2015年9月29日 記者会見
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冒頭発言
おはようございます。今朝、官邸では、閣議、閣僚懇がございました。
【個人番号カード交付円滑化推進本部発足(1)】
まず、冒頭に、個人番号カードについての話でございます。
いよいよマイナンバー制度が10月5日からスタートをしますが、平成28年の1月からは、個人番号カードの交付が始まります。
これに向けまして、個人番号カードの交付申請の受付や交付の手続が円滑に行われるように、10月1日(木)に、私を本部長とする「個人番号カード交付円滑化推進本部」を設置することといたしました。
また、同推進本部の第1回の会議を10月1日(木)10時20分から開催いたします。詳細については、自治行政局の住民制度課にお問い合わせをください。
【携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース開催(1)】
2点目でございますが、9月15日の会見で、経済財政諮問会議における総理の指示を受けまして、より低廉で利用しやすい携帯電話の通信料金を実現するための方策を検討するということをお伝えしました。
この度、「ICTサービス安心・安全研究会」の下に「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」を設け、検討を開始することとなりました。
具体的な方策として考えられるものとしましては、現時点では、私自身が思いつく方向性といったレベルではございますけれども、まず第1に、データ通信のライトユーザーや通話の「かけ放題」が不要な方々のニーズに対応した料金プランの多様化ができないかなと思います。そして、第2に、端末価格と通信料金が事実上一体化していて分かりにくい状況というものを改めて、端末の値引き競争から、サービス・料金を中心とした競争への転換ができないかなと考えております。そして、第3に、MVNOサービスの低廉化、多様化を通じた競争を更に促進することができないかと考えています。
今後、このタスクフォースにおきまして、有識者の方々の御意見を伺い、更にどういった方法があるのか、しっかりと御提案をいただくと同時に、携帯電話事業者をはじめ関係者の方々からのヒアリングも行い、課題も洗い出しながら、年内を目処に一定の結論を得たいと考えています。
既に事務方において検討に着手させているところではございますが、タスクフォースの第1回会合は10月19日(月)に予定をいたしております。詳細につきましては、後ほど事務方にお問い合わせください。
【高校生向け副教材(1)】
それから、3点目でございます。先般の公職選挙法改正による選挙権年齢の引き下げを踏まえまして、文部科学省と連携して準備を進めてまいりました高校生向けの副教材「私たちが拓く日本の未来」につきまして、本日、ホームページによって公表することとしました。
この副教材の内容でございますが、全体を3部構成とし、「選挙の意義や選挙制度の仕組み等の解説」、「模擬選挙など実践的取組のためのワークシート」、「投票と選挙運動等についてのQ&A等」を盛り込んだ内容としています。
また、指導のポイントや留意点などを記載した教師用指導資料も併せて作成しました。
今後、1年生から3年生までのすべての国・公・私立高校生などに対して、できるだけ速やかに配布することにしています。
この副教材を活用していただいて、各学校での授業や選挙管理委員会などと連携した模擬選挙を実施いただくなど、政治や選挙等に関する学習内容の一層の充実を図り、新たに投票の権利を得られる高校生等の政治意識の向上に役立てていただきたいと思います。
詳細につきましては、担当部局に問い合わせをお願いします。
【産業診断フレームワーク】
4点目に、資料を出させていただきますが、「産業診断フレームワーク」について申し上げます。
本年5月に、地域経済を牽引する産業の見える化を図る「地域の産業・雇用創造チャート」を公表したところでございます。この場で説明をさせていただきました。
このチャートですが、自治体関係者を中心に、とても分かりやすいということで、御好評をいただいております。
7月からは、チャートを活用して、岡山大学の中村良平先生の御指導の下で、太田大臣補佐官に走り回っていただきましたが、全国5地域をモデルとして、産業強化ツールの策定に取り組んでまいりました。
本日、その結果を「産業診断フレームワーク」として取りまとめたので、紹介をいたします。
診断のポイントは3点ございます。1つ目は、産業の立地条件がどうかということ。2つ目は、サプライチェーンがどうなっているかということ。3つ目は、産業の集積効果がどうかということです。
