現場力を生かした地方創生の実現
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しばらくぶりのコラムになります。
先日の1月17日の土曜日で、阪神・淡路大震災発生から20年となりました。死者・行方不明者6,437名という、未曾有の被害がもたらされましたが、この20年の間に着実に復興が進み、さらなる発展を遂げています。ここに改めて、犠牲となられました方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、阪神・淡路地域の着実な発展を祈念いたします。
この阪神・淡路大震災の経験と教訓を風化させることなく、国民の皆様の生命、財産、生活を守り、安心して暮らせる地域社会の実現に向け、総務大臣として引き続き努力を重ねてまいりたいと思っております。
さて、本年はローカル・アベノミクスの実現に向け、地方創生がいよいよ動き出す年となります。
年末27日に、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定しました。
仕事始めには、安倍総理の伊勢神宮参拝に同行し、我が国に生まれつつある「経済の好循環」を、地方にまでお届けするという決意を新たにしました。
最初の大仕事である、地方財政対策については、財務大臣と折衝し、地方が自由に使える一般財源の総額をしっかり確保するとともに、地方創生と地方財政の健全化の両立を図る内容としました。
新たに「まち・ひと・しごと創生事業費」を創設し、地財計画に1兆円計上するなど、地方創生に対する思いを「形」にすることができました。
また、地方創生のための財源を含め、地方が自由に使える一般財源の総額をしっかり確保しつつも、地方財政の健全化を同時に進める内容としました。地方の皆さんの期待に応え、地方団体にしっかり取り組んでいただける財源が確保できたものと考えています。
今週は、地域エネルギーについての研究会がありました。
これまで日本ではあまり着目されてなかった「熱エネルギーの地産地消」による、燃料の木材チップを提供する林業の活性化、災害や為替変動等のリスクに強いエネルギーシステム、雇用の創造など、地域の好循環を創出する取組みが、14の地方団体で形になりつつあります。
海外に目を向けますと、ドイツでは1998年の電力小売の制度改革を契機に、10年間でバイオマスをエネルギー源とする熱供給を倍増させており、雇用者数は10万人を超えています。
森林資源の豊富な我が国において、バイオマスのようなリスクに強いエネルギーシステムを構築していくことが、ローカル・アベノミクス推進の強力な手段の一つとなると思います。この取組みが大きなうねりになるよう期待しています。
また、地域が抱える課題をICTを利活用して解決する良い取組みを表彰する「地域情報化大賞」を今年度創設し、先日、選考に残った13の取組みのプレゼンテーションがありました。
奈良県でも以前に問題になりました救急患者のたらい回しという悲しい事態を解消するために救急搬送を迅速に行う取組みや、医療情報連携の促進や費用削減、農業や漁業の効率化や付加価値向上、地域の活性化(一躍有名になった神山町も地域情報化のひとつです)、オープンデータ活用による観光促進など、きらりと光る事業モデルがありました。
これらの取組みは、「地域情報化アドバイザー」という地域の情報化をお手伝いする方々が、実際に自治体に対してアドバイスを行うときに参考にしていただき、普及展開を進めてもらえれば地域の課題解決の一助になると思います。
改めて思いますのは、まち・ひと・しごと創生を推進していく上で、総務省は「現場」に最も近いということです。
地方団体の皆さんと一緒に知恵を出し、汗をかく職員を頼もしく感じつつ、より大きな成果をお届けするために、私も一層精力的に動きたいと考えています。