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「G7情報通信大臣会合」の成果

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 5月26日と27日に開催される「伊勢志摩サミット(首脳会合)」に先駆けて、各分野のG7代表者を招いた閣僚会合が、日本各地で開催されています。

 この週末には、教育大臣会合、環境大臣会合、科学技術大臣会合が開催されています。

 私が議長を務めた「G7情報通信大臣会合」は、連休前半の4月29日と30日の2日間、香川県高松市で開催しました。

 熊本地震発災から2週間余という時で、総務省・消防庁でも省を挙げて災害対応に取り組んでいる最中でしたし、熊本県で余震も続いていたことから、大臣が本省を離れることに迷いはありました。
 しかし、既にG7各国や国際機関の代表者から御出席の返事も頂いており、開催地の香川県・高松市の皆様も懸命に準備を進めていて下さったことから、思い切って土屋副大臣に総務省非常災害対策本部の本部長代理をお願いし、G7大臣会合の最中であっても強い余震が発生した場合には私がすぐに上京できる体制を整えてから、会合に臨みました。

 「G7情報通信大臣会合」には、G7各国、欧州連合、ITU、OECDから、ICT分野のリーダーが集まりました。

 信じ難いことですが、「G7情報通信大臣会合」が開催されたのは、21年ぶりのことでした。

 インターネットが世界にとって欠くことのできない基盤となり、国内でも、国際社会においても、ICTやサイバー空間に関する多くの課題が議論されています。

 このタイミングで、日本が「情報通信」というテーマに光を当てて、本会合をホストしたことについて、G7各国や各国際機関の代表者からは高い評価をいただきました。

 21年ぶりに日本が開催を呼びかけたことを契機に、継続的にG7としてICT分野の議論を続けることとなり、来年はイタリアで情報通信大臣会合が開催される予定です。

 今回は、2日間で長時間に渡る4つのセッションをこなし、大所高所から最新のICTをめぐる議論を深め、『憲章』、『共同宣言』、『協調行動集』の3つの成果文書を取り纏めることができました。

 『憲章』は、地球上の全てのヒト、モノがいつでもどこでも容易に繋がる「Digitally Connected World(デジタル連結社会)」実現までの今後10年~15年を見据えた中長期の「目標」や「基本理念」を取り纏めたものです。

 『共同宣言』は、「Digitally Connected World」の実現に向けた、当面の「行動戦略」を記述したものです。

 『協調行動集』は、『共同宣言』の附属書として作成したもので、G7各国の具体的な取組を集め、G7メンバー間での相互の参画や国際機関も含めた連携による協力強化を図るためのものです。

 先ず、G7として、次のことを確認しました。
①2020年までに新たに15億人をインターネットに接続することを目指す。
②自由でオープンなインターネットを支える「情報の自由な流通」を確保する。
③安全・安心などのサイバー空間に関する課題について共同して取り組む。

 更に、G7が協働していく行動戦略の具体的な内容としては、次の4つの分野を掲げることで合意しました。
①デジタル・ディバイドの解消などICTアクセスの向上
②サイバーセキュリティやプライバシー保護を踏まえた、情報の自由な流通の推進
③IoT、AI(人工知能)など新たなICTの登場を踏まえた、イノベーションの推進
④ICTの活用による、健康医療、高齢化社会、女性活躍、防災など、地球規模課題への取組

 特に、AI(人工知能)について、日本から「AIの研究開発に関する8原則」を提唱し、各国からも検討を続けることについて賛同が得られたことは、嬉しいことでした。

 AIの機能は、いずれ人類の知能にも匹敵すると言われるなど、我々の社会経済に革命的な変化をもたらすと考えています。
 AIについて、世界の産学官の関係者の知恵を結集して人類の繁栄につなげていくためにも、G7各国が中心となり、OECD、ITUなどの国際機関とも協力した上で、AIの社会経済への影響や開発原則について、議論を進めなければなりません。

 また、開催地となった香川県・高松市は、医療や商店街振興など、積極的にICTを活用している先進地で、「ICTが地域の活性化に寄与すること」についても、共通理解が得られました。

 いずれにしましても、「G7情報通信大臣会合」の開催によって、G7の間で「ICTに関する取組の方向性」を共有できた意義は大きかったと思います。

 今回の成果を、「伊勢志摩サミット(首脳会合)」にも必ず反映させていただきたく、安倍総理には、成果文書の概要を説明申し上げるとともに、ICTを積極的に議題にしていただくことをお願いしました。
 IoT、ビッグデータ、5G、AIなど新たなICTの登場を歓迎するとともに、様々な分野でイノベーションを促進し、その恩恵を世界経済の発展と人類の繁栄のために最大限活用していくことが大切だからです。

 更に、本年6月に開催される「デジタル経済に関するOECD閣僚級会合」や、9月に開催される「G20杭州サミット」といった国際会議においても、今回の成果を発信していきたいと考えています。

 日本としても、「質の高いインフラ整備を通じたデジタル・ディバイドの解消」、「各国の関連団体の連携や各国共通の評価指標の開発を通じたサイバーセキュリティの確保」、「各国のIoT関連団体の連携促進」、「AI開発原則の検討などを通じたイノベーションの促進」、「コミュニケーションロボットに関する研究開発成果の共有を通じた高齢化社会への対応」「プログラミング教育を含めた人材育成」などに、積極的に取り組んでいくことが重要です。

 会合の開催に当たって、香川県や高松市の皆様には、絶大なるご協力を賜りました。

 多くの参加者から、地元の方々による温かいおもてなしへの感謝の言葉や、美しい風景や美味しい香川県産食材への感動の言葉を伺い、日本人として誇らしく嬉しい思いでした。

 香川県知事、高松市長、県庁や市役所職員の皆様、各国要人が安心して滞在できる見事な警護をして下さった香川県警の皆様、細やかな心遣いをしていただいたホテルや各行事会場の皆様、地元経済界をはじめ各種団体の皆様、温かい歓迎をして下さった県民・市民の皆様、本当に有難うございました!

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