2017年5月19日 記者会見
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〔冒頭発言〕
皆様、おはようございます。
今朝は、官邸で、eガバメント閣僚会議、東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会推進本部、そして、閣議、閣僚懇がございました。
<【「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」の報告書公表(1)】>
この度、「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」の報告書が取りまとめられました。
まずは、検討会の室﨑座長をはじめ、委員の先生方の熱心な御議論に感謝を申し上げます。
今回の報告書では、全国どこでも、木造の建築物が多い地域においては、強風下で大規模な火災になり得るとして、例えば、「火災発生危険性が高い地域を各消防本部で確認・指定し、火災防ぎょ計画をあらかじめ策定すること」、「大規模火災発生時に、隣接の消防本部等が応援要請を待たずに出動すること」、「地元の建設業協会や個別の建設業者などとの間で給水活動についての協定を締結すること」、「小規模な飲食店への消火器の設置の義務づけを検討すること」などの対応策を御提言いただきました。
頂きました多くの有意義な御提言につきましては、各消防本部が実現可能なものから早期に着手できるようにするために、消防庁としてしっかり支援するよう、消防庁長官に指示しました。
<【千葉県銚子市への出張】>
それから、本日午後から明日20日(土)までの2日間、千葉県銚子市に出張します。
総務省では、地方での立地に関心はあるものの、いきなり地方にサテライトオフィスを設置するのはハードルが高いと感じておられる都市部の企業の皆様などによるお試し勤務を通じて、地方公共団体がそのニーズを実践的に調査・分析した上で、誘致戦略を策定する取組を支援する「お試しサテライトオフィス事業」に、昨年度から取り組んでおります。
銚子市は、平成28年度第2次補正予算で採択したモデル団体の1つです。今回は、お試し勤務用のオフィスの視察をさせていただき、また、お試し勤務中の企業の皆様との意見交換など、実際の現場を訪ねて、自治体や企業の皆様の声を伺ってまいります。
また、震災復興事業後の銚子漁港の第一卸売市場も視察をさせていただきます。
私からは、以上でございます。
〔質疑応答〕
<秋篠宮の眞子様の御婚約に関する報道>
問: 幹事社から1問。秋篠宮の眞子様が御婚約との報道がされておりますけれども、それについて受け止め、御見解をお願いいたします。
答: とても嬉しい報道は拝見しましたが、まだ正式発表はございません。現段階では、静かに正式発表を待ちたいと存じます。
<「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」の報告書公表(2)>
問: NHKの宮原と申します。糸魚川の大規模火災を踏まえた検討会の報告書について、この度、消防庁の長官に支援策を提示された、指示されたということなのですが、具体的にはどのような支援策を指示されたのかということと、今後の具体的な実施のめど、スケジュール感を含めて教えていただきたいのですが。
答: 検討会においては、木造の建築物の多い地域における強風下での防災対策として、まず、「危険性の高い地域の確認・指定及び火災防ぎょ計画の策定推進」、「応援体制」、「消防水利」、「小規模飲食店への消火器設置の義務化」、「連動型住宅用火災警報器」といった項目について、有益な御提言をいただきました。
総務省としても、検討会の御提言について、できるだけ速やかに具体的な対策に移してまいります。
具体的には、例えば、
・ 「火災防ぎょ計画」の策定に向けて、危険性が高い地域を確認・指定するための「手順」や「基準」、「計画のひな形」などを7月中にはお示しをして、今年の夏までに、主に小規模消防本部を対象とした研修会も実施させていただきます。
・ 延べ面積150m2未満の飲食店にも消火器の設置を義務づける政令等の改正を、今年度中に検討いたします。
・ 「住宅用火災警報器」を活用して、飲食店とその隣接する建物の間で、相互に火災警報を伝達する新たな方式について、今年度中にモデル事業を実施します。
こういった形でスケジュールを明確にして、対策の具体化について、進捗管理を行いながら、各消防本部を支援してまいります。
詳細につきましては、消防庁消防・救急課にお問い合わせください。
<ふるさと納税の返礼品見直しの通知>
問: 週刊ダイヤモンドの中村と言います。2点ありまして、ふるさと納税についてお聞きしたいのですけれども、4月1日の通知以降、家電製品とか、家具とか、資産性の高いものを返礼品として引き続き送り続けますと明言している首長の方もまだいらっしゃる中で、通知の実効性というのを持たせる意味でも、制度的に対応が可能なのかどうか、ふるさと納税に係る交付税措置というのがあると思うのですが、そういうものの見直しとか、何か政府的に対応可能かどうかというのが1点。
