令和5年10月17日 記者会見
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1.発言要旨
冒頭、私より2件報告を申し上げます。
まず、宇宙政策担当の大臣として報告いたします。
本日、「宇宙システムの安定性強化のための官民協議会」を設置いたします。
通信や測位などに代表される宇宙システムは、経済・社会活動の維持に不可欠なものとなっておりまして、その安定的な利用を図るため、官民一体となった取組が求められております。
本年6月13日に決定された「宇宙安全保障構想」及び「宇宙基本計画」では、宇宙に関する不測の事態が生じた場合における対応体制の構築、強化などが明記されておりまして、これを実現するための具体的取組として設置するものでございます。
官民協議会は、関係府省庁に加えて、宇宙システム関連事業者や重要インフラ関連団体などから構成されるものでございます。この官民協議会を通じまして、官民相互の連携や情報共有を促進し、官民一体となった総合的な対処体制を構築することで、宇宙空間の安全かつ安定的な利用が一層進むことを期待いたしております。細部につきましては、宇宙事務局にお尋ねください。
それから、科学技術政策、宇宙政策及び経済安全保障を担当する大臣として報告を申し上げます。
明日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を視察する予定でございます。NICTでは、生成AIについて、日本語の大規模言語モデルの研究開発に取り組んでおられます。現在、政府のAI戦略会議において、AIのリスク対応や利用促進、開発力の強化に向けた議論を重ねておりますが、日本の産業競争力に不可欠な「AI開発力の強化に向けた最先端の研究開発」を見せていただきます。
また、宇宙開発利用におきまして、今後ますます宇宙通信の高速・大容量化が重要になります。NICTで進めておられます「衛星通信の最新の研究」成果についてお伺いするのも楽しみでございます。
加えて、NICTでは、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃に対抗するため、「サイバーセキュリティーに関する技術の研究開発」にも取り組んでおられます。政府におきましても、「経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)」でサイバー空間領域の重要技術を支援対象としておりまして、今回の視察を通じて、経済安全保障に関する施策の推進に必要な知見を得たいと考えております。
2.質疑応答
(問)大臣は、以前から食料安全保障について問題意識をお持ちだったと思いますが、例えばムーンショットでは、昆虫をタンパク源にして、家畜や魚を育てるようなプロジェクトも進んでいます。経済安全保障の観点から、K Programで食料安全保障を取り上げることについて、どのような検討を進めていこうとお考えでしょうか。
(答)並々ならぬ決意を持っております。今年8月の「第二次研究開発ビジョン」決定後の会見でも申し上げましたが、昨今の情勢を考えますと、食料安全保障は科学技術政策全体としても取り組むべき重要な課題だと思っております。食料に関する研究は、ムーンショットでも鋭意取り組んでいるところでございますけれども、K Programでも現在、担当部署や有識者、関係省庁を交えた議論を進めております。
「食糧法」で対応できる部分については農林水産省で対応されますけれども、政府全体として食料に関する様々な取組がある中で、どういった技術、特に先進的な重要技術という形で取り組むことが適切か、まだ検討中でございます。
検討半ばの内容でございますので、この場で明らかにするのは難しいのですが、様々な地球的課題の解決に資するような重要技術の研究開発になっていけばいいと思っております。
(問)先週、高市大臣はサウジアラビアのスワーハ宇宙庁長官とお会いされたと伺いました。中東地域は、正に宇宙開発に力を入れている地域だと理解しております。お話するのが難しい部分もあるとは思うのですけれども、会談の趣旨や成果、大臣の手応えなど、可能な範囲でお願いします。
(答)スワーハ長官との会談でございますが、今年の7月に岸田総理がサウジアラビアを訪問された際に、日本とサウジアラビアとの間で宇宙協力を進めることで一致しました。これを受けまして、今後、両国の政府間や宇宙機関間で宇宙協力を具体化していきたいという旨を述べました。
スワーハ長官からは、今年5月にISSに滞在したサウジアラビアの宇宙飛行士が日本の実験棟「きぼう」を利用した事例の紹介もございました。今後、両国の宇宙協力の具体化を行いたいという旨のお話でございました。
さらに、私からはスペースデブリ対策の重要性についてもお話を申し上げ、スワーハ長官からも賛同を得たところでございます。
いずれにしましても、両国の宇宙関係の閣僚が会談をしたのは、これが初めてでございますので、今後、いろいろと考えながら両国間の宇宙協力の具体化に向けて話を進めてまいりたいと思っております。
(問)大臣は、今朝、靖国神社に参拝されたことと思います。その際の思いについて教えてくださいますでしょうか。また、御自身の参拝、閣僚としての参拝が近隣諸国との外交にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
(答)プライベートな事柄でございますので、所感については社頭でお答えしたとおりでございます。また、これまでも申し上げてまいりましたが、国策に殉じられた方々に感謝の誠をささげるという行為が外交問題になってはいけない、外交問題にするべきではないし、されるべきでもないと思っております。
(問)午前中に自民党の経済安全保障推進本部で、経済的威圧を含めた提言について議論があったと思いますが、改めてこの経済的威圧についての今の政府としての問題意識と、今回、対応基盤ということで、従前からということではありますけれども、セキュリティ・クリアランスをはじめ、サイバーセキュリティや経済インテリジェンスも挙がっているかと思います。その辺りを政府としてどう取り組んでいただきたいか、お聞かせいただきたいと思います。
(答)自民党におきまして、経済的威圧等も含めた経済安全保障上の重要政策について、活発に御議論いただいていることは非常に心強く感じております。
政府としてはということでございますが、特定の国家による非軍事的な圧力により、国家の自主的な外交政策の意思決定ですとか、健全な経済発展を阻害するという意味の経済的威圧は認められないと考えております。また、本年5月のG7サミットでも、経済的威圧に対抗する意志を明確にいたしております。
今後でございますけれども、確定をいただいた提言、これを踏まえながら、効果的な取組を考え、また実行してまいりたいと思っております。