これを先例として、今後も縦割りの排除を徹底し、総合力の発揮に努めてまいります。
また、JICTやJICA(ジャイカ)、JBIC(ジェイビック)などの関係機関とも一層連携し、官民協議会のような場も構築してまいります。
第三に、新型コロナウイルス感染症に対応するため、日本の技術を最大限活用し、「通信網の整備」や「ビッグデータ分析」、「遠隔医療」などの分野で国際的な連帯に貢献していくとともに、「ポスト・コロナ」における海外展開も見据えた計画となっております。
詳細は、国際戦略局総務課にお問い合わせください。
冒頭、私からは以上でございます。
《質疑応答》
【特別定額給付金の早期給付】
問: 特別定額給付金事業について、改めて大臣のお考えを伺いたいのと、全国の自治体の進捗状況について伺えますでしょうか。
答: 早い段階から事前の準備に着手をした上で、早速、昨日の補正予算成立直後から給付を開始された団体もあり、その迅速なご対応に感謝を申し上げます。
これまで、私からも、全ての市区町村長、都道府県知事宛てに直接メールで、事前にできる準備の内容などについてご連絡をするなど、できるだけ迅速な給付に向けて取り組んでまいりました。
引き続き、前田本部長はじめ総務省特別定額給付金本部の職員の皆様や、市区町村職員の皆様には大変なご苦労をおかけいたしますが、一日も早く国民の皆様のお手元に給付金をお届けできるように、私どもも全力で取り組んでまいります。
また、先ほども申し上げましたが、オンライン申請については、内閣府においてシステムの整備を行い、マイナポータルにおいてマイナンバーカードを活用した申請受付を全市区町村が実施できる状況を、本日までに整えました。これまでマイナポータルとつないでなかった市区町村も、利用できることになりました。
受付開始日は各市区町村のご判断でございますが、早速、本日から679市区町村で申請受付が開始されておりますので、オンライン申請につきましても、引き続き、市区町村に積極的な活用を促したいと思っております。
【マイナンバーカードの課題】
問: マイナンバー制度とカードについてお伺いします。各国では新型コロナ対策として個人番号制度の仕組みを用いた支援が行われているかと思います。具体的には、マスクを全国民に行き渡るような販売管理をしたり、所得に応じてプッシュ型の支援金を行っている国もあると聞いております。マイナンバーが、例えば銀行口座ともう少し紐付けられていれば、あるいはカードがもっと普及していれば、効果的な支援ができたのではないかという気もするのですが、現状のマイナンバー制度が抱える課題と今後の課題解決に向けてどうあるべきか、大臣のご所見をお伺いできればと思います。
答: 今般、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、非接触で、安全・確実に本人確認を行うオンライン申請受付を特別定額給付金事業において可能とすることで、マイナンバー制度の基盤が活用されております。
マイナンバーカードにつきましては、安全・安心で利便性の高いデジタル社会の基盤となるものでございます。
今回、オンラインでも着実に本人確認を行うことができるマイナンバーカードの重要性が、改めて認識されたと思っております。
今後、マイナポイントを使った消費活性化策が9月からスタートいたします。また、健康保険証としての利用は来年3月からスタートいたします。マイナンバーカードのメリットを確実に拡大することで、普及を進めたいと思っております。
さらに、これは関係各省のご協力が必要でございますが、その後は、お薬手帳としても使えるようにします。また、母子健康手帳としても活用できる、介護保険の被保険者証としても活用できる、そして、障害者手帳としても活用できる、ハローワークカードとしても活用できるというように、徐々に活用範囲が広がってまいりますので、これも各大臣にお呼びかけを続けながら、しっかりと推進をしてまいりたいと思います。
それから、お尋ねのマイナンバー、つまり、番号そのものについてですが、現行のマイナンバー法では、社会保障、税、災害対策の各分野で、マイナンバー法で利用を認められている事務に限り、利用が可能となっています。
法律の制定時には、国民の皆様のマイナンバー、番号への慎重なご意見も多々ございました。今後、国民の皆様のご理解を得ながら、その活用を引き続き検討することになります。
例えば今回でも、マイナンバーは国民の皆様に付番されているわけでございますので、「それを使って給付金が支給できないのか」など、いろいろなお声を賜りましたけれども、そもそも、国民の皆様全員の口座とマイナンバーが紐付けされているわけではございませんので、まだ、その基盤は整っていません。
ただ、私自身が親を亡くしたときに一番困ったのが、亡くなった親の通帳がいったいどこの金融機関にあるのか、通帳が置いてある場所さえ分からないといったことでございました。これは、特に政治家でもあり、万が一にも相続税の納税漏れがあったら大変なので、家中をひっくり返して探すことになりました。
もしも、マイナンバーで名寄せという形で紐付けができて、遺族が簡単にその資産の在りかが分かったり、どこの金融機関と取引があったのかが分かったら、ずいぶん楽だったろうなと思います。
