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今週の自民党は、民法900条4の改正案の審査が山場か?

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 早くも10月も下旬。寒さに向かう時期になっても大型台風による被害が相次ぎ、来年以降も続くであろう気象に応じた抜本的な防災対策の必要性を痛感しました。

 平日は多くの会議や全国の地方自治体からの予算要望聴取に追われ、週末は党務で地方出張が続き…と、ヘロヘロになって働いているうちに、このコラム欄も長く更新できませんでした。ご無沙汰してしまい、すみませんでした。

 明日の自民党法務部会では、法務省から示された「民法改正案」が審査される予定です。

 先般の政調会人事で法務部会長に着任したばかりの大塚拓衆議院議員にとっては、最初の試練となりそうな難しい案件です。

 9月4日の本欄にも書きましたが、最高裁判所が、民法第900条4の但し書き部分、つまり、結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の法定相続分を嫡出子の半分と定めた規定を、「違憲」とする判断を示したのです。

 最高裁は、14人の裁判官全員一致で、この法定相続の規定が「法の下の平等」を定めた日本国憲法第14条に違反すると判断したのです。

 平成7年7月には最高裁は「合憲判断」を示していましたので、今年9月の判断には、私も大変驚き、ショックを受けました。

 民法第900条4の規定は、「差別」ではなく、「合理的区別」だと考えていたからです。
 特に、「夫婦親子で力を合わせて家業として営んできた小規模事業や農林水産業などでは、事業承継が困難になるケースがあるのではないか」「法律婚主義によって家族を守ってきた民法の理念と整合性はとれるのか」等々、過去の議論に於いても、私自身は現行民法の規定には一定の合理性がある旨を主張してきました。

 先週、自民党法務部会では、法務省から早々に民法改正案が示されることを予想しての事前勉強会が開催されたようですが、複数の出席議員から猛烈な反対意見が出たと聞いています。

 しかし、残念ながら、最高裁で「違憲」とされた以上は、内閣と与党は足並みを揃えて民法改正に踏み切るしかありません。

 日本国憲法第81条が「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定しているからです。

 仮に、違憲立法審査権を持つ最高裁が「違憲」と決定した法律を、改正しないで放置し、現行法のままで執行を続けたら、何が起きるのでしょうか。

 非嫡出子の方々が、9月4日(最高裁判断)以降に発生した相続について、無効や取り消しを訴える裁判を起こした場合には、現行民法に沿った遺産分割には「違憲無効」との判断が下されるのでしょう。

 相続は、殆どの国民が経験する身近な問題です。
 我が家でも、今年5月に父が死去した後、引き出しから出てきた残高1000円未満の父名義の預金通帳の山やら、株を購入していたらしい書類を目の前にして、何から手を付けていいのか分からず、母や弟とともに呆然としたばかりでした。

 民法は、国民生活を直接規律する法律です。
 世の中の混乱を回避し、法的安定性を確保する必要性を考えれば、立法府の一員としては、持論はともかく、違憲状態を速やかに解消せざるを得ません。

 昨年4月に自民党が発表した『日本国憲法改正草案』では、現行憲法には無い「家族の規定」を新設しました。
 「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は互いに助け合わなければならない。」という条文です。

 『自民党綱領』でも、「地域社会と家族の絆・温かさを再生する」「家族、地域社会、国への帰属意識を持ち、自立し、共助する国民」「美しい自然、温かい人間関係、『和と絆』の暮し」を謳っています。

 自民党には、私だけではなく今回の最高裁の判断に疑問を感じておられる議員が多いと思います。
 違憲状態は速やかに解消しなければなりませんが、立法府の裁量を逸脱しない範囲で家族を守る為の知恵を絞っていきたいと考えます。

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