2017年5月20日 千葉県銚子市「お試しサテライトオフィス」視察後記者会見
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〔冒頭発言〕
【視察後の感想】
皆様、こんにちは。
今日は、森田千葉県知事、そして昨日、今日と、越川銚子市長をはじめ市役所の皆様にもいろいろお世話をおかけしながら、2日間、「お試しサテライトオフィス」の現地を見せていただきました。
今朝は、漁港で、東日本大震災のときに被災した建物がしっかりと復興を果たした姿、そして今の漁業や市場の現状についてもお話を伺うことができました。
昨日は、実際に「お試しサテライトオフィス」で勤務をされている皆様との意見交換をさせていただきました。
総務省では「テレワーク」、そして「ふるさとテレワーク」、地方にいながら都市部の企業の仕事ができるという事業に取り組んできまして、28年度の補正予算から、新たに「お試しサテライトオフィス」事業をスタートしたばかりでございます。
これは、地方での勤務に大変興味はあるけれども、いきなり地方に「サテライトオフィス」を設置するということについては少し躊躇する、リスクがあることを心配される企業もありますので、そのような企業のために、まずは1回お試しで勤務をしていただいて、その中で様々な課題を自治体側にも把握をしていただいて、そして実践的に調査・分析をした上で、「サテライトオフィス」誘致事業を展開していただく、その計画を策定していただく事業でございます。
特に、銚子市は熱心に取り組んでいただいておりまして、補正予算ですから、今年の3月からスタートしたばかりですけれども、受入れを開始してから、既に9つの企業、延べ23日滞在いただいて、これから予定しておられる企業も4件あるということを伺いましたので、この銚子市には、確実に高いニーズがあるということを感じました。
それから、この「お試しサテライトオフィス」事業でございますが、今回視察をさせていただきました銚子市を含めまして、全国18団体でモデル事業を実施しています。そのうち10のモデル団体を対象に「お試し勤務マッチング調査」を行いました結果、三大都市圏の企業403社がこの10団体での「お試し勤務」に興味があり、自分の会社で行う「お試し勤務」の対象となり得ると回答しておられます。こういった企業情報をそれぞれのモデル団体にフィードバックし、具体的な「お試し勤務」の実施に向けて活用していただくつもりでございます。
総務省としては、より多くの企業の皆様にまず実際に取り組んでみようと感じていただいて、そして最初のスタートアップは「お試し勤務」でということで、さらにはそれがしっかりと地方に定着した「サテライトオフィス」に発展していくことを期待しております。
さらに申し上げたいのですけれども、この「サテライトオフィス」での勤務、もしくはご自宅での勤務、この「テレワーク」という働き方ですけれども、一つは「通勤ストレスを解消する」という効果もございますし、「余暇時間が増加する」という効果もあります。それから、「すばらしい環境の中で優れた発想も出てくる」ということもありますし、「大きな災害が発生したときに業務が継続できるというバックアップ機能」を持つ効果もあります。それからまた「子育て中の方や、介護をしておられる方々が、それを理由に離職をしてしまわれることを抑止する」という効果もあるかと思います。
これから、日本に広く普及していく新しい働き方だと私は確信を持っておりますので、これからもしっかり進めてまいりたいと思います。
皆様のご支援とご協力をお願いいたします。
以上でございます。
〔質疑応答〕
<「お試しサテライトオフィス」事業の今後の展開>
問: NHKの山本と申します。今回大臣が視察された「お試しサテライトオフィス」事業のことですけれども、地方に人ですとか、情報の流れをつくっていくことについて、総務省はこれからどのように取り組んでいかれるかお伺いします。
答: ありがとうございます。
今までの取組では、最初は通常型の「テレワーク」でございました。自分の職場での仕事を自宅に持ち帰ってやるというパターンが多かったものです。その次に取り組んだのが「ふるさとテレワーク」ということで、地方にいながら都市部の仕事もできますよ、といった形で、これは経団連の会長等にもお願いをして、地方に住んだまま正社員として採用していただくようなスタイルを是非ご検討いただきたいということで、かなり多くの会社にこうした試みに賛同していただいていると思っています。
さらに、「ヒトと情報」を地方に移していく、「ヒトと情報」の流れをつくり出していくということで、補正予算をきっかけに、今日は時澤地創審も同席していますが、総務省の若手の職員ががんがんとアイディアを出してくれてですね、まずいきなり地方へというのはハードルが高いから、「お試しプラン」をいくつか作ってみようということで、今回の「お試しサテライトオフィス」もその一つの取組でございます。
その他にも「地域おこし協力隊」、これはまさに地方への人の流れの非常に先進的な、先駆けともいえる取組だと思います。
これも、「地域おこし協力隊」の任期が終わった後も、6割の方がその地方に引き続き住んでいただいて、また、2割の方が地方で起業、ビジネスを起こしてくださっているという良い姿が出来つつあります。
しかし、この「地域おこし協力隊」も、地方に住民票を移して移住するということで、「いきなり移住っていうのはハードルが高い」というお声も伺いましたので、これに対してもまた「お試しバージョン」といたしまして、「ふるさとワーキングホリデー」というのを、同じようにスタートいたしました。
