雇用・消費・世帯収入等の現状
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昨日の閣議では、総務省統計局による「労働力調査結果」、「消費者物価指数」、「家計調査結果」について報告しました。
閣議後の大臣記者会見では時間が限られていましたので、ここに少し詳しく書いておきます。
第１に、「労働力調査結果」です。
完全失業率は、季節調整値でみると３．４％で、前月と同率。本年３月以降、１８年ぶりの低い水準である３％台前半で推移しています。
就業者数は６４３９万人。１年前に比べ３７万人増加し、１０か月連続の増加です。
そのうち女性は３５万人増加し、３６か月連続の増加。女性の就業者数は２７９２万人と、比較可能な昭和２８年（１９５３年）以降の過去最高値でした。
更に、１５～６４歳の就業率は７３．９％（女性の就業率は６５．４％）と、比較可能な昭和４３年（１９６８年）以降の過去最高値でした。
雇用形態別に見ますと、正規雇用者数は１年前に比べ２１万人増加し、１０か月連続の増加。非正規雇用者数は１６万人増加し、７か月連続の増加でした。
厚生労働省が昨日発表した有効求人倍率は１．２４倍と、前月比０．０１ポイント上昇。平成２年（１９９２年）１月以来、２３年８か月ぶりの高水準になりました。
よって、雇用情勢については、引き続き「改善傾向」で推移していると考えます。
第２に、「消費者物価指数」です。
９月全国の「総合」は、前年の同じ月と同水準でした。前年同月比がプラスでなくなったのは２年４か月ぶりのことです。
これは、天候不順で高騰した前年の反動により「生鮮野菜」の上昇幅が縮小したことや、「エネルギー」（電気代、ガソリン、都市ガス代）の下落幅が拡大したことによるものです。
９月の全国の「生鮮食品を除く総合」は、前年同月比で０．１％の下落となりました。
これは、足下の「ガソリン」の値下がりや、昨年末の原油価格下落が遅れて影響する「電気代」の値下がりなどによるものです。
一方、「食料及びエネルギーを除く総合」は、前年同月比で０．９％の上昇と、８月（０．８％）から上昇幅が拡大しています。
物価情勢は、内閣府の月例経済報告では「消費者物価は、緩やかに上昇している。先行きについては、当面、緩やかに上昇していくことが見込まれる」とされています。
総務省統計局の調査でも、原油価格下落による「エネルギー」価格下落の影響を除きますと、物価の上昇基調は９月も続いていると考えられます。
第３に、「家計調査結果」です。
９月分の２人以上の世帯の消費支出は、前年同月比で実質０．４％の減少（２か月ぶり）となりました。
自動車購入を含む「自動車等関係費」やパソコンを含む「教養娯楽用耐久財」などが減少した一方で、シルバーウィークの影響もあり「外食」や「国内パック旅行費」などが増加していました。
一方、季節調整値で前月からの動きをみると、前月比は実質１．３％の減少（３か月ぶり）でした。
９月後半のシルバーウィークは好天でしたが、前半は台風１８号などの影響により天候が悪かったこともあり、消費は、足下では横ばいの状況と言えるでしょう。
また、９月分の２人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入は、前年同月比で名目１．５％の減少、実質１．６％の減少となりました。
名目での減少は１０か月ぶり、実質での減少は６か月ぶりです。
しかし、年齢別に見ますと、６０歳未満では０．３パーセントの増加、６０歳以上では８．８パーセントの減少となっています。
高齢世帯では、再雇用などにより一般的に賃金水準が下がりますが、今回の実収入下落の詳しい要因については、結果の分析を更に進めてまいりたいと思います。
ちなみに、家計調査の調査世帯は、全国の縮図となるよう無作為抽出しています。
「サンプル交替」も一定のルールで行っています。サンプルは、毎月６分の１ずつ交替し、結果の断層が出ないようにしています。
前回の経済財政諮問会議の席上、麻生財務大臣から、総務省と経済産業省の統計調査結果に乖離がある旨の御指摘がありました。
総務省の統計結果は、大抵、内閣府や経済産業省の調査結果よりもシビアな数字が出ています。
統計は、実体経済をより正確に反映するべきものだと考えますので、恣意的なものになってはなりません。
他方で、国民の皆様から見て分かりやすいものである必要もありますので、先週、統計局長に、内閣府・経済産業省・厚生労働省・総務省の４府省の実務者で政府統計の在り方を検討する会議を開催する段取りに入るよう、指示しました。