返礼品とかの云々の前に、ふるさと納税という制度自体というのが、住民税というのが行政サービスの受益に応じた税負担というものが応益性の原則ではないですけれども、というのがあって、応益性の原則から少し逸脱しているのではないかという指摘が、かねてからあると思うのですが、それについて、総務省としては、応益性の原則とふるさと納税の関係性についてどう整理しておられますか。
答: 4月1日の通知発出後ですが、報道などで承知する限りでは、既に返礼割合や返礼品の内容について見直しを行うとしている団体もあります。先般、全国市長会や全国町村会において、総務大臣通知や制度の趣旨を踏まえて、良識ある対応を行うという旨が表明されています。
したがって、返礼品競争が過熱している現状に対する認識や通知の趣旨については、理解が浸透しつつあると考えております。
ただ、御指摘のとおり、一方で、一部の地方団体では、当面返礼品の見直しを行わないとの意向を示しているということも承知をしています。
今後、総務省としては、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品の送付を行っている地方団体については、通知についての御理解を求めながら、直接、必要な働きかけを行っていくということにしております。
各地方団体に是非御理解いただきたいのは、返礼品競争の過熱に伴って、ふるさと納税制度そのものに対する批判というものも現れてきているという現状がございます。ふるさと納税制度を継続していくということのためにも、今回の通知の趣旨に沿って御対応をいただきたいと思っております。
また、今回通知を発出するに当たり、事前に有識者や地方団体から御意見をいただきました。
その中では、ふるさと納税制度そのものについては総じて評価するというものが多ございました。
一方で、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、地方団体が独自に取り組んでおられる返礼品の送付については、行き過ぎた返礼品競争が生じているという問題が指摘されました。
この4月の通知では、返礼割合の在り方をはじめ、制度の趣旨に反するような返礼品について、これまでよりは少し具体的に考え方をお示ししました。それから、働きかけも強化するということにしております。
税制そのものについての考え方ですけど、ふるさと納税というのは、地方から都会に転出された方が、自らを育んだ地域の教育や福祉のコストに対して還元する仕組みがあってよいなどといった意見を検討の出発点として、寄附金税制を活用する形で実現したものです。
応益原則との関連では、制度創設時の「ふるさと納税研究会」の報告書において、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえれば、住所地の地方団体に納付される個人住民税額が大きく減少するような仕組みをとることは適当でなく、一定の上限額を設定する必要があるとされていました。
ですから、ふるさと納税の制度設計において、上限額を設定しました。現在、特例控除額は個人住民税所得割の2割としています。その結果、個人住民税額の大半は住所地団体に残る仕組みとしています。
一部の有識者等の御意見の中には、制度の見直しに関するものもございました。この御意見は、地方団体間の返礼品競争が過熱しているということに対する懸念が前提となっているものだと受け止めておりますので、まずは、今回の改善策の効果を見極める必要があると思っております。
何とか地方団体の皆様には、御理解をいただき、御協力をいただきたいと思っております。このままでは、ふるさと納税制度そのものが、いいのか悪いのかという議論に進んでいきかねないという危機感を持っております。
問: 日本テレビです。ふるさと納税なのですけれども、少し返礼の額が下がるということで、私どもの週末の番組「バンキシャ!」で、いくつかの自治体に問い合わせをしましたところ、「駆け込み」的な需要が生じているようなのですけれども、そういった現象について、何か大臣はお考えはございますでしょうか。 答: 返礼割合が高いうちにふるさと納税を行おうとする「駆け込み」現象が生じているのかどうか、現段階で詳細は把握していないのですけれども、ただ、重要なことは、各地方団体において通知の趣旨を踏まえて、できるだけ速やかに見直しを行っていただくことになると思います。
これからもしっかり働きかけをしてまいりたいと思っています。
問: 通知の中に、一定の配慮が示されているのですけれども、事前に農家とか業者とある程度契約をしてしまった、あるいは準備をしてしまっているということで、すぐには3割以下には下げられないという自治体が多いようなのですけれども、そのへん改めて、何か対策とかお考えがあれば教えてください。
