野田内閣への疑問⑦:消費税に関する考え方
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野田内閣が、消費税率アップに意欲的な姿勢を見せています。
他方、民主党内では「反対署名運動」が展開されているらしく、どうなることやら…。
鳩山由紀夫元総理が「20年間は引き上げない」と公言しておられたこと、野田総理も「4年間の任期中に引き上げを決定することには反対」とアンケートに回答しておられたこともあり、民主党所属議員の多くが党トップの方針転換のスピードについていけず、有権者への説明にも窮しておられるのではないかと想像しています。
野田内閣の中で展開されている議論の内容は報道でしか知り得ませんが、どうも検討事項の順番が逆になっているように思えます。
先にやるべきは、「使途の決定」ではないでしょうか。
つまり、「真に必要な社会保障の量と質」を決定した後に、必要な消費税収額(税率)を決めるべきだと思うのです。
例えば、民主党が前回の衆院選やその前の参院選で公約していた「7万円の最低保障年金」「財源は消費税」という政策を実現するつもりであれば、それだけで消費税5%分以上に相当する13兆円程度の財源確保が必要でしょう。
他の社会保障政策経費も消費税で賄う計画のようですから、消費税率は10%では足りず、15%以上になるはずです。
更に、「消費税収を社会保障政策以外にも使用する」といった議論も漏れ聞こえますので、そうなると3%や5%といった税率引き上げ幅では対応できないでしょう。
また、前回の衆院選で民主党が公約した数々のバラマキ政策については、「無駄の排除等で16兆8000億円を捻出できます」という主張を前提としていたわけですから、その前提が間違いだったことが明らかになった今、「増税されてまで本当に受けたい公的サービスなのかどうか」を国民に問う必要があると思います。
経済成長を促す政策を実行することによっても、消費税収は増加します。
自民党は、昨年の参院選の折に、消費税率を10%に引き上げることを公約しています。年金、医療、子育て、障害者施策等々、その使途の内訳(金額)も、昨年中に発表済みです。
消費税は低所得者にも負担がかかりますので、税率アップにはご批判もありましょうが、社会保障制度の継続性と負担の公平性を考えると、間接税を財源として重視する方が良いと判断しています。
政府与党内では当面は「消費税率引き上げの是非」の議論が続きそうな様子ですが、早急に「給付と負担の関係」についての国民的議論と政治の場での十分な検討が必要だと思います。