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平成27年度NHK予算に付した総務大臣意見

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日本放送協会 平成27年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣の意見

 日本放送協会(以下「協会」という。)は、公共の福祉のため、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組を放送する等、放送法で定められている業務を着実に遂行することを通じて、公共放送としての社会的使命を果たしていくことが求められている。

 このような公共放送としての社会的使命の下、協会の平成27年度の収支予算、事業計画及び資金計画(以下「収支予算等」という。)については、「NHK経営計画 2015-2017年度」の初年度として、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実等による海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K・8K等の先導的なサービスの推進、大規模災害に備えた公共放送の機能の強靭化、受信料の公平負担の徹底等に取り組むこととしており、おおむね妥当なものと認められる。

 なお、収支予算等の実施に当たっては、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識の下、業務の効率化・合理化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが重要である。

 また、特に下記の点について配意すべきである。

1 国内放送番組の充実

○ 放送番組の編集に当たっては、我が国の公共放送としての社会的使命を認識し、国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道の確保や国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供等を行うとともに、我が国の文化の向上に寄与すること。

○ 国民各層の中で意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、放送法の趣旨を十分に踏まえ、正確かつ公正な報道に対する国民・視聴者の負託に的確に応えること。

○ 地方の創生の観点から、地方の魅力の紹介や、地域経済の活性化に寄与するコンテンツについて、その充実や国内外に向けた積極的発信を行うなど、地域からの情報発信の強化に一層努めること。

○ 字幕・解説放送等については、「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」(平成24年10月2日)等を踏まえ、緊急放送時の字幕放送の実施を始め、一層の充実を図ること。

○ 多様な放送番組が提供できるよう、適正な取引条件の確保に配慮しつつ、外部制作事業者に十分な機会を提供することで、その能力の一層積極的な活用に努めること。

2 国際放送の充実等による海外情報発信の強化

○ 現在、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の経済・社会・地域及び文化の動向や実情を正しく伝えることがこれまで以上に重要になっていることを踏まえ、我が国に対する正しい認識・理解・関心を培い、普及させるとともに、国際交流・親善の増進及び経済交流の発展等に資するよう国際放送のより一層の充実・強化を図ること。

○ 特に、テレビ国際放送の「NHKワールドTV」については、「NHK海外情報発信強化に関する検討会 中間報告」(平成27年1月30日)を参考に、協会の国際放送子会社を含む実施体制の充実を図りつつ、アジアの信頼できる国際放送としての世界的な評価の確立を目指し、ニュース番組や我が国・地域の実情や魅力を伝える番組の充実、字幕付与等による多言語化、放送と連携したインターネットの活用、ニュース素材の海外放送事業者への提供・海外関係事業者との連携強化、国内外の受信環境の一層の整備や効果的な周知広報活動等の取組を、世界各地のニーズや視聴実態をよく把握しつつ効果的かつ積極的に推進すること。その際、これらの取組の成果となる認知度について、特に向上が求められる欧米について具体的な目標を設定して実施するよう努めること。

○ 訪日外国人観光客の増加や日本各地の産品、先端技術・サービス等への海外需要の拡大、そして地方の創生等に貢献し、経済成長や国際社会における日本のプレゼンス向上に資するため、放送コンテンツの戦略的かつ積極的な海外展開を進めること。

○ 地上デジタル放送日本方式に係る研究開発の成果がより広く生かされることで放送技術の進歩発達に寄与する観点から、同方式の国際展開に取り組むとともに既採用国における円滑なデジタル化移行に向けた取組を実施すること。

3 4K・8K及びインターネット活用業務の積極的推進

○ 4K・8Kについて、「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 中間報告」(平成26年9月9日)に掲げられている平成28年(2016年)の試験放送及び平成30年(2018年)までの可能な限り早期の実用放送の開始に向けて、そのために必要な技術実証・開発を進めるとともに、コンテンツの充実や設備投資、パブリックビューイングや他の産業分野への利活用による普及促進等について、関連事業者と連携しつつ積極的に取り組むなど、その推進について公共放送としての先導的役割を果たすこと。

○ インターネット活用業務について、公共放送としての先導的役割を踏まえ、国民・視聴者の放送番組の視聴に有効なものとなるよう取り組むとともに、我が国の放送サービス向上の観点から関連事業者からの求めに応じ、業務の成果の共有や相互の連携に努めること。その際、当該業務の市場競争への影響や受信料の公平負担との関係及び透明性の確保を十分考慮すること。

○ NHKオンデマンドサービス等については、引き続き、サービスの利便性向上等を図りつつ、収支改善に一層努めること。

4 経営改革の更なる推進

○ 協会の経営が国民・視聴者が負担する受信料により支えられているということを十分に自覚し、コスト意識を持って業務の合理化・効率化に努めること。

○ 給与等について、平成25年度から開始されている「給与制度の改革」を引き続き着実に推進し、適正化に努めるとともに、国民・視聴者に対する説明責任を十分に果たすこと。

○ 公共放送への高い信頼を確保するため、子会社等を含め、コンプライアンスのより一層の確保に向けて組織を挙げて全力で取り組むこと。

○ 女性職員の採用及び役員(経営委員を除く。)・管理職への登用の拡大に努め、女性の活躍に向けた取組をさらに加速させること。

○ 国際放送等の充実・強化に向けて、高い専門性等を有する優れた人材の育成・確保に努めること。その際、シニア世代を含めその分野の経験豊かな者の外部登用や効果的な事業者間連携手法について検討すること。

○ その他、経営・業務に係る情報公開の推進、調達に係る取引の透明化・経費削減等、従来指摘してきた事項についても、引き続き取組の徹底を図ること。

5 受信料の公平負担の徹底等

○ 受信料の公平負担を確保するため、効率性にも配慮しつつ、多様な手法を活用することにより、未契約者及び未払者対策を一層徹底し、支払率の向上を図ること。その際、支払率の低い大都市を中心に集中的な取組を実施すること。

○ 視聴行動の変化や技術革新の動向等も踏まえ、公平・公正で透明性の高い受信料体系の在り方について不断の見直しを行うとともに、契約収納活動について、適切な法人委託への円滑な移行や低廉かつ安全な情報システムの運用等を通じて経費の抑制を図ること。

6 新放送センター整備計画の具体化

○ 新放送センターの整備に係る費用は受信料により賄われることから、国民・視聴者の十分な理解の下で計画を進めることが重要であることを踏まえ、整備計画の具体的内容を逐次かつ速やかに明らかにすること。

7 東日本大震災からの復興への貢献と公共放送の機能の強靭化等

○ 東日本大震災からの復興状況を伝えるニュースや番組の充実等を通じて、引き続き、被災地の復興への取組を支援すること。

○ 緊急報道対応設備の整備等を通じて、引き続き、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害に備えた公共放送の機能の強靭化を図ること。

○ 東日本大震災に関連して引き続き必要となる受信環境整備等について適切に取り組むこと。

以上

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