これらのチェックポイントに照らしまして、各地域の産業の現状診断を行った上で、自治体をはじめ関係者間で連携して発展シナリオを描いて、実行に移していくということが、地域の産業強化に向けた着実な歩みとなると考えています。
今お示ししているの(フリップ)は宮崎県のものでございますが、例えば、宮崎県では、県北部の漁業について調査をしました。
この真ん中に域内、延岡市を、両側に域外ということで、それぞれの主体が出ておりますが、延岡市にあります北浦漁港では、かつて水揚げされた魚は水産加工用か養殖の餌用ということで出荷をされていましたが、魚価が低い上に、市場を通すことによって、更に漁業者の収益も低くなるという問題がございます。
このような状況をどう解決するかというのが、この赤色の部分ですが、生食用の魚の出荷を増やすということ。生食用は高く売れます。共にICTを活用して大都市圏の小売業者と直接取引を行って、消費者の求める魚種を、鮮度を保ったまま高値で売る「消費地への直接販売」を行えば、漁業者の収益増加につながるということです。漁業者、漁協から消費地へと、また、飲食店、小売りへの直接販売というのが一つのシナリオです。
今度は青で表示した部分ですが、同じ魚であっても、水揚げをする港によっては魚価が異なります。ICTを活用しまして、市場情報をリアルタイムで確認しながら、高値が期待できる市場に水揚げをしていく「漁業者と市場のマッチング」といった取組も今後考えられます。どこに水揚げをするかというのは選べますから、そういう意味では、1つのいいアイデアではないかと考えております。
次に、私の出身県ですので、状況がよく分かりやすいということで、5つの中の1つの例として奈良県の事例もお話ししますが、奈良県の吉野林業について調査をしました。
吉野林業は、約500年に渡る歴史を有しておりますが、近年は木材価格の低下、外材加工の増加、それから、ヘリ集材、要は、路網があまり整備されていないので、ヘリで集材しなければならないので、大変コストが高いことによって、産業としては衰退してきている状況です。
そこで、川上村と林業関係者4団体からなる「吉野かわかみ社中」が今年の6月に立ち上がりまして、出材経費のコストダウン、林道の整備、後継者の育成、商品開発など、川上から川下までの一貫供給体制の構築に取り組んでいます。
今後、この赤の部分を見ていただきたいのですが、「吉野かわかみ社中」を核に、域内の製材所と直取引を行う工務店を見いだす「工務店への直接販売」によりまして、吉野材を使った手頃な価格の住宅の建設や顧客ニーズの直接把握が可能となりますので、林業者の収益増加や林業の活性化につながると考えています。
次に、この青のところを見ていただきたいのですが、各製材所が連携して、木材加工技術の共有を図ると共に、新製品の共同開発に取り組む「匠の技を磨き合う場」というものを創出するなど、吉野林業の復興に向けて、技術革新の土壌を作るということも必要でございます。
今日は2例だけ御紹介いたしましたが、今後、総務省としては、この「産業診断フレームワーク」を活用して、地域で活躍できる人材の育成や、他の地域においても参考になる事例作りが重要だと考えています。
このため、既に太田補佐官に対応を指示しておりますが、今回の調査対象となりました5地域の現地に関係者の方に広く集まっていただいて、こういう分析、また、提案がございますということをしっかりとお伝えして、共に考えていくシンポジウムを開催すること。それから、各省庁とも連携しながら、地域経済循環創造事業交付金をはじめ様々なツールを活用して、地域の特性に応じた基盤産業の強化・創出を支援することによって、地域経済の好循環の拡大に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
せっかく立ち上げた「地域の産業・雇用創造チャート」でございますので、更にそれを活用しながら、それぞれの地域で深掘りをして課題を洗い出し、そして、新たな活路を開いていく。まさに、地域から、地方から、GDPを押し上げていく1つの手法となればと思っています。
私の方からは以上でございます。
〔質疑応答〕
<石破地方創生担当相が新派閥「水月会」発足>
- 問: 幹事社の日本経済新聞の学頭です。1問お伺いします。石破茂地方創生担当大臣が、昨日、石破大臣を会長とした新派が集まる水月会を発足させました。この受け止めをお聞かせください。併せて、安倍首相の自民党総裁再選直後という、このタイミングでの立ち上げに対して、閣僚の一人としてどうお考えになるかも併せてお聞かせください。
答: 派閥の結成につきましても、発足の時期につきましても、これは政治家としての判断でございますので、閣僚としてのコメントは差し控えさせていただきます。