答: 通知を発出する前から、国会での審議の中で、私も答弁してきたところですが、既に地方団体と返礼品の供給事業者の間に契約関係があるというような個別事情については、丁寧に実情を伺いながら、それでも過熱問題の速やかな是正に向けて、しっかり地方団体と話し合いをしながら見直しは求めてまいりたいと思っております。
問: 最後に、時計とか、それから、和だんすみたいに、うちの町・村はこれしかないんだというような声も、いくつかの自治体、報道の中で見ていましてもありますけれども、そういったところに画一的にお願いをするのか、それとも、多少は柔軟な対応というのはあり得るのかというのは。
答: 通知の中では返礼割合が3割を超えているような地方団体については、速やかに見直しをしていただきたい旨を書き込ませていただきました。
返礼割合にもよるかとは思いますが、ふるさと納税の本来の趣旨ということを考えますと、私どもの制度設計の中に、そもそも返礼品ということは入っていなかった訳です。地方団体としての独自の取組でございますが、一方、弊害も否定はできないと思っております。産業振興というメリットがあったり、こういう特産品があるのだというアピールにつながるというケースもありますけれども、返礼割合が高すぎて、せっかく寄附をいただいても、その地域のお住まいの住民の方々のサービスに使えるお金が減ってしまっているということもあります。
それから、あまり高価な、また、例えば換金性のあるような返礼品を、あちらこちらへ出された場合に、本来支援をしなければいけない地方公共団体、地方の町村などでも、そこにお住まいの方が他の県に対して納税をしてしまわれて、大変苦しい状況になっているところもございます。
私は、全ての地方が健全に発展していく、少しでも財政の健全化に向けて進展をしていく、全国各地隅々まで、安心して生活できる環境を整えるための必要な財源が確保できる、そういう状況を目指しております。考えてみれば、上位いくつかの突出した団体の取組によって、そのほかの地方公共団体が被害を被っているという現状もあるわけでございますので、しっかり御事情を伺いながらではございますけれども、通知に対する御理解と御協力を求め続けたいと思っております。
<マイナンバーカードの法整備に対する見解>
問: フリーランス記者の上出です。実は私、ふるさと納税が始まった一番最初から、ふるさとの夕張市に寄附をしてまいりました。ですから、今回のこの事態に対して非常に戸惑って、残念だなと思っていますが、今日はその質問ではなくて、いつもながらマイナンバーのことについて、ちょっと質問させていただきます。
ちょうど1週間ぐらい前の大手紙の記事なんですけれども、これからマイナンバーカードが、国の行政手続きに必要な身分証明を全てマイナンバーカードで行えるような法整備を行うということを、来年の通常国会で改正したいんだという記事が出ています。直接御担当は内閣府かもしれませんが、関わりのある高市大臣の御存知の範囲で、具体的な事実関係と、今後、これがどういう形で行われるのか。もしこれに補うことがあったら、教えていただきたい。もう一個あるのですが、事実関係。
答: 「官民データ活用推進基本計画」の策定に向けて、「官民データ活用推進戦略会議」の下に設置した「官民データ活用推進基本計画実行委員会」において、素案を検討中という状況でございます。
この実行委員会は、民間委員と各省の局長級などが入って、村井純先生が会長を務めていただいているものでございます。
素案検討中ということですので、今コメントできる状況にはございません。
問: 概ねここの方向だということでは。
答: まだ素案検討中という状況ですから、私自身もそれほど情報を持っておりません。
ただ、一般論として、マイナンバーカードを活用して地方公共団体の業務の効率化ですとか、住民の皆様の利便性向上を図るということは、重要だと思っております。
問: 関連して、これの背景ですね。いま、マイナンバーカードが1,000万ちょっとと非常に少ないということ。これが背景にあるのかなと。今、住民税の特別徴収税額決定というのが、企業に自治体から送られることになっていますが、これについてちょっと抵抗があってですね、一部トラブルがあって、間違って違う企業に全従業員のこれが入った企業のやつが行ってしまうとか、そういう問題もあるようなのが、こういうことも含めて、例外も含めたものもあるということを考慮して対応するというところもあるのですが、この背景ですね、マイナンバーを普及させる、これが大きな目的かと思うのですが、これでよろしいのでしょうか。
答: マイナンバーカードの普及に関しましては、上出さんも十分御承知だと思いますが、3月に「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ」を新たに策定して公表しました。
しっかり進捗管理も行いながら、より多くの皆様に持ちたいなと思っていただけるカードになるように努力をしてまいります。
