令和2年9月11日 記者会見
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《冒頭発言》
皆様、おはようございます。
【産学官連携による地域活性化に関する実態調査結果の公表】
本日、「産学官連携による地域活性化に関する実態調査」の結果を公表いたします。
これは、地域の活性化がますます重要となる中、そのための手法として重視されるようになった「産学官連携」の取組の実態を調査したものでございます。
報告書では、調査した事例をいくつかの視点から分類し、分類ごとの取組にみられる共通的な特徴を整理するとともに、取組の過程で生じた課題を克服するために取られた工夫を紹介しています。
紹介した内容が、行政における効果的・効率的な施策の検討や、地域において関わっておられる皆様の取組の参考になることを期待しております。
詳細は、行政評価局にお尋ねください。
【NOTICE実施計画の変更認可】
IoT機器を悪用したサイバー攻撃が年々増加しており、総務省とNICTは、昨年2月から、「NOTICE」と呼ぶ取組を実施しております。
これは、サイバー攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器を調査し、利用者に注意喚起を行う取組でございます。
この取組では、これまで約100通りのパスワードを用いて調査してまいりましたが、IoT機器を狙うマルウェアの増加などを受けまして、NICTから、パスワードを約600通りに増やしたい旨の実施計画の変更申請がございましたので、本日、認可をいたしました。
総務省としましては、NICTと連携し、安心で安全なサイバー空間の創出に向け、「NOTICE」の取組を一層強化してまいります。
詳細は、サイバーセキュリティ統括官室にお尋ねください。
【テレワークセキュリティに関する手引き(チェックリスト)等の公表】
新型コロナウイルス感染症の拡大防止、育児や介護に伴う離職の抑制、そして、災害時の業務継続などの観点から、テレワークはきわめて有効な手段でございます。
また、テレワークの推進に当たって、セキュリティ確保が重要であることは言うまでもございません。
総務省では、従来からガイドラインを作成しておりましたが、特に、テレワークの導入をためらっておられる中小企業の皆様にも広くご活用いただけますように、より実践的で、具体的でわかりやすい手引き・チェックリストを策定し、総務省ホームページなどで公開をいたしました。
関係省庁とも連携しながら、安心してテレワークを行っていただける環境の整備に努めてまいります。
詳細は、サイバーセキュリティ統括官室にお尋ねください。
私からは、以上でございます。
《質疑応答》
【ドコモ口座を通じた預金不正引き出し事件】
問: NTTドコモが提供する電子決済サービスの「ドコモ口座」で、預金の不正引き出しが確認されています。サイバーセキュリティを所管する総務大臣としての受け止めと、今後の対応策があれば教えてください。
答: 今回の事件は、資金決済法に基づくサービスに関するものですので、基本的には金融庁の所管ということになります。
その上で申し上げますが、「ドコモ口座」を通じて銀行口座から預金が不正に引き出されたことは、非常に残念でございます。
NTTドコモによりますと、資金移動業者として、本人確認手続をより確実に行う必要があったとのことでございます。
総務省といたしましても、既にNTTドコモ及びゆうちょ銀行からヒアリングを行い、実態を伺いますとともに、対応の方向性も確認しております。
銀行を含めた関連事業者におかれましては、利用者の方々が安心して電子決済サービスを利用できるように、被害に遭われた方々への対応に万全を期すとともに、再発防止に取り組んでいただきたいと存じます。
生活者の視点で申し上げますと、例えば、ご高齢の方、障害をお持ちの方、過疎地にお住まいの方などで、頻繁には通帳の記帳に行けない方、スマホで残高確認ができない方も多々いらっしゃると思います。そうなりますと、ご自分が被害に遭っていても、それに気づくのがずいぶん先になってしまう可能性がございます。
各金融機関のご判断ではありますが、より親切に考えていただき、ゆうちょ銀行も含めた金融機関側で、「ドコモ口座」による引き出しをチェックしていただき、被害に遭った可能性がないかどうかの確認に努めていただけたら、大変ありがたいと思っております。
総務省といたしましても、引き続き動向を注視しながら、NISCなどの関係省庁と連携しながらサイバーセキュリティの確保に努めてまいります。
【通信インフラにおける自然災害への対応】
問: 防災対策について伺いたいんですけども、先の台風10号で、九州で停電ですとか通信の被害が出ました。去年の台風でも同様な被害が出まして、専門家の間では電柱の地中化だとか抜本的な対策を求める声が出ていますけど、大臣としてそういった防災対策についてのお考えがあればお聞かせください。
