高齢者の雪下ろし中の事故を防ぐ為の新規施策
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天皇陛下は、昨年12月23日の御誕生日を迎えられての御言葉の中で、「高齢者の雪下ろし中の事故」について触れられました。
陛下がお心を痛めておられたことに、申し訳ない気持ちで一杯になりました。
既に多くの自治体で高齢者世帯に対する雪下ろし支援を実施していただいていることは承知していましたが、「痛ましい事故を減らす為に、総務省として、更に踏み込んだ支援策を作ることはできないだろうか」と考え、この1ヶ月半の間、職員とともに検討を続けてきました。
豪雪地帯といっても、事情は様々だろうと思いました。国が財政的な支援をすれば解決できるのか、そもそも若い人手が足りないのか…。
先ずは実態を把握する為に、全市区町村を対象に、「高齢者等の雪下ろし対策等に係る施策等アンケート調査」を実施しました。
その結果、豪雪地帯(全532市町村)では約55%、特別豪雪地帯(全201市町村)では約75%の市町村が、何らかの形で高齢者世帯の雪下ろし等に対して経済的支援を実施していることが分かりました。
経済的支援の多くは、「高齢者世帯等が民間事業者に雪下ろしを委託した際に、その全部又は一部に助成金等を交付する」又は「高齢者世帯等が低料金で雪下ろしを受けられるよう、自治体において指定した民間事業者に雪下ろしを委託する」という形で行われていました。
ただし、民間事業者に依頼すると1軒につき数万円の費用がかかりますので、支援対象世帯は非課税世帯などに限定されています。
費用節減や支援対象世帯を広げる為に工夫をしておられる市町村もありました。
例えば、長野県栄村では、「雪害救助員」を村が雇用し、高齢者世帯等の雪下ろしを行っていました。
福島県下郷町では、「除雪ボランティア」を募り、高齢者世帯の除雪を行った場合に謝礼を支払っています。
新潟県十日町市では、町内会など地域ぐるみで高齢者世帯等の雪下ろしを実施した場合に、経費の一部を助成していました。
この他の多くの自治体においても、「集落や自治会等の地域単位で行う除雪に対する除雪機の貸与や購入の支援」、「除雪や雪下ろしを行う共助組織に対するボランティア保険料等の経済的な支援」など、共助による雪下ろしへの支援が行われていました。
これらは、横展開したい方法だと思いました。
他方、調査の結果、意外だったことは、「雪下ろし時の安全確保に関する普及啓発」を行っている自治体は少ないということでした。
総務省ができる「当面の対策」として、高齢者世帯等の雪下ろしに対する経済的支援を充実することを決め、去る2月13日(金)に、都道府県知事と市区町村長に通知を発出しました。
特別交付税の新規項目として「高齢者等の雪下ろし支援」を創設し、今年3月の算定分から実施することにしたのです。
現行の「除排雪経費」の措置率は0.75ですが、「高齢者等の雪下ろし支援」の措置率については0.8としました。
下記の経費の8割を措置することとしました。
①雪下ろしが困難な世帯に対する支援に要する経費
高齢者等が民間事業者に雪下ろしを委託する際の費用に対して助成し、又は自治会や除雪ボランティアが地域ぐるみで行う高齢者等の雪下ろしを支援する際に必要となる経費
②雪下ろし時の安全対策の普及啓発に要する経費
雪下ろしの際に命綱やヘルメットを装着し、複数人で作業を行うといった安全対策について、広報を用いて注意喚起を行い、又は自治会の集会等において講習を行う際などに必要となる経費
③雪下ろしの担い手の育成に要する経費
担い手の確保を目的として、地域住民が参画する共助組織に対して除雪機を貸与し、保険料を助成する際などに必要となる経費
今後、担い手不足に対する「中期的な対応」として、雪下ろしを行う共助組織等の育成を行うことや、雪下ろし等の生活支援サービスを提供する共助組織の持続可能な運営方法を検討しなければなりません。
また、「長期的な対応」としては、総務省が取り組んでいる「分散型エネルギーインフラプロジェクト」において、「弘前モデル(融雪設備を伴うもの)」など雪下ろしが不要となる仕組みを検討することです。
今回決めた措置を活用していただき、雪下ろし時の事故によって大切な生命を失う悲劇が減りますように…と、祈っています。
