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電波監視の重要性

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 皆様は、神奈川県の三浦半島の高台に、「宇宙電波監視」と「短波帯電波監視」を行っている我が国で唯一の機関が設置されていることをご存知でしょうか。

 それは、総務省関東総合通信局の「三浦電波監視センター」です。国際電気通信連合(ITU)に指定されている国際監視機関でもあります。

 8月5日に、同センターを視察させていただきました。
 昭和21年にセンターが設置されてから初めての大臣視察だったそうで、センターの方々にはお手数をおかけしたことと存じますが、私にとりましては、現場に足を運んで説明を伺うことによって、「電波監視業務」の重要性を再認識する貴重な機会になりました。

 「宇宙電波監視業務」では、日本のみならず各国の衛星を監視し、その結果に基づき、各国政府に干渉電波の排除を働きかけるなど、グローバルな取組みを行っています。

 赤道上空3万6000㎞の静止衛星軌道には、各国が打ち上げた約500機の静止衛星が存在し、三浦電波監視センターは約170機(うち日本の衛星は21機)を観測しています。 
 各衛星の軌道位置がずれていないか、各衛星が発射する電波の周波数が規定通りか等を測定でき、衛星回線が電波による干渉を受けた場合には、干渉源を突き止めることができます。

 平成22年6月に、北海道西胆振消防組合の消防無線にデータ伝送用信号音が混入しているという申告がありました。
 三浦電波監視センターは、ロシアの衛星が混信源である可能性が極めて高いことを突き止めました。
 本省からロシアの主管庁に対して混信排除要請を実施し、平成23年1月には混信が消滅しました。

 平成25年10月には、国土交通省の運輸多目的衛星MTSAT-1Rが干渉を受けているという申告がありました。
 三浦電波監視センターは、同一軌道・同一周波数帯で運用しているロシアの放送衛星が、国土交通省の衛星と相互に電波の向きを変えて干渉を避けるべきところを、誤って同じ向きで電波を発射したことが原因だったことを特定しました。
 これも、本省からロシアに排除要請を行いました。
国土交通省の運輸多目的衛星MTSAT-1Rは、気象観測だけではなく航空管制にも使われており、干渉電波は人命にも関わる可能性があります。

 「短波帯電波監視業務」の様子も拝見しました。
 特に、北朝鮮による拉致被害者に届けるべく流している放送「しおかぜ」に対する北朝鮮からの電波妨害を監視し、雑音が入る度に周波数を調整するなどの業務については、引き続き万全の体制で取り組んでいただくよう、職員の方々にお願いを致しました。

 総務省では、北海道から沖縄県まで各地に「遠隔方位測定設備」「短波監視施設」「不法無線局探索車」「電波監視車」などを整備・配置し、電波監視業務を実施しています。

 特に「重要無線通信妨害」に対する申告受付は24時間対応体制を整備し、迅速な排除に取り組んでいます。
 「重要無線通信」とは、人命又は財産の保護、治安の維持、電気通信、放送、電気、鉄道の為の無線通信です。
 消防無線、航空・海上・鉄道無線等への妨害は、深刻な事態を招きかねません。

 重要無線通信妨害発生の申告があれば、各地の「遠隔方位測定設備」が妨害源を推定し、「不法無線局探索車」による調査で妨害源を特定し、妨害電波の発射停止を命令します。告発や行政処分等の措置をとることが可能です。

 私が訪問した「三浦電波監視センター」では、国民の安全を守る為に、また、衛星の周波数利用による国際秩序維持の為に、職員の方々が交替制で24時間365日の電波監視をして下さっていました。
 改めて視察へのご協力に感謝を申し上げますとともに、重要な業務に誇りと使命感を持って益々ご活躍いただきますことを期待致しております。

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