答: 通信インフラは、国民生活や経済活動を支える基盤でございますので、過去の経験を教訓としながら、耐災害性の強化を図ることは、きわめて重要な政策課題だと考えております。
教訓の例を挙げさせていただきますと、令和元年の房総半島台風などを踏まえ、政府全体の検証チームもございますが、総務省と通信事業者との連絡会におきましても、原因の検証を行い、必要な対策をとってまいりました。
その結果、通信障害の主な原因として、基地局における長期停電や土砂災害による伝送路断が挙げられました。様々な実態や対策の方向性が見えてまいりました。
これらを踏まえまして、総務省では、災害時テレコム支援チーム「MIC-TEAM」を本年6月に立ち上げて、現地の状況に即応できるリエゾンの派遣体制を整備しました。
今年の6月には告示を改正しまして、市町村役場などの重要拠点をカバーする携帯電話基地局に、少なくとも24時間にわたって停電対策を講ずるよう、義務付けをいたしました。
なお、不測の事態に備えるために、全国の出先機関、例えば総合通信局がございますが、ここに移動電源車を追加配備した上で、電力や燃料の一層確実な確保に向けて、経済産業省や資源エネルギー庁との連携の枠組みも構築してまいりました。
今おっしゃっていただいた中で、できるだけ早く実行したいと思っている取組といたしましては、被災を軽減する観点から、無電柱化を推進する必要がございます。つまり、ファイバや電線を地中化していく。
この取組を進めなければなりませんので、通信事業者のほか、国土交通省とも連携しながら、調査研究などの対策を講じてまいりました。これは一刻も早く事業化をしていくことが必要だと思っております。
今般の台風第10号におきましても、先ほど申し上げた「MIC-TEAM」をいち早く被災地に派遣しましたし、台風到来に先立って、衛星携帯電話などの自治体への貸出をプッシュ型で行いました。
また、通信事業者におかれましても、被災自治体へのリエゾンの派遣、通信機器の運搬や物資輸送の協力に係る自衛隊との協定の締結、移動電源車や可搬型発電機の追加配備といった取組を行っていただきました。
熊本地震の時にも大変苦労いたしましたけれども、災害を経験するたびに、そこで得られた知見、また、被災者のお声を参考にしながら、取組がより早く、より確実なものになってきていると思いますが、先ほどの電柱地中化も含めて、取り組んでいくことはたくさんございます。
今回も長期の停電が問題になりました。熱中症への不安もありましたのと同時に、情報通信を継続していこうと思うと、長期停電が続くのは大変困ったことでございます。
皆様もご承知のとおり、総務省では、「分散型エネルギーインフラプロジェクト」を、環境庁や資源エネルギー庁や農林水産省など、関係省庁と一緒に進めさせていただいております。
これは総務省中心の取組ですけれども、マスタープランができた自治体に、できるだけ早く、各省の資金的なものも含めて政策資源を投入して、1か所ずつでもその地域の自立型のエネルギー供給体制を確立していくということでございます。
これができますと、主に市町村役場や、避難所などに対して、緊急な事態で停電が起きたときに、再生可能エネルギーを送ることも可能になってまいります。
多くの自治体でマスタープランを策定していただきましたので、エネルギーを安全に送る仕組みも含めて、今回は取組をさらに強化していきたいと考えております。
【緊急浚渫推進事業の増加】
問: 総務省が自治体の治水対策を支援するために、今年度創設した「緊急浚渫推進事業」のことについてお伺いしたいんですが、7月豪雨でもまた各地で氾濫とかが起きましたけれども、この事業を活用する自治体が広がっているようです。大臣の肝入りで採り入れられた政策だと思いますが、受け止めと今後の期待について教えてください。
答: ありがとうございます。
これまで、国土交通省が所管する1級河川の一部、つまり、国交省の方で維持管理も含めて対応していただき、また、予算措置もしていただける1級河川の中でも、その一部は、都道府県が維持管理をしなければならない。また、2級河川については、都道府県知事が責任を持って管理をしていただかなければならない。普通河川などもございますけれども、小さな河川については市町村で対応をしてこられました。
特に、国土交通省の補助事業が活用できない1級河川の一部や2級河川や普通河川、過去には「その他河川」と呼ばれていた小さな河川、支流に当たる部分も含めて、地方公共団体が住民の皆様の命を守るために対応できるようにしようということで、立ち上げた政策でございます。
今年の通常国会では、「緊急浚渫推進事業」を創設するために地方財政法を改正し、与野党の多くの国会議員の皆様からも、ご理解、ご賛同をいただき、とても感謝をしております。
地方公共団体に積極的に取り組んでいただきました結果、現在の予算計上額などは、都道府県及び指定都市の河川分のみで500億円を上回る事業量となっております。
