「原子力マフィア」ではありません。自民党エネルギー政策合同会議の作業予定
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最近は、自民党エネルギー政策合同会議を「原子力マフィアの集団」であるかのように批判する人も党内に居られるようで、一部の新聞社がその議員の発言をもとに批判記事を書いたそうです。
睡眠時間を削って電力需給対策案の文書化を担当してきた事務局長としては、悔しい限りであります。
前回までの本欄には、4月中に自民党エネルギー政策合同会議から菅内閣に申し入れ済みの「第1次補正予算案」や「短期的な電力需給対策案」を記しました。
特に第1次補正予算に関する自民党提言は、今夏の電力需給対策に間に合わせようと、急いで苦労して取りまとめましたが、菅内閣には全く無視されてしまい、菅内閣が編成した第1次補正予算は実効性に欠ける内容となりました。
それでも懲りずに、自民党エネルギー政策合同会議では、6月上旬までに更に追加的な電力需給対策を「第2次提言」として取りまとめます。
菅総理大臣が「8月以降に…」などと悠長なことを言っている第2次補正予算で実施するべき施策や、今後3年程度で実施するべき中期的な電力需給対策にするつもりです。
電力需要は冬場にも増えますので、第1次補正予算に関する自民党提言の中で、菅内閣に無視された項目の再掲もあり得ます。
例えば、「LED及び高効率蛍光灯の導入補助(ビル・工場用)」、「期間限定エコポイント制度導入による省エネ機器の普及(エアコン・冷蔵庫・LEDの購入が対象)」、「学校・業務用ビルの太陽光発電・蓄電池の導入補助」などです。
また、中期的な対策では、「再生可能エネルギーの供給力強化とスマートメーターの導入促進」、「蓄電池の普及促進」、「有機ELの技術開発促進」、「遮熱フィルムや遮熱塗料などを活用した建築物の遮熱性向上」、「地産地消の推進」、「PPS(特定規模電気事業者)業務代行サービス業者が実施中の電力需給マッチング・サービスの普及」、「地域間連系線の増強」などが考えられます。
ただし、周波数変換設備の建設については、120万KWで周辺設備を含めた費用が約3500億円(約30万円/KW)と聞いています。
火力発電設備並みの建設費用がかかる上、連系線建設には関係者協議開始から5年~10年の時間がかかるということですから、慎重に経済性を検討する必要があるでしょう。
その作業が終わりましたら、菅総理大臣が表明された「エネルギー基本計画」の見直しに向けた「第3次提言」の作成にかかります。
過去に原子力政策を推進してきた元政権政党としての真摯な反省をしながら、原子炉規制の在り方、原子力発電所の設計など種々の問題点の検証や、新エネルギー普及に関する法的課題や予算措置上の課題を洗い出してまいります。