これは、「観光以上、移住未満。」という考えの方々に、まずは1週間から1ヶ月ぐらい地方に住んで、少し地方で仕事もしながら、その地域の良さを知っていただく、それが最終的に移住につながるかもしれないし、移住に至らなくても、その地方と関わり合いを持ちながら、ビジネスを今のお住まいの場所で始めていただくきっかけにもなるかなということで、今回、お試しバージョンというもので政策を組み立てさせていただきました。
それから、市町村長の方々とお話をしていると、「テレワークも進めてみたい」、だけれども「自分の市町村にどういったスキルを持った人材がいるのかよく分からない」というお声がありましたので、「地域の人事部」を作っていただくということで、自分の地域にお住まいの方々の様々なスキルを知りながら、企業とマッチングをしていく、こういったことにも地方公共団体が積極的に関わっていただける、こういう政策もつくりました。
それで、昨年度、総務省で実施した三大都市圏内の民間企業の基本ニーズ調査がありますが、有効回答が約1万社ございました。この中で、モデル地方公共団体でのお試し勤務に興味を示された企業が、なんと2,300社にも上っております。これから、まだまだ民間企業のニーズというのは大きいと思いますし、モデル団体だけでは受けきれないぐらいのニーズがあると思います。
さらに総務省でも、これからの政策展開を考えながら、一つでも多くの地方への「ヒト・情報」の流れがおきていくように頑張ってまいりたいと思います。
「ヒト」というのは、とにかく、最高の地域資源だと思います。地域資源というと、地域の特産物だったり、観光資源だったり、歴史遺産だったり、生活文化だったり、いろんなことがありますが、やはり人材が最高の宝だと思います。そういう面では、都市部から地方に移住するということだけを目指すのではなくて、その地域で生まれ育った方が、その地域に住んでそのまま働ける場所を増やすというのが、さらに大切なことだと思っております。ですから、今回のような「お試しサテライトオフィス」の取組によって「サテライトオフィス」の設置にもなり、また、そこに「サテライトオフィス」を設置して、最初は東京など都市部から移住してきた社員の方々がそこで働かれるパターンが多いかと思いますが、是非とも地方の若い方々、小学生、中学生にプログラミング教育や、職業教育ですとかで貢献をしていただいて、この銚子市に住んだままここで仕事を持って働いていきたいという、そういう若い方が増えるようなお取組を心から期待しています。
問: 朝日新聞の久永です。今回の視察で、地方にヒトと情報の流れをつくるということで、今回の視察で感じた今後の課題をお聞かせいただけますでしょうか。
答: 越川市長さんもおられますけれども、3月から受入れを開始されてですね、すばらしい実績をあげてこられて、その取組の中で、お試し勤務をされた企業の方々から様々な課題も聞き取っておられると思います。
ここに「サテライトオフィス」を設置したら、社員にとってもよりハッピー、社員の家族にとってもハッピー。
そして今アベノミクス効果で人手不足というのも懸念されています。有効求人倍率が非常に高くなってきておりますので、そういう意味では地方で優れた人材を採用するきっかけにもなります。
今回の事業を通じて、あと少しこういった条件を整えれば企業が本格的に「サテライトオフィス」を設置してくれるなと、それを一つ一つクリアしていかれる、そうした取組に私は期待をしております。
問: 朝日新聞の福田です。大臣、昨日ですね、お話の中で教育環境のことを気になさっていましたけれども、課題の一つとして教育環境というものがあるとお考えなのか、あるいは、それがあるとすればそれに対して総務省なりあるいは文科省なりが連携して地方への支援ということをお考えになっていかれるお考えがあるのか、そのへんをお聞かせいただければ。
答: 昨日、私から伺った質問ですね。私は、全国各地どの地域に住んでいても、まず「安全に生活ができること」と、「質の高い教育が受けられること」、「必要な社会福祉サービスが受けられること」、そして「働く場所がある」、そういう地域が増えていけば、地方からGDPを押し上げていける、そういう日本の姿がつくれると思っています。
やはり「東京一極集中」と言われる状況というのは、地方にとってもつらいものがあります。東京にとってもこれは大変なことです。東京でたくさんの方が生活する中で公共サービスを提供し、そしてまた高齢化が進んでいった後で、必要な社会福祉サービスを提供しなければならないのですから。
地方へ移住しようと、そういうことを決断する時に、主に若い世代の方々の声としては移住したいと。特に、きっかけは大概、親御さんの体が弱くなってきて病院通いをしている、入院している、そうするとそばにいてあげたい。けれど、子どもを連れて移住したときに、そこで質の高い教育を受けられるだろうか、そしてまた、医療機関はどうだろうか、公共福祉はどうだろうかといった様々なご心配がおありですので、そこを一つ一つクリアしていくことが大事だと思っています。
必要な学校の設置数というのは、これは私どもの所管ではございませんけれども、今、総務省が文部科学省と協力して取り組んでいる「プログラミング教育」のほかにも「ドリームスクール」というプロジェクトがございまして、これは地方に住んでいても都市部の塾の講義が受けられるという、これも情報通信技術を使って受けられるようになるというものでございますので、ICTを使いながら、質の高い教育を受けられるというのも、一つの選択肢であろうかと思っております。
昨日は、銚子市にゆっくり伺うのは初めてでございましたので、これから移住してくださる方が増えていくかなという観点で、教育環境はどうですか、医療環境はどうですか、という質問をさせていただいたところでございます。