市町村につきましても、全国的に多くの地方団体が取り組んでおられて、住民の皆様が喜ばれているという報告も受けております。
早速、浚渫に積極に取り組まれた地方団体において、先般の7月豪雨時に、例年とは異なり、洪水氾濫が全く発生しなかったという報告も受けております。
今年もまだ台風豪雨が頻発する可能性がございます。総務省としても、地方団体が緊急的な浚渫に一層的に取り組んでいただけますように、積極的に広報もし、推進してまいりたいと考えております。
【東京一極集中是正の推進】
問: 東京一極集中の問題についてお伺いいたします。統計局が毎月出している人口移動報告でですね、5月は東京都が、7月は東京圏がそれぞれ転出超過となるなど、一極集中の動きに変化が見え始めているとみられていますが、大臣はそれをどう受け止めていらっしゃるかというのと、あと、改めて一極集中問題にどう取り組んでいかれるかお聞かせください。
答: 過度な東京一極集中は、災害時のリスクをそのままかぶってしまうという問題、また、地方の担い手不足といった問題から、その是正は喫緊の課題と認識しております。
これまでも、政府を挙げて地方創生に取り組んでまいりました。
最近、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、若い方々の地方への転職希望者が増加しているという調査もありまして、ご質問の動きについては、そういった意識の変化を反映したものではないかと捉えております。
総務省としては、地方への新しい人の流れを作る取組に、これまでも力を注いでまいりました。
よくご承知の政策でいうと、「関係人口」の創出拡大、また、「地域おこし協力隊」の拡充を進めております。
特に、地域おこし協力隊は任期終了後も約6割の方がその地にとどまって、また、ビジネスを起こしていただいているということで、大変な効果が出てきております。
加えて、地方に移住したいと思っても、住む場所はあるのか、働く場所はあるのか、どういう場所なのか、こういった情報を手軽に入手していただけますように、「移住・交流情報ガーデン」を常時開設して、移住相談などに応じさせていただいております。
何よりも大事だと私が思っていますのは、テレワーク、遠隔医療、遠隔診療など、住みたい地域に住みながら働き続けられる、更には、必要なサービスが受けられる環境を更に広げていくことです。
これによって、40代、50代の方々の介護離職を減らす効果もあると考えていますので、総務省としては、しっかりとサポートをしてまいります。
5Gもできるだけ早く展開するということもございますし、加えまして、「テレワークマネージャー」も大幅に人員を増強しましたので、セキュリティも含めてテレワークに関してのご質問がある方については、無料でございますから、積極的にご利用いただきたいと思います。
また、今は勤怠管理が非常に難しい。労働法制上のことでございますけれども、労働安全衛生法や、労働基準法など、様々な課題があると思います。労災が起きた時にどうするのか、こういった考え方もなかなか難しいというお声も耳に入っておりますので、中小企業を支える社会保険労務士などの団体とも連携したテレワークサポート体制の整備によりまして、全国的な導入に取り組み始めたところでございます。
「新たな日常」の前提となるのが光ファイバの整備でございますので、第2次補正予算において、当初予算の10倍の約500億円を計上しました。
これによって、ご要望いただいた全ての地域で光ファイバを整備できる環境を整えたつもりでございますので、ストレスなく業務を継続していただけますように、高度な情報通信基盤の全国整備にしっかりと取り組んでまいります。
【新型コロナウイルス禍における国勢調査】
問: 大臣、来週から国勢調査が始まります。調査員の確保に苦労するなど、今回は制度が問われる回になろうかと思いますが、改めてコロナ禍における国勢調査の取組について所感、お考えをお願いします。
答: ありがとうございます。
いよいよ、来週14日の月曜日から国勢調査がスタートします。
今回の調査の実施にあたって、まずは、感染拡大防止の徹底のために、調査員の方と世帯の方が直接対面しない形で調査書類を配布することにしました。
また、少ない調査員でも調査を行えるように、調査書類の配布期間を延長させていただきました。
また、調査票の回収期間も1か月延長することにいたしました。
どうか国民の皆様におかれましては、国勢調査の回答につきましては、感染拡大防止の観点からも、また、調査員の方々がもう1回回収に伺うという負担を減らしていただく観点からも、郵送で回答していただくほか、できる限り、インターネット回答という形で、期限であります10月7日までの回答をお願い申し上げます。
問: では、以上で。ありがとうございました。
答: ありがとうございました。