地域エネルギーを地方創生の柱に
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「エネルギーの地産地消」は、一石二鳥ならぬ三鳥以上の大きな相乗効果を生み出し、地方創生の有力な手段になるものと考えています。
域外に流出している電気料金(実に約17兆円になります!)を域内に取り込むことができれば、地域に「雇用」が生まれます。
また、「為替や原油価格の変動にも強い地域経済」の構築にもつながります。
加えて、再生可能エネルギーの活用により、環境にも配慮したものとなります。
特に注目したいのは、地域の熱利用です。
日本において、熱利用は可能なのでしょうか?また、固定価格買取制度(FIT)がなくても事業化できるのでしょうか?
総務省では、これらの点を検証するために、昨年11月に「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」を立ち上げました。
これまで、14団体がエネルギー事業導入計画(マスタープラン)の策定に取り組まれ、間伐材等のエネルギー源から最終需要まで地域内での自立循環を目指す「自立循環型」、熱導管ネットワークエリアでの地域再開発による需要の集約化とサービスイノベーションを伴う「タウンリニューアル型」など、それぞれの地域の特性を活かした計画ができました。
去る5月11日に開催された第4回研究会では、14団体のマスタープランづくりを踏まえ、全国展開に向けて、事業成功のための条件を整理しました。
電力小売の自由化を契機に、地域エネルギーが、観光や農業に続く地方創生の柱になるチャンスが見えてきています。
海外には成功事例があります。
例えば、ドイツでは、1998年の電力自由化後にバイオマスをエネルギー源とする熱供給が約10年で2倍に増加し、林業をはじめ関連産業への経済波及効果を生み出しています。
また、オーストリアでは、木材チップによる小規模の地域熱供給事業(マイクロネッツ)の導入が進んでおり、林業、ボイラー、施工・メンテナンス等で地域の雇用(人口1万人の町で約130人)が生まれています。
残された課題は何でしょうか。
最も大事なのは、料金です。
既存のエネルギーと同等か、少し安くなければいけません。
そのため、エネルギーシステムの効率化や設備コストの低減についてノウハウづくりが必要です。
これが見えてくると、金融機関の融資の判断も容易になり、各省庁の関連補助金(現在、30以上あります)も、シンプルで活用しやすいものにできます。
「エネルギーの地産地消」が、皆様の暮らしや仕事に身近なものになるよう、総務省としてもしっかりとサポートして参りたいと考えています。