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令和5年5月23日 記者会見

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1.発言要旨

 

 科学技術政策担当大臣として報告をいたします。

 5月16日に日米科学技術協力合同高級委員会が開催されました。永岡文部科学大臣とともに共同議長として出席をいたしました。米国からはアラティ・プラバカー大統領府科学技術政策局長が出席され、日米の科学技術政策が議題となりました。

 重点分野として、量子技術、AIを含むデータサイエンス、海洋、フュージョンエネルギー戦略を含む気候変動への対応、地球規模課題への対応を含むバイオテクノロジーなどについても日米間で有意義な議論が行われました。今回の成果を米国との科学技術協力のさらなる強化に結びつけてまいります。

 私からは以上でございます。

 

 

2.質疑応答

 

(問)G7サミットが終わりましたが、その中でのグローバル・サウスとの連携が重要視されました。科学技術外交の側面から、今後どのような取組を進めていくのか、教えてください。

 

(答)G7サミットにおきまして、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国や、脆弱な立場の方々と、G7を橋渡しすべく議論が行われたと聞いております。

 G7仙台科学技術大臣会合において取りまとめられた「共同声明」においても、EUが立ち上げた多国間対話を含む多国間及び二国間の協力や努力を通じた、科学技術・イノベーション分野の各国との連携や、世界レベルの研究者間の協力を促進することによって、G7各国と連携国との間の連結性を高めることの必要性が記載されました。

 科学技術大臣会合で話し合われた様々なテーマの中で、グローバル・サウスとの連携という観点から言いますと、例えば気候変動、水ストレス、また感染症及び非感染症などの疾病対策、食料不足、洪水、干ばつ、フュージョンエネルギーの話もしましたが、日本の科学技術を生かせる分野は非常に多いと私は考えます。各国と連携しながら、科学技術外交の観点からも、グローバル・サウスとしっかりと連携を強めてまいりたいと思っております。

 

(問)先日、古川聡飛行士が、元々の予定どおりISSに行くことが決まったとJAXAから発表がありました。古川さんについては、医学研究に関する不適合事案に関する発表も以前ありましたが、この宇宙滞在の決定に関する御評価、受け止めを教えてください。

 

(答)古川飛行士が搭乗されることにつきましては、JAXAがISSに参加をしている米国、カナダ、欧州、ロシアと調整して決定するものでございます。JAXAにおいて、先週までの訓練結果などを踏まえて判断されたと伺っております。

 その上で申し上げますけれども、古川飛行士は今年1月の記者会見で、研究実施責任者として不適切行為に対する責任があり、深く反省している、また、研究管理能力や研究倫理の向上に取り組むと説明をなさいました。この言葉のとおり、研究管理能力や研究倫理の向上に取り組まれていると承知しております。

 また、JAXAとしましても、昨年11月に公表された報告書で設定した再発防止策の、各項目の全てに着手済みであると報告を受けております。

 宇宙医学研究は、将来の有人宇宙活動に不可欠な研究分野でございます。JAXAにおかれましては、宇宙分野を担う国立研究開発法人としての立場を認識して、再発防止に努め、しっかりと研究に励んでいただきたいと思っております。

 古川宇宙飛行士におかれましては、宇宙飛行士として立派に任務に当たっていただくことを期待しております。ミッションの成功をお祈りいたします。

 

(問)昨日、東工大や富士通などが、日本語を中心とした生成AIの基盤技術の開発を初めて発表しました。国産の生成AI開発にも繋がる動きかと思いますが、こうした動きについて大臣の受け止め、また著作権侵害の懸念など、開発に当たっての今後の課題について、お願いします。

 

(答)国産の生成AIの開発については、私は必要だと考えております。大いに期待をするところでございます。

 生成AIの実現に必要な基盤モデルの構築には、大量のデータを効率的に処理できる高性能な計算資源が必要不可欠でございます。一方で「富岳」は、科学技術計算や、シミュレーションに最適化されておりますので、必ずしも基盤モデルの構築に必要な処理を得意とするものではないと思います。

 今回の研究課題は、「富岳」を用いて基盤モデルの構築に必要な当該処理を効率的に実施するための手法の確立を目指すものだと存じます。これが実現しますと、産学官で「富岳」を活用するための環境の整備に寄与すると聞いております。