<携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース開催(2)>
- 問: 時事通信の橋本です。携帯のところで3点ほど伺いたいんですが、まず、年内に結論を出すということだったんですが、確かそのあと、総理に説明に行かれたあと、できるだけ早くと言われたと思うんですが、それに対して、前倒しとかっていうのを検討されてないのかというのが1点目と、2点目なんですけども、そもそもスマホの料金って非常に分かりづらいと言われていて、これによって、また更に分かりづらくなるのかなという感じもしますが、そこら辺はどうお考えなのかっていうのが2点目と、3点目なんですけども、今回のこういう携帯料金引き下げによってですね、景気に与えるインパクトってどのように考えているかというのと、以上の3点をお願いします。
答: はい。まず、総理には先ほど申し上げた、まだ私案、私の案という状況のものと共に、昨年から、今年の通常国会での法改正も含めましてですね、とってきた対応につきましての報告もいたしました。
今、各携帯事業者で更なる低廉なサービスの提供ということについては、御検討もいただいておりますし、MVNOを応援していく、そのための体制というものもできております。2年縛りの問題なども皆様御承知の通りでございますが、更にこういったことも考えられるので、専門家の意見も伺いながら、12月に一定の方向性を出したいということを報告にまいりました。
総理のほうからは、別に更に急げというご指示はなく、12月ですねということで、よろしくお願いしますということでございました。
それから、スマホの料金が更に分かりにくくなるというご指摘は、当たらないと思います。
大手の携帯電話事業者の料金プランにつきましては、私も料金表を見たり、あと、携帯電話そのものの料金表を見たりということで、実は私も最近電話を買い換えようと思っていることもあって、カタログをじっと見てたんですけれども、大手の料金プランにつきましては、データ通信料のプランは、現在は2GB、3,500円からの設定のみだったり、あとは、通話プランも、かけ放題のプランが中心ですから、ライトユーザー、それから、かけ放題のご不要な方へのニーズに必ずしも対応していないように思いました。色々なサービスや料金の設定があって多様化していく、選択肢が増えるということは、決して分かりづらくなるということではないと思っています。
それから、端末価格と通信料金というのが、事実上一体化していますから、私などもカタログをじっと見ていて、割と分かりにくいなと思いました。端末の買い換えとか、それから、MNPを頻繁に行う、つまり、電話番号を変更せずに携帯電話事業者を乗り換えるということを、しょっちゅうされる利用者に対しては、料金割引やキャッシュバックが行われていて、正規料金を払う長期利用者に比べて、少し不公平なんじゃないかなと思ったりもしました。
あとは、MVNOというのは、大手の携帯電話事業者に比べると割安な料金設定をしていますので、そのサービスの一層の普及を通じて、料金の値下げ競争というのが進むと期待をしています。
タスクフォースをせっかく設けますので、その中でもっと専門的ないいアイデアが出てくるかもしれませんし、今私が申し上げたようなことを、これは各社の経営判断ですけれども、各社で御検討くださいと申し上げた時に、事業者としてどういった課題があるのか、それによって、今まで安定的にしてきたサービスがしにくくなりますよというようなお話もあるのかもしれませんので、是非とも事業者の皆さんの専門家としての御意見も聞いてみたいなと思っております。
総合的に判断をしながら12月に一定の報告を出すということで考えています。
景気への影響はどうかということですが、経済財政諮問会議で総理から私に指示があったと報道された翌日に、情報通信株が下がってしまったということで、株価への影響はありましたが、更にユーザーが増えていく、また、使いやすくなる、また、多様なサービスによって選択の範囲が広がっていくということによって、むしろ国際社会の中での競争まで見据えますと、私は日本経済にとってプラスの効果も期待できると考えております。
通信料が安くなって、それによって特に多く通信を使われる事業所の経営がよくなるといった側面もあるかと思います。とにかく、創意工夫を皆様にお願いしたいと思います。
問: 確認ですが、個人消費に与える影響みたいなのは、可処分所得が増えて、多少影響はプラスにだいぶ効くと見られていますか。
答: 情報通信に使っているお金が減ったら、その分、余ったお金をどこに使うかということ。これは、それぞれの世帯の選択であると思います。多少でも可処分所得が増えることにつながればよいなと思っております。
