予算委員会質疑報告⑦:周辺国を含めた原子力発電の安全性確保&結び
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【2月10日 予算委員会質疑報告⑦:周辺国を含めた原子力発電の安全性確保&結び】
○高市委員
さて、一昨年末にIAEAが、「2030年までに世界の原子力発電所の設備容量は、最大93%増加する」と、これは幅があるんですね、16から93ということなんですが、世界の発電所の設備容量の増加予測をしております。
特に、東アジア、南アジア、中東、東欧などで大きな伸びを予測しております。
今、中国で運転中の原発は17基なのですけれども、建設中、計画中のものが約50基。
韓国は、運転中の原発が23基ですが、建設中、計画中のものが18基。台湾は、運転中の原発が6基、建設中、計画中のものが2基でございます。
そうなりますと、今後、周辺国を含めた地域全体で原子力発電の安全性をいかに確保していくのかというのが非常に大きな課題となってまいります。
これは総理にお答えをいただきたいのですが、あの悲惨な事故を体験して、世界最高水準の新規制基準を設けた日本だからこそできる、世界各国への技術的貢献ですとか、制度・運用などソフト面での貢献というものがあるのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣
今、高市委員が指摘をされたように、日本の周辺国またアジアにおいては原発の新設が進んでいくという事実があるわけであります。
そして、その中におきまして、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえ、海外の規制基準も確認をしながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定を行ったところであります。
また、安全の追求には終わりはありません。
継続的な安全向上が重要であるというのが原子力規制委員会の姿勢でありまして、新規制基準施行の後も、継続的に基準の見直しの検討を行っていきます。
こうしたことによって、我々、あの過酷な事故を経験したわけでありますが、事故の経験と教訓を生かして技術を発展させることで世界最高水準の安全性を実現できる、こう考えています。
あわせて、福島第1原発事故の経験と教訓を世界に共有すること、これは極めて重要である。
先ほど、冒頭申し上げましたように、周辺国あるいはアジアにおいては新設がなされていくわけでありますから、そういう国において新設がなされる際に、私たちの経験と教訓を共有してもらうということは、その地域、またひいては日本にとっても極めて安全の上において重要だろう、こう思うわけでありまして、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは、経験した我が国の責務であると認識をしています。
そのため、我が国は、これまでIAEAなどに対して、事故への取り組み状況について情報発信を行ってきています。
今後も引き続き、原子力安全に係る経験や知見を共有するべく、国際社会との連携や協力を実施していきます。
さらに、原発輸出に際しては、いろいろな議論がありますが、相手国の意向や事情をしっかりと踏まえながら、単に原子力機器や高い安全性を有する技術の提供を支援するだけではなくて、制度整備や人材育成、これは非常に重要でありまして、この人材育成についてはそういう要望も相手国からなされているところでありますが、そうした制度整備や人材育成等への支援なども行っていく考えであります。
○高市委員
特に、インフラシステム輸出、熱心に総理がお進めいただいている中に原子力発電のシステムも入っているということで、「自分の国で安全を確認できないものを、よそに売るのか」という批判もございました。
しかしながら、日本としては、今おっしゃったように、世界最高水準の人材を育成し、その散逸を防ぎ、そしてまた、システムを売る限りは、そのメンテナンスから廃炉に向けてのノウハウ、この技術協力も含めて担っていく、その責任があると思いますので、しっかりとした『エネルギー基本計画』をまずはつくってまいりましょう。
そして、世界に向けての責任をしっかり果たしてまいりましょう。
【結び】
○高市委員
さて、もう間もなく質疑時間が終了いたしますけれども、この『政権公約2012』の中で私が特に思い入れを持っておりますのは、経済政策に係る部分です。
これは先ほど申し上げましたが、茂木大臣が政調会長でいらした時代に自民党政調会の中に経済・財政・金融政策調査会というのがあって、会長は甘利大臣でございました。
私は、そのもとで事務総長を務めさせていただいておりましたので、かなりの個別政策を書き込み、みんなで議論を重ねて準備を進めていた、これを思い出しております。
この衆議院選挙の公約には、例えば、「物価目標2%の設定」、それから「政府・日銀の連携強化」、それから「新政権発足後、速やかに緊急経済対策を断行すること」、「本格的な大型補正予算を編成すること」など書いてございました。
「物価目標2%の設定」につきましては、政権発足後28日目、去年の1月22日には『政府・日銀共同声明』が発表されまして、世界中に2%という数字が発信されました。
その後、4月に黒田新総裁のもとで量的・質的な金融緩和が実現をいたしました。
非常に早い安倍内閣のお取り組みでした。
「政権発足後、速やかな緊急経済対策」ですが、これも、政権ができてから17日目には10兆円規模の『緊急経済対策』が取りまとめられて、そして21日目には大規模な『補正予算案』が編成されました。
このほかにも、「日本経済再生本部を新たな司令塔にすること」、それから「日本経済再生本部に産業競争力会議を設置すること」、「国際資源戦略の展開」、「クール・ジャパンの国際展開」、「インフラシステムの輸出」、「産業競争力強化法(仮称)の制定」、「国際先端テストの導入」など、「非常によくできた政権公約だったな」と今思っておりますが、こういったことも、ほぼ全て安倍内閣によってスピーディーに進められております。
このほかにも、自民党の政調会では「中小企業・小規模事業者政策調査会」を昨年1月に設置いたしまして、後ろに座っておられます伊藤達也・元金融担当大臣に調査会長をお願いいたしております。
さまざま議論していただきまして、参議院公約の中に、「個人保証がなくても融資を受けることができる金融の枠組みをつくることなどを内容とするガイドラインを早期に制定します」、こう書かせていただいたのですけれども、昨年末にガイドラインを策定していただき、今月から運用開始ということで、これは、麻生金融担当大臣の目配り、すばらしい実行に感謝を申し上げております。
また、自民党からは、「小規模事業者に特化した基本法を策定するべきだ」という提案もいたしましたが、この点も、今国会で予定が立っているということで、茂木大臣のお取り組みに感謝を申し上げます。
また、昨年ここでお願いしました「領土教育の充実」も、下村大臣、本当によくやっていただいていると思います。
これからも力強く政策を進めていただき、「政高党低」と言われようが何だろうが結構です、公約さえ実現していただいたら私たちは満足でございます、違うことをやったら怒り出しますけれども、しっかりと、政府・与党一体となって、成長する日本をつくってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日は、貴重な時間を賜りまして、本当にありがとうございました。