松下幸之助塾主のご逝去から25年
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25年前の今日、松下幸之助氏(松下政経塾・塾主)のご逝去を知らせる電話に、受話器を握りしめたまま泣き崩れたことを、思い出しています。
その前月に、ご入院中だった大阪の病院を訪ねて近況報告を申し上げたばかりでした。
大学4年生の夏に初めてお会いした松下塾主(当時は塾長)の眼光の鋭さに圧倒されたこと、国政を志すきっかけとなった松下塾主の言葉、様々な思い出がよみがえります。
リーダーの心構えの1つとして「衆知を集めること」の重要性を唱えておられた松下塾主は、ご自身も、社会経験の浅い若者が語る青臭い話にも、丁寧に頷きながら耳を傾けて下さいました。私たちは張り切って研究中の政策課題について色々な話をしたものですが、時には質問が飛んできました。
「○○はどうなっているのか、教えてもらえんかな?」とやんわりと質問された事柄は、明らかに研究不足であることを自覚していた箇所ばかりであり、平場では恥をかかせずに的確に指導をするという独特の手法でした。
今月は、国家安全保障の在り方や憲法改正国民投票法に係る投票権年齢などが話題になりましたね。
松下塾主のご著書や発言集の中から、関連する言葉をご紹介します。
現行憲法については、
「日本の安全を他国の公正と信義にゆだねています。これは見方によれば非常に虫のいい話であって、そこには独立性がうすいわけです。『世間のみなさんを信じて、私は自分の家の戸締りはしません』というようなものです。(中略)こういう考え方が一番好ましいのであれば、どこの国も同じようにやるでしょうが、実際にはそうしていないということは、やはりそういうことではいけないと、どの国も考えているのではないかと思います」
主権者たる国民の在り方については、
「一部の支配階級が政治を行っていた封建制や絶対主義の時代とは違い、現代の政治の最終責任は国民に有る」
「株主たる国民は、高い政治的見識と良識を伴った『主権者意識』を持つべきであり、自ら主権を放棄して投票を怠ったり、国民全体の代表である政治家に自分勝手な陳情をしたりすべきではない」
主権者の代表であり行政の長でもある総理大臣の在り方については、
「誰が総理大臣になろうとも、これだけは是非とも備えていなければならない第一の要件は何かと言えば、私はその人が、国民を一様に愛し、その国を真に繁栄させようということに、力強い信念を持っている事だと思う。(中略)一国の総理大臣たるべき人は、誰よりも国を愛し、国民を愛し、誰よりも国家国民の繁栄をより高き形で生み出そうとする強い信念と実行の人、勇気と情熱の人でなければならないと思うのである」
「そういう方々(国家公務員)が国家国民に忠誠を誓って、奉仕されるのが公僕である。あなたは主権者の代表ですよ。公僕の方々に働いてもらう立場にあるんですよ。その人がみずから公僕と言うようなことでは、国家経営の偉大な理念が生まれんでしょう」(昭和42年、佐藤栄作総理大臣に対して)
今年は仲間とともに和歌山県までお墓参りに上がる予定を立てていますが、本日は改めて深い感謝の気持ちを込めて、松下幸之助塾主のご冥福をお祈り申し上げます。