これから証明書などのコンビニ交付の利用も進んでまいると思いますし、健康保険証としての利用ですとか、インターネットバンキングへのログインなど公的個人認証サービスの民間開放に伴う新たな民間サービスというものも実現していくでしょう。
また、今年でございますが、「子育てワンストップサービス」の導入で、「マイナポータル」の利便性も向上していきましょう。それから、スマートフォンやテレビなど、カードが利用できるアクセス手段の多様化にも取り込むことにしております。
総務省としては、まずは、マイナンバーカードが利用できる場面を増やしたいと考えて、今、行動に移しております。定期的にこれは進捗状況を点検してまいります。
先ほど上出さんがおっしゃったのは、たぶん、特別徴収税額通知について・・・。
問: 住民税を企業に知らせる。その際にマイナンバーを必ずつけなさいという。
答: マイナンバーの漏洩があったという話なのですけれども、この事案については地方税の事務に係るあってはならないミスでございますから、非常に残念ですし、マイナンバーの漏洩事案が発生した地方団体へは猛省を促したいと思います。
誤送付された通知については、各地方団体において、廃棄依頼ですとか回収を行っておりますので、誤送付先以外の漏洩はないと聞いています。
また、そういう事案に共通しているのは、主に事務処理の単純なミスでございますので、これは注意を払えば防げると思っております。
これにつきましても、既に5月12日に自治税務局長名で全地方団体に対しまして、十分に確認・徹底するように要請する通知を発出いたしました。
<日本郵政の大手不動産企業の買収に関する報道について>
問: 朝日新聞の上栗です。今週の月曜日に日本郵政が、トール社の4,003億円の減損処理を含め、赤字になった決算を発表したのですけれども、同じ決算会見の席上、それを前後して国内の大手不動産企業を買収する報道がありまして、会見の中で長門社長が、減損の直後であっても関係ないと。必要であれば大型の買収を続けるという決意を示されているわけですけれども、株の8割を持っている株主である政府として、所管官庁として、これだけ大きな損を出しながらも、次の大型買収に前向きな姿勢でいらっしゃる、行おうとしているということについてどのようにお考えか、株主としての監視の目は必要ないのかという点について、お聞かせいただけませんでしょうか。
答: 先週の金曜日に買収報道がございました。その翌週の月曜日に長門社長の会見があったのだろうと思うのですが、それは私は、直接聞いておりません。
買収につきましては、5月12日に日本郵政から「本件は当社が発表したものではありません」というコメントが出されておりますので、この件について、現時点で総務省としてコメントすることはございません。
郵政民営化法において、郵政民営化は「経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便性の向上」を図ることを基本理念としております。
総務省は、こうした理念を踏まえて、日本郵便、日本郵政が担っている郵政三事業の「ユニバーサルサービスの安定的な提供」を行っていただくとともに、企業価値を更に向上させて、国民の皆様に民営化の成果を実感していただける取組をしていただくことを期待しています。
株主としての見解でしたら、財務大臣にお尋ねをいただかざるを得ないかと思います。
それから、法律上、日本郵政、日本郵便などによります企業買収ですとか株式の取得は、総務大臣には認可権限がございません。ここは御理解いただきたいと思います。ですから、両社の「経営判断」という表現になるのですけれども、ただ、「事業計画」については認可事項でございますので、平成29年度の事業計画、これにつきましては、日本郵便株式会社に対して、特にトール社の案件を受けまして、「国際物流業務の状況等に留意しつつ、収益力の多角化・強化、経営効率化の更なる推進、ガバナンスの強化というものを着実に進めること」を求めさせていただきました。
<「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」の報告書公表(3)>
問: 新潟日報の長野と申します。糸魚川大火の関係で、消火器の義務づけについて、改めてその狙いを教えてください。
答: これまで御議論を重ねていただきました中で、小規模のお店であっても、いったん火が出てしまいますと、大変な事態が起こります。特に密集地域ではそうでございますし、地方を見ましても、私の地元も城下町ですから、道が狭くてすぐに消防車が入れない場所もたくさんございますので、これはやはり、お客様の命を守るためにも、お店の方々の命を守るためにも、周辺の延焼を防ぐためにも必要な措置であると思います。
これは、先ほど申し上げましたように、今年度中に作業を進めてまいります。
問: お時間がまいりましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。
答: お疲れ様でございました。