本件に限らず、大臣からの数々の問題提起に対して、いつも全力で取り組み、知恵を絞って対応してくれる総務省職員の皆さんには、大いに感謝しています。
陛下がお心を痛めておられたことに、申し訳ない気持ちで一杯になりました。
既に多くの自治体で高齢者世帯に対する雪下ろし支援を実施していただいていることは承知していましたが、「痛ましい事故を減らす為に、総務省として、更に踏み込んだ支援策を作ることはできないだろうか」と考え、この1ヶ月半の間、職員とともに検討を続けてきました。
豪雪地帯といっても、事情は様々だろうと思いました。国が財政的な支援をすれば解決できるのか、そもそも若い人手が足りないのか…。
先ずは実態を把握する為に、全市区町村を対象に、「高齢者等の雪下ろし対策等に係る施策等アンケート調査」を実施しました。
その結果、豪雪地帯(全532市町村)では約55%、特別豪雪地帯(全201市町村)では約75%の市町村が、何らかの形で高齢者世帯の雪下ろし等に対して経済的支援を実施していることが分かりました。
経済的支援の多くは、「高齢者世帯等が民間事業者に雪下ろしを委託した際に、その全部又は一部に助成金等を交付する」又は「高齢者世帯等が低料金で雪下ろしを受けられるよう、自治体において指定した民間事業者に雪下ろしを委託する」という形で行われていました。
ただし、民間事業者に依頼すると1軒につき数万円の費用がかかりますので、支援対象世帯は非課税世帯などに限定されています。
費用節減や支援対象世帯を広げる為に工夫をしておられる市町村もありました。
例えば、長野県栄村では、「雪害救助員」を村が雇用し、高齢者世帯等の雪下ろしを行っていました。
福島県下郷町では、「除雪ボランティア」を募り、高齢者世帯の除雪を行った場合に謝礼を支払っています。
新潟県十日町市では、町内会など地域ぐるみで高齢者世帯等の雪下ろしを実施した場合に、経費の一部を助成していました。
この他の多くの自治体においても、「集落や自治会等の地域単位で行う除雪に対する除雪機の貸与や購入の支援」、「除雪や雪下ろしを行う共助組織に対するボランティア保険料等の経済的な支援」など、共助による雪下ろしへの支援が行われていました。
これらは、横展開したい方法だと思いました。
他方、調査の結果、意外だったことは、「雪下ろし時の安全確保に関する普及啓発」を行っている自治体は少ないということでした。
総務省ができる「当面の対策」として、高齢者世帯等の雪下ろしに対する経済的支援を充実することを決め、去る2月13日(金)に、都道府県知事と市区町村長に通知を発出しました。
特別交付税の新規項目として「高齢者等の雪下ろし支援」を創設し、今年3月の算定分から実施することにしたのです。
現行の「除排雪経費」の措置率は0.75ですが、「高齢者等の雪下ろし支援」の措置率については0.8としました。
下記の経費の8割を措置することとしました。
①雪下ろしが困難な世帯に対する支援に要する経費
高齢者等が民間事業者に雪下ろしを委託する際の費用に対して助成し、又は自治会や除雪ボランティアが地域ぐるみで行う高齢者等の雪下ろしを支援する際に必要となる経費
②雪下ろし時の安全対策の普及啓発に要する経費
雪下ろしの際に命綱やヘルメットを装着し、複数人で作業を行うといった安全対策について、広報を用いて注意喚起を行い、又は自治会の集会等において講習を行う際などに必要となる経費
③雪下ろしの担い手の育成に要する経費
担い手の確保を目的として、地域住民が参画する共助組織に対して除雪機を貸与し、保険料を助成する際などに必要となる経費
今後、担い手不足に対する「中期的な対応」として、雪下ろしを行う共助組織等の育成を行うことや、雪下ろし等の生活支援サービスを提供する共助組織の持続可能な運営方法を検討しなければなりません。
また、「長期的な対応」としては、総務省が取り組んでいる「分散型エネルギーインフラプロジェクト」において、「弘前モデル(融雪設備を伴うもの)」など雪下ろしが不要となる仕組みを検討することです。
今回決めた措置を活用していただき、雪下ろし時の事故によって大切な生命を失う悲劇が減りますように…と、祈っています。
本件に限らず、大臣からの数々の問題提起に対して、いつも全力で取り組み、知恵を絞って対応してくれる総務省職員の皆さんには、大いに感謝しています。