特に、東日本大震災のような大災害があって、お家そのものが崩壊してしまったり、流されてしまったりといったときに、多くの方が自分自身の持っている銀行口座などが全て分からなくなってお困りになったと思いますので、特に、これからの相続や災害対応を考えると、それぞれの口座とマイナンバーの紐付けは重要なポイントになってくると思っております。既に、財務大臣にはお願いをいたしております。
【eシール及びタイムスタンプ制度】
問: 先日の経済財政諮問会議で、安倍総理から、判子文化の見直しということで指示があったと思います。総務省でも、eシールなど、デジタル社会での認証の仕方が進められています。首相発言を受けて、今後、こうした施策について対応を加速するお考えがあるのかを教えていただけますでしょうか。
答: 特に今は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって外出の自粛が続く中で、ネット上で官民のあらゆるやり取りを完結できるようにしたいという要請が高まっております。
経済財政諮問会議においても、紙や押印を前提とした制度や慣習を見直す議論が行われています。
そのための基盤として、電子データの信頼性を確保する「トラストサービス」の仕組みが、重要な役割を果たすと期待いたしております。
総務省では、セキュリティを確保した上でオンラインの情報流通を促進する観点から、トラストサービスの普及方策について、有識者会議で検討を進めてまいりました。
今年2月の取りまとめでは、電子データの作成された「時刻」及び「改ざんの有無」を証明する「タイムスタンプサービス」や、受発注や支払に関する電子データの発行元の「組織」を証明する「eシール」などについて、国が一定の関与を行うことにより認定する仕組みについて提言がなされました。
これを受けまして、それぞれのサービスについて認定制度の在り方などに関する有識者会議を立ち上げて、具体的な制度設計の検討を開始したところでございます。
総務省としましては、この有識者会議のご議論を踏まえまして、できるだけ速やかにトラストサービスの制度整備を進め、社会全体のデジタル化を推進してまいりたいと考えております。
【日本郵便における処分】
問: 28日に、国家資格を持つ日本郵便の社員2,615人が、総務大臣の承認を得ずに兼業していたとして戒告などの処分を受けました。大臣の受け止めと、日本郵便に対して今後望むことは何でしょうか。
答: 日本郵便における社内調査の結果、郵便認証司としての任命を受けずに特別送達の認証を行っていた事案が2件、承認を受けずに兼業を行っていた事案が延べ2,788件、存在していたことが判明しました。
このため、4月28日、日本郵便に対して、「これらの事案の再発防止」、「兼業承認の必要性に関する社内周知の再徹底」の2つを要請させていただきました。
未承認の兼業事案については件数が非常に多くなっております。法令上の手続に違反するものでございますが、いずれも事前に申請があれば承認を行ったものでありました。
具体的には、自ら営利目的の団体の役員や営利事業に従事した者287名については「戒告」といたしました。
一方で、その他の者については、兼業の契機や内容などを勘案し、相続などで不動産を取得した者については、自ら事業を開始していないことから「厳重注意」としました。これが432名でございます。
また、消防団、教育委員などの兼業については、特に公的な性格と地域貢献ということを考慮し、口頭による注意にとどめました。1,896名でございます。
日本郵便には、多数の処分や注意を出したことについて重く受け止めていただき、引き続き、コンプライアンス遵守のためにご努力をいただきたいと存じます。
【公立学校における光回線の整備】
問: 新型コロナを受けた外出自粛の影響で、遠隔教育をどんどん広げていこうという流れがあると思いますが、全国で2,800校が、まだその環境が整ってないということです。教育格差への影響にも心配されると思いますが、総務省として、何か環境整備を後押しするような対応方針がございましたら教えてください。
答: 文部科学省と総務省の調査によりますと、全国約3万3,000校の公立学校のうち、光ファイバに接続できていない学校が2,835校ありまして、このうち、近隣地域に光ファイバが整備されていない約500校の学校については、遠隔教育の前提となるブロードバンドをそもそも利用できない環境にありますので、特に対応が求められます。
総務省におきましては、「GIGAスクール構想」の実現に向けまして、今回お認めいただきました補正予算で30.3億円を計上しまして、学校のある地域における光ファイバ整備を促進することといたしております。
こうした施策の展開を通じて、学校を含む地域のブロードバンド環境の早急な整備を進めることによって、文部科学省とも連携して、現下の大変厳しい状況において、子どもたちが学習を継続できる環境整備に取り組んでまいります。
【テレビ閣議】
問: 今朝の閣議、初めてのオンライン閣議、テレビ閣議という形だったと思いますが、ITを所管する大臣として、ご所感はいかがでしょうか。
答: 今朝の閣議は、あくまでも試行的な取組ということでございまして、今回の結果を踏まえて、今後については官房長官の下で検討されると聞いております。
問: では、これで記者会見を終わりにさせていただきます。
答: どうもお疲れさまでございました。