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100年に1度…などと嘆いている時ではない。

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 週末に選挙区を歩いていると、かわいらしいお嬢さんたちが声をかけてくれました。
「成人式に来て下さり、ありがとうございました。お話を聴いて、とても元気が出ました」と言われて、嬉しくなりました。

 当日の成人式会場はとても騒がしく、舞台から見ると会場が暗くて座席の新成人の表情も見えず、話を聴いておられる方がいるのかどうかも分からないままに来賓挨拶を終えたのでした。
 そんな中で真剣に私の話を聴いてくれていた彼女たちの感想等を伺いながら、私自身も、昨夏から再び携わっている経済産業行政を通じて日本の未来を切り拓いていく勇気と元気をいただけました。
 
 ところで、この1月に成人式を迎えられた方々が生まれたのは、1988年(昭和63年)から1989年(平成元年)です。

 1988年は、ソビエト連邦でペレストロイカ開始、アメリカ大統領選挙でジョージ・H・W・ブッシュ氏(前大統領の父)が当選、日本では東京ドームや瀬戸大橋が完成。
 私の地元・奈良県を走る近鉄電車では21000系電車(アーバンライナー)がデビューし、ならシルクロード博覧会が開催されていました。
 
 1989年は、昭和天皇の崩御、皇太子明仁親王のご即位で、日本は平成の時代へ。
 みなとみらい21地区で横浜博覧会が開催され、税率3%の消費税が導入されました。
 私がカラオケで愛唱しているB\'zやMr.Childrenのデビューも、この頃です。

 当時の出来事は、今でも昨日のことのように思い出せますから、「時が経つのは早いなあ。私も年を取ったなあ」としみじみ…。
 
 しかし一方で、この20年間の社会構造の変化には大きなものがありました。
 今や、情報通信ソフトウェアは重要インフラとして定着し、福祉・医療・金融・流通等、日本の社会システムを支えていますが、当時の日本は、未だインターネットに接続されていませんでした。
 世界で最初にインターネットに接続されたのが米国でした。オランダがインターネットに接続された2番目の国となったのが、新成人が生まれた1988年だったのですから。

 20年前に較べると、情報・金・ヒト・モノが国境を越えるスピードは格段に速くなり、他国の景況悪化の影響が日本に及ぶのも早くなりました。
 現在の日本が苦しんでいる状況は、ボーダレス化の進展による現象でもあります。

 それでも、私は、日本が「世界で一番早い不況脱出」を実現することは十分に可能だと思っています。
 米国のグリーンスパン氏が「100年に1度の危機」と発言されて以来、日本でも、この表現が賀詞交換会スピーチの合言葉のようになっていますが、私は正直なところ違和感を覚えています。

 戦勝国の米国とは違って、日本人は、住居にも食糧にも不自由した敗戦後の焼け野原から立ち上がり、歯を食いしばって勤勉に働き続け、世界トップレベルの経済大国を築き上げた国民です。

 これから製品化され、世界に市場を切り拓いていける素晴らしい科学技術が多く存在し、教育水準の高い国民が居ます。
 他国に比較すると、まだまだ安全で清潔な社会が在り、(不信を招く問題は存在するものの)年金・医療・介護・雇用保険システムが完備した国であることは、世界に誇れることでもあると思います。
 
 現状を「100年に1度の危機」だと嘆いて落ち込んでいては、もっと困難な時代を生き抜いてこられた先輩方に申し訳が立たないと思っています。

 先ずは、打てる限りの経済対策を打ち、経済のパイを縮小させないことが肝要です。
 国の借金利払い負担の重さを考えると財政再建は必要不可欠ですが、経済が好転すると税収も増え、社会保障を支える基金の運用利回りも良くなります。
 もしも今、必要な景気対策への財源投入をためらって倒産・失業が急増してしまいますと、税収が減るのみならず、生活保護等にかかるコストも増えてしまいます。

 昨夜は、深夜まで待機したものの、野党の抵抗で第2次補正予算の成立には至りませんでしたが、大型の中小企業金融支援策や雇用対策が盛り込まれた補正予算は1日も早く執行される必要があります。

 加えて、世界の競争相手が弱体化している現在をチャンスと捉えて、攻めの通商・産業政策を打ち続けることが必要です。
 平成21年度予算案には、経済産業省の関係だけでも、未来に渡って新たな雇用と富を生み出せる可能性の高い分野への支援施策が多く含まれています。
 成人された若者が夢と志を持って就ける職を増やす為にも、精一杯働いてまいります。

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