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メール監視報道と日本の法律

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 先週、米国のインターネットサービス大手・ヤフー社が電子メール利用者の全電子メールを監視していたという報道がありましたので、多くの方が心配されていることだろうと思います。

 報道は、米国ヤフー社が、国家安全保障局(NSA)や連邦捜査局(FBI)の要請を受け、全ての受信メールを対象に特定の文字列が含まれていないか調べるソフトウェアを開発して、システムに組み込んでいたという内容でした。

 米国ヤフー社は、10月5日に、「報道されたようなメールのスキャン行為は、システム内に存在しない」と反論しています。

 「Yahoo! JAPAN」のメールサービスを運営するヤフー株式会社からは、「ヤフージャパンのメールサービスについて、一切監視は行っていない」、「仮に報道が事実であったとしても、ヤフージャパンのメールサービスは米国のヤフー社とは独立したサービスであるから、日本の利用者に影響はない」という説明を受けています。

 日本では、「電気通信事業法」第4条1項において、「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、犯してはならない」と規定しており、利用者の電子メールの内容についても、通信の秘密として明確に保護の対象となっています。

 違反した場合には、「電気通信事業法」第29条第1項第1号の「改善命令」の対象となりますし、第179条に定める刑事罰の対象にもなります。

 第179条では、「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」、「電気通信事業に従事する者が前項の行為をしたときは、3年以下の懲役 又は200万円以下の罰金に処する」と規定しており、厳罰です。

 「裁判所の発した令状」に基づき、捜査機関が、特定の事件に係る電子メールの内容を確認し、あるいは電子メールの記録媒体を差し押さえることは可能ですが、日本では、このような根拠なしに、捜査機関や電気通信事業者が電子メールの内容を監視することは許されていません。

 引き続き、日本の電気通信事業者には、通信サービスの提供に当たって、「通信の秘密」や「個人情報の保護」を踏まえた適切な取扱いを行って頂くことを期待しています。

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