令和4年12月16日 記者会見
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1.発言要旨
まず、科学技術政策担当の大臣として御報告を申し上げます。
本日午前中に、今年10月に就任された米国のアラティ・プラバカー科学技術政策局長とオンライン会談を行いました。御案内のとおり、ワシントンD.C.とは時差が14時間ございますことから、通常、閣議後の会見を行っている時間帯に会談をセットすることとなり、結果、この記者会見が通常よりも遅くなってしまいましたこと、どうか御容赦ください。
また、プラバカー局長とは科学技術政策、宇宙などの分野における協力や、来年のG7仙台科学技術大臣会合のテーマなどについて意見交換をさせていただきました。こうした分野で国際的な協力を深めることは重要でございますので、米国をはじめとする同志国との間で協力を更に推進したいと思います。
2.質疑応答
(問)研究開発の成果を、イノベーションや産業、あるいは雇用、更に税収などに繋げることが世界的な流れですけれども、今回の防衛予算の議論の中で、周辺産業を含めた防衛産業の育成といった議論はあまり見られませんでした。このようなことについて、イノベーションを担当する大臣としてはどのようにお考えですか。
(答)最先端の科学技術は経済発展の基盤でありますと同時に、防衛力の基盤ともなっております。いわゆる3文書中での「防衛力整備計画」を拝見しましても、例えば極超音速誘導弾の開発、試作、量産も入っておりますし、宇宙を活用した情報収集、また通信の能力向上も入っております。こう考えますと、研究開発、それから産業の育成、また税収増の可能性のあるものも含まれていると思います。
例えば、極超音速関係でしたら、日本が非常に強みを持つ耐熱素材、流体力学、設計、推進力(スクラムジェットエンジン)、そういった技術が活用できる分野でございます。また、宇宙を活用して情報収集する、通信をする中に、私共も力を入れております衛星間の光通信や合成開口レーダーといった、日本が誇るべき技術が十分活用できますので、私は必ずや産業の育成、そしてまた技術開発の強化、またひいては税収増に繋がっていくと思います。
具体的な防衛産業の育成につきましては、防衛省にお尋ねをいただきたいと思います。
(問)本日、政府がいわゆる安全保障関連の3文書を閣議決定する見通しとなっております。財源を巡って、いろいろ党でも議論があったと思いますが、現時点での大臣の受け止めとお考えを教えてください。
(答)まだ、最終的な与党プロセスが進行中であると承知をしております。いわゆる3文書につきましては、12日の夜遅くに大臣室に届きましたので、13日に私も全て目を通し、また担当部局からも御説明をいただきました。その内容につきましては、昨年10月の衆議院選挙の政権公約や、今年の4月に自民党から提出をしました提言、今年の7月の参議院選挙の公約など、私自身が政調会長を務めておりました頃に出した内容も踏まえていただいて、その上で長時間、政府与党で議論が尽くされてまとめられてきたものであるということで、内容については高く評価をしております。与党プロセスが終わりましたならば、与党で了承された場合には、当然、署名をさせていただきたいと存じます。
内閣というのは、与党の議席の下に成り立っております。内閣が出す様々な法律案、つまり閣法の案も党議決定していただかなければ出せませんし、様々な重要文書につきましても、党議決定をしていただかなければ閣議決定はできません。そういった意味では、与党プロセスがしっかりと調いましたら、これを尊重して署名をさせていただきたいと思っております。
(問)関連して伺います。今のお話の議論のプロセスについて、大臣は問題提起をなさっていましたけれども、大臣の発信以降、党内でも様々な賛否両論が出されましたが、この議論に一石を投じたことに対する御自身の評価を伺います。
(答)今回、財源論について、財源をいつ議論するのかというタイミングにつきまして、問題提起をさせていただきました。党内でも様々な議論がございました。
私の思いとしましては、私は岸田内閣の一員としまして、そしてまた、前政調会長としまして、公約にも書き込ませていただきました岸田総理の「新しい資本主義」、特に「成長と分配の好循環」についてしっかりと実現する、それが今年から来年にかけてとても大きなテーマだと考えておりました。
そういったことから、特に分配、賃上げに係る企業マインドに影響を与える可能性のあることにつきましては、春闘の状況などを見ながら、そして景気の状況なども見ながら、そこから議論を始めても良いのではないかなと思って、私なりの意見を申し上げさせていただきました。
さすが自民党の政調会であり、また政調会の下にあります自民党の税調だと思います。活発な議論がなされまして、そして皆が納得する着地点を見出されたと思っております。
(問)高市大臣は、今週の火曜日の閣議後会見で、大臣室に届けられた、いわゆる安保3文書について、これからお読みになって、何か気付いた点があれば、官邸に文書なりの形でお伝えしたいとお話をされていらっしゃったかと思うのですけれども、実際に何か伝えられたことはありますでしょうか。
(答)実はやりとりは行いましたが、1か所のみでございます。これについて、何度かやりとりをさせていただいた上で了解いたしました。まだ与党プロセスの途中でもございますので、具体的な内容については回答を控えさせていただきます。
(問)宇宙関連で1つ質問します。先日、国際宇宙ステーションにドッキングしているロシアのソユーズ宇宙船から、冷却剤が漏れるトラブルがありました。この件はソユーズではあるのですけれども、ISS自体の老朽化が進んでいると思うのですけれども、老朽化に伴う事故への懸念についてどう認識されているか教えてください。
(答)今回の事案は、ISSに係留しているロシアの宇宙船において発生しているものだと認識しております。
その上で、ISS自体の耐用年数ということでございましたら、ISSに参加しております日本や米国、欧州、カナダ、ロシアによって継続的に技術的評価を実施しております。2030年まで、適切な保守をしながら活用出来ることを確認しております。ですから、これを鑑みまして先月、我が国もISSの運用延長への参加を表明したところでございますので、日本といたしましては2030年までISSを有効に利用してまいりたいと考えております。
(問)先程の話に戻るのですけれども、防衛費の増大に関しての活発な議論がされて、皆が納得する着地点が見出されたとおっしゃったのですけれども、事実上、財源というか増税については、仕組みは示した上で時期については先送りと、極めて玉虫色と申し上げると失礼かもしれないのですけれども、そのあたりについて大臣は納得なさっているのでしょうか。
(答)来年、また議論ができることは非常にありがたいことだと思っております。特に、私は企業に賃上げをしていただいて、また投資をしていただいて、消費も伸び、結果的に税収も伸び、そういった姿をまず実現するということが岸田総理のおっしゃる「新しい資本主義」の大切なポイントだと思っておりますので、具体的なことにつきまして、来年もう一度議論できることは、大変ありがたいことだと思っております。