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電力需給抑制策と法的課題

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 一昨日、東京の自宅ポストに、東京電力からのお知らせ葉書が届いていました。家庭でできる節電項目を紹介する内容です。


 今日は、菅内閣が速やかに実施するべき「電力需要削減策」について記します。


 「産業への負の影響を最小化すること」、「医療機関、介護・障害者施設、医薬品製造工場など生命に関わる事業主体については、特別な配慮を行うこと」を前提に、以下の対策を講じるべきです。
 

 第1に、電力需要家の規模に応じた需要削減策のマニュアル化です。


 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長からは、次のようなご提案をいただきました。
 括弧内の数字は、関東圏について電力需要削減効果を試算されたものです。


①家庭~50KW未満:契約電力(アンペア数)を一律2割引き下げる(250万KW)
②50KW~500KW:ピーク料金を設ける(200万KW)
③500KW~2000KW:ピーク料金から開始し、順次、需給調整契約に移行(150万KW)
④2000KW超:政府の斡旋による需給調整契約(500万KW)
 

 第2に、今夏は電力から灯油・重油・ガス等への燃料変更を行うという事業者のために、時限的に法規制緩和をすることです。


 具体的には、「省エネ法」のエネルギー削減量(石油換算量の毎年削減目標値)の緩和と、「地球温暖化対策法」の地球温暖化ガス排出量の緩和を検討するべきです。
 

 第3に、工場やデータ・センターなど活動拠点の早期分散化についても、インセンティブを与えるとともに、海外ではなく国内での生産活動を強力に支援することが必要です。


 第4に、前に記しました自民党の「第一次補正予算案提言」にも入れましたが、LED照明の普及促進です。


 家庭用の電球で比較してみましても、LED電球の電力消費量は白熱電球の10分の1。高価であるため、普及には財政的支援措置が必要です。


 家庭、ビル、工場だけではなく、街路灯や信号機など公的インフラへの利用促進を思い切って進めるべきです。


 第5に、輪番操業や操業日時の平準化による電力需要のピークカットです。


 しかし、操業日や操業時間帯のシフトについては、現行の法制度をそのまま適用しますと、民間事業者に過大な負担が生じることになり、実効性の確保が困難です。
 一方で、居住環境や労働環境の保護、安全確保等、現行法制度が守ろうとしている価値は、今後も極力尊重されるべきものです。


 そこで、主に電力供給力が回復するまでの時限的措置として、以下の法制度の見直しや運用改善について、至急検討することを政府に求めます。


 まず、「労働基準法」です。


 始業・終業時刻変更等に伴う労働基準監督署への届出義務の柔軟化が必要です。
 1年単位の変形労働時間適用については、「年間を通して週48時間を上限」とする所定労働時間を、例えば「夏は1日6時間、秋は1日9時間」といった設定ができるようにするべきです。
 また、あらかじめ休日と設定された日を労働日とした場合、法定労働時間を超えるものについては時間外労働となり、割増賃金が必要となりますが、一定の要件の下、割増賃金を不要とすることも考えていただきたいと思います。


 次に、「騒音規制法」と「振動規制法」です。


 工場稼動時間の移行に伴い、夜間や土日に操業する生産設備から発生する騒音及び振動の目標値や時間の規制について、時限的な緩和を検討するべきです。


 次に、「工場立地法」です。


 シフト操業によって発生する在庫の保管倉庫を敷地内に設置できるよう、緑地率の緩和を検討するべきです。
 「建築基準法」についても、在庫保管倉庫建設に係る確認申請期間の短縮が必要です。


 第6に、一時的な対策として、オフィスビルや商業施設などでの照明の間引きや事業フロアの集約、空調時の換気量削減を推進することです。


 しかし、この取組みにも法的課題が存在します。


 まずは、「労働安全衛生法」です。


 事務所フロアの集約等による節電を可能とするためには、単位面積当たりの人員数、必要な食堂面積、照度基準の緩和が必要です。


 そして、「建築物衛生法」です。


 換気設備の省エネや換気回数の削減による建物内のCO2濃度規制、消灯や照明設備の間引きなどによる照度規制の緩和を検討しなければなりません。


 第7に、生産活動全体での省エネについて先進的取組みを行っている企業事例の広報が効果的だと思います。


 例えばパナソニック・グループでは、焼成炉の低温待機化、冷凍機排熱利用によるボイラーレス化、最適換気、省エネ生産設備の技術開発、設備の最適省エネ設計、個別設備のエネルギー使用量計測、エネルギーの見える化システムの導入等、精力的な挑戦が続いている。そして、世界各地の工場で実施されている省エネ事例をデータベース化し、企業グループ全体で活用しています。


 第8に、家庭での節電方法に関する広報の充実です。


 学校や地域行事の場での「節電教育」を充実させるだけでも、大いに効果が期待できます。


 資源エネルギー庁の資料によると、家庭での電力使用割合は、エアコンが25・2%、冷蔵庫が16・1%、照明器具が16・1%、テレビが9・9%、温水洗浄便座が3・9%、衣類乾燥機が2・8%、その他が26%となっています。


 我が家でも、主人がテレビの情報番組で得た節電策を次々に実行中です。
 トイレの温水洗浄便座は冷たく、照明は必要最低限、冷蔵庫では余分な飲み物は冷やさず、パソコンはこまめに電源を落とし、常に同じ部屋で持ち帰った仕事をしています。


 大変な夏になりそうですが、私の方は政府への予算・法制度に関する提言活動を続けてまいりますので、お互いに節電努力をしながら乗り切ってまいりましょう。
 

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