 このような取組を通じて、AIに関する我が国の産学官の研究開発の強化が進むことを大いに期待いたしております。

 なお、著作権侵害を含む知的財産権侵害等、様々な懸念が指摘されております。AI開発に当たっての課題につきましては、知的財産を含む法制度などの専門家を含めた「AI戦略会議」を立ち上げたところでございますので、その中で検討をしてまいりたいと存じます。

 

(問)先週の報道でありましたけれども、米国のヘリオン・エナジーが、発電した電力をマイクロソフトに供給する契約を締結したと、現地の報道でありまして、国でも核融合の研究を進めるということで話が進んでおりますが、海外で先行する事例が出てきたということで、こういった動きについての御評価をいただきたい。また国内でも、京都大学発のスタートアップ企業が国内の電力会社をはじめとする企業から100億円規模の融資を得たという報道がありまして、こちらの評価も併せてお伺いできればと思います。

 

(答)フュージョンエネルギーは、皆様御承知のとおり、重水素と三重水素を原料とするものであり、高レベルの放射性廃棄物も出ないので、究極のクリーンエネルギーとして大いに期待をしています。日本としては初のフュージョンエネルギー・イノベーション戦略を4月に決定したところでございます。

 各国で、特に欧米では、国による積極的な投資・支援、またそれとは別に民間でも相当巨額の投資が行われております。フュージョンエネルギーというのは、多くの課題を解決する安全かつクリーンなエネルギーでございますので、1年も早い発電の実用化を、各国とも狙っているものであり、日本もそうでございます。

 その上で、1つでも早く実際に安定的な発電が実現する例が、友好国間で出てくるのは日本にとっても良いニュースだと思っております。

 ただ、日本はフュージョンエネルギーというものを産業として捉えています。今、ITER計画の中でも日本企業は素晴らしい存在感を発揮していますので、1つ1つの優れた製造機器の技術を別の分野で活かしていける。つまり、数年以内にビジネスにできる技術を日本の企業はたくさん持っておりますので、そういう意味では、日本は発電時期を待たずとも、先にお金になることは実行していきたいと思っております。

 また、京都フュージョニアリングに対して大きな投資があったことは、非常に良いニュースだと思います。もっとフュージョンエネルギーというもの、そしてまた今既に日本企業が持っている様々な別の分野にも使える技術に対して多くの投資が集まることは、日本の経済成長に繋がっていき、ひいては、そこからまた雇用も生まれ、企業も儲かり、税収増にも繋がっていく良い兆しだと思っております。

 

(問)ChatGPTについても、大臣御自身が使われたことがあるのかどうか。もし使われたことがあれば、どのようなことを聞かれて、どのように感じられたかを教えていただけないでしょうか。

 

(答)実は、私は自分のスマホやパソコン、かなりセキュリティを強くしております。ですから、自身のデバイスでChatGPTを使ったことはございません。人のものを借りて、自分の考えていること、地域社会に係ることで、どのような解決方法があるかについて質問をいたしましたが、少し残念な回答でありました。

 

(問)一昨日までのG7サミットで、経済安全保障も1つ大きなテーマとなっておりまして、安全保障に関する成果文書が出ております。先程の大臣の話で、科学技術外交の観点からもグローバル・サウスとは連携していかないといけない、というお話がございましたが、経済安全保障という観点からも御評価いただけたらと思います。

 

(答)経済安全保障につきましては、昨年のエルマウ・サミットでも協力を強化することで一致しておりました。しかしながら、今年の広島サミットでは、G7として初めて、経済的強靭性及び経済安全保障に関する包括的かつ具体的なメッセージを首脳声明という形で発出でき、これは非常に意義深いと思っております。

 首脳声明では、G7として、サプライチェーンや基幹インフラの強靭化、非市場的政策及び慣行や経済的威圧への対応の強化、重要・新興技術の適切な管理などについて戦略的協調を強化するとともに、日本が議長年である今年だけで終わらせずに、毎年継続して成果を出していくために、G7の枠組みを通じて包括的な形で協働し連携していく意思を確認したものですから、とても嬉しい結果だったと思っております。

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