海江田大臣に、第2次補正予算に盛り込むべき電力需給対策提言書を提出
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自民党エネルギー政策合同会議(甘利明委員長・私は事務局長)では、第2次補正予算に盛り込むべき電力需給対策を取りまとめました。
昨夜は、昨日の総会で出席議員から出た意見を取り入れながら最終稿を仕上げる修文作業で徹夜となりました。
眠気に耐えつつ、本日16:40に甘利委員長と一緒に海江田経済産業大臣を訪ね、提言書をお渡しして対応をお願いしました。
菅内閣が第1次補正予算の編成に入ろうとしていた4月にも、「第1次補正予算に盛り込むべき電力需給対策」を作成し、政策実施に必要な金額まで記入して海江田大臣にお渡ししましたが、補正予算には全く盛り込まれませんでした。
結局、電力供給力不足への大きな不安を残したまま、夏を迎えることとなってしまいました。
梅雨明け前からの猛暑となり、電力需給逼迫で綱渡り状態が続いています。
現在、原子力プラント全54基のうち、運転中のものは19基ですが、更に、年内に定期検査のため12基が停止する予定です。
仮に既に定期検査が終了した原子力発電所の再稼動まで困難な状況となれば、年末には原子力プラントの87%が停止、来年4月上旬には全基が停止する可能性があります。
今冬や来夏に向けても「深刻な電力供給力不足を想定した備え」が必要であることは言うまでもありません。
新エネルギーの導入促進は自民党の公約でもあり、現在も党内で多くの議員が有効な政策の検討を続けています。
それでも、発電量は大規模水力発電を加えた「再生可能エネルギー」全体でも約9%、太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの「新エネルギー」だけでは約1%です。
どんなに頑張って新エネルギーに予算を投入しても、来春までに原子力発電による発電量約29%を新エネルギーで賄うのは不可能です。
電気料金値上げとCO2排出量増加を覚悟して、既に燃料コストが高騰している火力発電のフル稼働を続けることになるのでしょうか。
せめて自民党が提言している供給力強化策や需要削減策を少しでも採用していただき、国民の不安を除去して欲しいとの一心で、地道に提言作りを続けてきました。
第2次補正予算の編成にあたっては、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故による被災者への支援や被災地の復興に必要な施策を盛り込むことはもちろんですが、日本全国に波及しつつある電力供給力不安を解消するためにも十分な規模の予算措置をするべきです。
とりわけ電力供給力不足や電力料金上昇への不安などから、生産拠点を海外に移転する企業の急増と国内投資の抑制が懸念されます。
現状でも、日本企業は高い法人実効税率や円高など厳しい国際競争環境下にあり、民主党政権が提案する製造業派遣禁止や最低賃金引上げは、更に国内立地のモチベーションを低下させています。
大企業が海外に移転しますと、部品などの発注を受けている中小零細企業も含めて、多くの失業者が発生します。税収も減ります。
海江田大臣は、私たちの提言書に目を通しながら、申し訳なさそうに「今回は、総理が『1・5次補正』と言っていて、電力需給対策までは盛り込めないので、また第3次補正予算を組む時に対応させていただきます」とおっしゃいました。
しかし、第3次補正予算が編成されるのは秋以降になるでしょうし、冬が迫ってから成立しても、冬場の電力不足には間に合いません。
菅総理大臣は、再生可能エネルギー普及のための電力買取り制度に夢中です。
電力料金の高騰や企業の海外移転が進むリスクはあるものの、十分な配慮を盛り込みながら実行するならば、数年後には効果が期待できる政策だと思います。
しかし、菅総理大臣には、先ずは「今冬や来夏の電力需給対策」が緊急を要する課題であることを理解して、責任ある対応をしていただきたいと切望します。