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放送法①:極端なレッテル貼りを残念に思う

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 去る3月14日の参議院予算委員会では、社民党の福島みずほ議員が、私の名前を挙げた上で「大臣が『電波を止めるぞ』と言うのはおかしいですよ」と発言されました。
 福島議員は、質疑時間中に「電波を止める」という表現を8回も使って、私を批判されました。

当日の参議院予算委員会にはテレビ中継も入っていましたので、多くの視聴者の方々は、総務大臣が「電波を止めるぞ」と発言したのだと思われたことでしょう。


 反論答弁をしたくて何度も挙手をしていましたが、指名はしていただけないままに福島みずほ議員の質疑時間が終了してしまいました。


 2月から一部の新聞が「総務相『電波停止』発言」、「総務相による放送局への『停波』発言」といった文言を使った記事を掲載していましたし、一部のテレビ報道番組でも同様の表現を使って報じられていましたから、福島みずほ議員も、悪気は無く一部の報道を参考に質疑原稿を作成されただけなのかもしれません。


 改めてテレビ番組のテロップや新聞の見出し等に使われる文言の影響力の大きさを実感しました。


 これまで「放送法」や「電波法」に関して私が衆参両院の予算委員会や総務委員会で何度も答弁をしてきた内容については、一部の新聞や週刊誌を除いては殆ど報じられず、私個人がテレビや新聞と同レベルの影響力がある広報手段を持てるわけでもないので、「一度貼られたレッテルについては、殆ど手の打ちようが無いのだろうな」と諦めていました。


 それでも、3月14日の参議院予算委員会については、一方的に批判をされて答弁は許されないという状況に、残念な思いが拭えませんでした。


 かなり悔しそうな顔をして委員会室を後にした私を見て、少しでも反論の機会を与えてあげようと思って下さったのか、同じくテレビ中継入りだった3月18日の参議院予算委員会で、自民党の宇都隆史委員が「放送法第4条違反が発生した場合の、放送法第174条と電波法第76条の運用に係る総務省の見解」について質疑をして下さいました。


 安全保障問題の専門家である宇都隆史議員ですから、本当はフルに質疑時間を使って安全保障問題の議論に絞りたかったに違いありません。


 自民党議員の場合、所属議員数が多い上に、野党議員に自民党議員分の質疑時間を譲る慣例があることから、テレビ中継が入る日に質疑時間を得られるチャンスは滅多にありません。
 宇都隆史議員が、その貴重な質疑時間を敢えて別の課題に割いて下さったことが容易に想像できましたので、言いたかった内容の大半を省いて、かなり早口で答弁をしました。


 その結果、たまたまテレビ中継を観ておられた地方議員から「大体は理解できましたが、答弁が早口過ぎて条文の説明が聴き取れなかったので、議事録があれば送って下さい」というメールを頂いてしまいました。


 まだ参議院で正式な議事録は出来ていないようですので、以下、当日に持参していた答弁用メモの一部を参考に記憶をたどりつつ、私の答弁のポイントを書かせていただきます。



≪答弁概要≫


 まず、私は「電波を停める」と言ったことは一度もありません。


 放送法第4条に定める「番組準則」は、
①公安及び善良な風俗を害しないこと
②政治的に公平であること
③報道は事実をまげないですること
④意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
の4点です。


 第4条を含む放送法違反についての、放送法第174条「放送の業務停止命令」や電波法第76条「無線局の運用停止命令」の運用につきましては、これまで私が何度も国会で答弁しました通り、
①法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、
②その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ、
③同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは、法律を遵守した放送が確保されないと認められる、 
といった「極めて限定的な状況のみに行うこと」とするなど、「極めて慎重な配慮のもと運用すべきである」と、総務省では従来から取り扱ってきています。


 放送法は、民主党政権時の平成22年に抜本的改正が行われ、ソフト事業者に適用され得る第174条の「放送の業務停止命令」はこの時に新設されたものです。


 平成22年の改正放送法案の審議の際にも、
①第4条の番組準則が法規範性を有すること、
②番組準則に違反した場合には、総務大臣は、放送法第174条に基づく業務停止命令や
電波法第76条に基づく無線局運用停止命令ができること、
③それらは、極めて慎重な配慮の下、運用すべきであること、
については、平成22年11月26日の参議院総務委員会で、平岡総務副大臣が答弁をしておられます。


 私としては、「行政の継続性」の観点から、同様の答弁をさせていただきました。


 また、平岡副大臣が答弁された日に行われた改正放送法案の採決に当たっては、日本共産党以外の全ての会派が賛成されました。


 この改正放送法案は、当時の菅内閣において、内閣法制局の審査を経て、閣法として提出されていますので、私は、当時は賛成会派だったはずの一部の議員がおっしゃるような憲法に違反する法律だとは思っていません。


 尚、これまで、放送法第4条違反として、放送法第174条や電波法第76条を適用した例はありません。


 いずれにしても、放送法は、放送事業者の「自主自律」を基本とする枠組みとなっており、放送番組は、放送事業者が自らの責任において編集され、放送法を遵守されるべきものだと考えています。

 

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