コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 6期目の永田町から 平成24年12月~平成26年12月
  4. 日本国憲法改正への期待

日本国憲法改正への期待

更新日:

 憲法記念日を迎えました。

 3月16日に読売テレビの「ウェークアップ・プラス」に出演した折に、もともと憲法改正を目指して政治家になった自分の強い思いを述べた直後には、与党政調会長の発言としては不適切とのご指摘もあり、様々な議論を呼びました。

 しかし、「自主憲法制定」は自民党の党是であること、昨年12月に挙行された衆院選で自民党が発表した「政権公約2012」にも「憲法改正」を明記していたことなどから、特に不適切な発言とも考えてはおりませんでした。

 むしろ、この1ヶ月半余りの間、憲法第96条改正の是非などが活発に議論されるようになり、改憲論を取り巻く環境の変化を喜んでいます。

 私が初当選した頃の国会では、「改憲論」を口にすることすらタブー視される空気がありました。

 国会答弁や講演などで「憲法改正の必要性」に触れた閣僚は、野党から責任を追及されたものでした。
 
 憲法第99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定されていることから、憲法改正論を口にした閣僚は憲法尊重擁護義務違反だとして追及を受けたのでした。
 そもそも憲法第96条に憲法改正手続きが規定されているのですから、現行憲法も「改正を前提とした法律」です。つまり、閣僚の改憲発言には問題などあるはずがなかったのですが…。

 その後、国際環境・国内環境の変化に現行憲法が対応できていない現実を、多くの政党が認識するようになりました。

 法は、そのものが「目的」ではなく、「統治の為の手段」です。
 「手段は目的に応じて変えるべきだ」との感覚が徐々に浸透し、世論調査でも国民の多数が憲法改正を支持して下さるようになりました。

 平成11年に「国会法」が改正され、平成12年1月には、衆参両院に憲法調査会が設置されました。
 私自身も、初期からのメンバーであり、憲法調査会の小委員長も務めました。

 この憲法調査会は、「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことが目的であり、「議案提出権」は持っていませんでした。つまり、改正案の発議はできませんでしたが、当時でも各章ごとに詳細な議論が展開され、平成17年4月には、衆参両院が「憲法調査会報告書」を提出しました。

 改めて読み直してみますと、感慨深いものがあります。既に各党の考え方も相当に整理されています。 

 衆議院憲法調査会会長だった中山太郎衆議院議員(当時)の手による前書きには、次の記述があります。

 「『憲法論議を進めようとする人々は、何かそら恐ろしいことを行おうとしているのではないか』という国内外の人々の誤解を解くとともに、タブーのない憲法論議こそが、主権者国民がその主権を自らの手にすることを目指すものなのだ、ということを分かって欲しかった」
 「憲法論議を、憲法学者だけのものにしてはならない」
 「憲法は国民のもの」

 また、中山会長は、憲法改正には反対の立場を貫いておられる共産党や社民党については、帝国憲法改正案が提出された昭和21 年第90 回帝国議会の審議に触れておられました。

 「衆議院において、共産党の野坂議員は『現在の憲法よりも進歩的であることは認めるが、世襲による天皇制を認めているのは主権在民を羊頭狗肉化(ようとうくにく)するものであり、また、参議院は民主化の妨害物である。さらに、自衛権の放棄は民族の独立を危うくする危険がある。将来、この憲法の修正について努力する権利を保留して、反対する』との趣旨の反対討論を行い」

 「社会党の片山議員は『天皇制の下においても民主化の達成は可能であり、それは憲法を運用するわれわれの任務である』との趣旨の賛成討論を、それぞれ行っている」

 当時の衆議院憲法調査会で、早期に全会派の意見が一致したのは、「憲法と現実との乖離が存在する」という点でした。 
 ところが、「憲法と現実の乖離を解消する為の方法」については、考え方が分かれました。

 自民党、公明党、民主党は、「現実に合わせて、憲法を改正すべきである」と主張。社民党、共産党は、「現実を、憲法に合わせて是正していくべきである」と主張しました。

 最近でも憲法改正に反対しておられる政党は、憲法の「制限規範」としての役割を重視する考え方に立っているように感じます。
 つまり、憲法は「公権力の行使を制限する」役割の法律だとして、改正によって公権力が強くなることを警戒しておられるようです。

 他方、私は、憲法の「授権規範」の役割を重視する立場です。
つまり、「国家目標の設定」や「国民の行為規範」としての役割をも重視するべきだと考えています。

 自民党は、「国会の憲法改正案発議要件を緩和する為に、先ずは第96条を改正して、時代に合った改正案を示し、主権者である国民を信頼して国民投票によって改正案の是非を判断していただく機会を作るべき」だと考えています。

 民主党議員からは、「第96条の改正に反対するものではないが、どのように改正するのかの案同時に示すべき」との声が聞かれます。
 それならば、民主党でも、憲法改正草案の策定作業を急いでいただきたいと希望します。

 既に自民党は、昨年(平成24年)4月28日に110カ条からなる「日本国憲法改正草案」を発表しています。
 皆様も、是非とも、お目を通してみて下さいね。

 1つでも多くの政党が具体的な「改正草案」を作成され、主権者に対して堂々と在るべき憲法の姿を示し、国会が憲法改正案の発議に漕ぎ着けられるように、具体的な議論が進展することを期待しています。

前のページへ戻る

  • 自民党
  • 自民党奈良県連
  • リンク集