<個人番号カード交付円滑化推進本部発足(2)>
- 問: 共同通信の藤元と申します。個人番号カードの交付申請の、活用推進本部の設置に関しまして、意気込み等を一言、どういったことを議論されるのかという、内容というか、どういうことをアピールしていくかという議論があればお願いします。
答: やはり、これは初めての大きな試みでございますから、何が何でも皆さんに安心をしていただき、そして、正確に個人のお手元に届くということがなければなりません。
特に10月5日、番号利用法の施行日ですね、これ以降、順次マイナンバーは通知されますし、あと、28年の1月からは番号カードの交付が開始されます。
これは、写真付きの公的な身分証明書にもなりますから、そして、住民票の写しをコンビニで交付してもらうときに利用するといった、生活に欠かせないカードになっていくと思います。ですから、交付申請の受付もそうですし、交付の手続というのが、まず円滑に行われるようにしなければいけないということが第1でございます。
それからまた、カード以前に、あなたの番号は何番ですよという通知カードが届きますけれども、これも先般から申し上げておりますが、東日本大震災による被災者の皆さんや、DVなどの被害者の方々、長期間に渡って医療機関、施設に入院・入所されている方など、やむを得ない理由で住所地において通知カードの送付を受けることができないという方について、事前に今の居場所を登録していただいて、当該の居場所に通知カードを送付するということにしました。
受付期間も設定しましたが、例えば、DVというのは、今日起きているかもしれない。来月に入ってからそういう状況が生じるかもしれないので、番号通知カードの発送そのものは、10月5日から、おおむね年内いっぱいかけて、各自治体で対応いただくと承知をしておりますが、その中で、柔軟な対応をしっかりしていただくと。新たに発生した事案について、柔軟な対応もしていただく。また、地方自治体も事務負担としては大変なことでございますから、分かりにくいことがあったら、またしっかりと総務省で助言をしながら、正確に、そして円滑に、通知カードも、それから、本体のマイナンバーカードも、しっかりとそれぞれの方のお手元に届けていく。そのための本部だと考えております。
問: 関連で、NHKの木下です。個人番号の配布が1月から始まるということですけれども、なりすましの懸念について、大臣、どういうふうにお考えかと、その対策についてのお考えとかを教えていただけますでしょうか。
答: なりすましというのは、本人じゃない方が受け取りにくるということでございますね。
マイナンバーカードそのものの受け取りは、本人に出向いていただくということになりますので、その時に、身分を証明するものなどもお持ちをいただき、各地方自治体にしっかりと注意をしていただく。これに尽きると思います。また、これにつきましても、実際にカードを交付する段階までに、改めて総務省の方から留意すべき点ということで、全部の自治体に対しまして通知をしたい、周知徹底をしたいと考えております。
<高校生向け副教材(2)>
- 問: 共同通信の江藤です。18歳選挙権の副教材ができたということなんですけれども、今後、来年の参院選に向けてですね、投票率が下がらないように、周知啓発が重要になってくると思うんですけれども、今後具体的な、18歳選挙権を踏まえた周知啓発、何か考えていること、これから考えていることでもかまわないんですけど、教えてください。
答: そうですね。まず、18歳選挙権につきましては、皆様方の御協力もあり、報道もありまして、ずいぶん国民の皆様に浸透していると思います。テレビを観ていても、様々そういった企画をしていただいております。
さらには、この副教材も、年内には、全部の国・公・私立学校に配られますので、しっかりとこれで勉強していただくということで、新たに自覚を持っていただくということも必要かと思います。
しかし、来年の参議院選挙の実施に向けまして、その直前にテレビ、新聞等の媒体を通じた広報活動というものも、しっかりしていかなければなりません。今までも選挙が近づきますと、広報活動をしてまいりました。投票率向上に向けた選挙の施行日などの広報活動をしてまいりましたけれども、来年に関しましては、これに加えて、投票年齢が下がったということの広報活動もしっかりと進めてまいります。
併せて、選挙に行きやすい環境作りということで、臨時国会に向けまして法改正の準備を、今、進めているところでございます。
問: いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
答: どうもお疲れ様でございました。